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「菊田君,久しぶりね.」
「おー,久しぶりだなー.元気してたか.」
会社のエントランスで,後輩と帰ろうとしていた菊田に🌸は声をかけた.
「後輩君と帰るんだった??」
「そのつもりだったんだけど….」
菊田は🌸に背を向けて後輩と何かを話す.そして,話終わると後輩はにこやかに“お疲れ様です!!”と会釈して去っていった.
「一緒に帰らなくて良かったの??」
「うん,今日はこっち優先.」
“会うの何年ぶりだ??”なんて話ながら最寄り駅へと歩を進める.
「せっかくだし,メシ食って帰らねーか.」
「いいね,そうしよ.」
と駅地下の飲み屋街へ.ありきたりな居酒屋はどこも混雑してて.
「久しぶりにインドカレー食べたい….」
通路の切れ目にあるそのお店は,空席が目立っている.
「こういうの好きだったっけか??」
「好きだよ??昔から.…こういうの苦手だった??」
「いや,苦手じゃないけど,入るタイミングが分かんなくて.」
「せっかくだから入ってみる??」
「うん.」
🌸は入るなり目が合った店員さんに2人で来たことを合図し,店員さんもまた,好きな席へドウゾと伝える.メニューを見ながら.
「へぇー.カレー以外にもおかずとか色々あるんだな.」
「うん.でももっぱら頼むのはカレーなんだよね.」
「カレーだけでこんなに種類あるもんな.迷うな….」
「私はほうれん草のカレーにしたよ.あとビール.」
「俺は…オススメのバターチキンカレーとビールにするよ.」
「呼んでいい??」
「お願いします.」
🌸の声はよく通る.店員さんと辛さの程度などスムーズにやりとりし,菊田にもアドバイスをする.
「通いなれてるんだな.」
「うん.ここ以外にもいろんなインドカレー屋さん行ってるんだ.」
ビールと一緒にサービスと言って出してくれたおつまみを食べながら,お互いの部署のことを話したりしていると.
「おー,2人同時に来たな.」
ナンでかっ!!言わずにいられなかった菊田に.
「ここのナンは大きさのわりに軽いからあっという間に食べきっちゃうよ.」
とちぎってカレーにつけて食べ始める🌸.それをみて,菊田も同じようにやってみる.
「本場は左手は使わないんだっけか.」
「そうそう.挑戦してみたけど難しくって,結局両手使ってる.」
「んー,なるほど.確かに難しい.」
「でしょ.」
早々に両手でちぎって食べることにした菊田だった.2人がお店を出る頃にはお店はほぼ満席に近くなっていた.
「あそこの店良かったよ.」
「ほんと??良かった,気に入ってくれて.」
「次はおかず系にチャレンジしたいな.」
「いいね.また一緒に行こうよ.」
「そうだな.」
「ねぇ,良かったら◯INE交換…しない??」
「良いよ.えーっと….」
結局🌸に全てやってもらって.
「ありがとう.入社した時に交換したアドレスより,◯INEの方が使い勝手いいかなって思って.」
「あー,交換したな.今や便利なアプリができてメールなんかほとんど開かなくなったもんな.」
「メアド変わった??」
「いや,機種変してもそのまま使えるから変えてない.そっちは. 」
「私も変わってないよ.」
あの頃は他愛ないメールよくしたなぁと思い出に浸りながら駅はすぐそこに迫る.
「すまん,俺一服してから帰るわ.」
「あれ,いつの間にか吸ってたんだ.」
「付き合いとか,なんやかんやで吸う回数が増えてって….」
「そうなんだ.大丈夫,私タバコ吸う人嫌いじゃないから.そしたら,またね.」
「おう,気をつけてな.」
🌸が見えなくなって.
「(あいつ相変わらず綺麗だな….)」
とうつつを抜かしそうになりながら煙草に火を付け,深く煙を吐き出した.
一方🌸.
「(菊田君,大人の色気出しすぎやろ!!)」
平然を装っていた時の緊張がほどけ,一気に心拍数と体温が上がる.
2人して高ぶる気持ちを鎮めるのに苦労したのであった.