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暗い暗い闇の中
今日も正義の鉄槌を。
1人、誰も居ない薄暗い部屋で雨が降っている灰色の空を眺めていた。
「雨は嫌いだな…憂鬱になる」
彼はボソッとつぶやき床にそっと座る。
目を閉じ座禅をくんでいる。
「お客さんが来たみたいだ…」
ゆっくり目を開けると、糸目でいかにも狐のような顔つきでこちらを見つめる着物の男が立っていた。
「おや、おや、疲れたのでしょうか…」
「幻覚じゃないヨ」
彼は扇子を取り出し口元を隠しながら話した。
「作戦は順調だよ。そろそろ″アイツ″が動く時間だヨ」
狐のような男「純」。純はこの世界の情報屋で、彼に知らない情報はないと言われるほどである。
彼の師匠にあたる男「渓流(けいりゅう)」はその話を聞き彼はニコッと笑顔を見せた。
そして、その作戦は秘密裏に進められていく。
葵と俺は一通り仕事を終えアジトに戻り休息をついていた。
葵は仕事終わりに必ず拷問器具の手入れをする。「んふふふ」と不気味な笑みをしながら血を丁寧に拭いている。
俺は椅子に座り色々な資料を読み漁っていた。 すると突然インターホンが鳴り聞き馴染みの声が聞こえた。
「久しぶりだネ、今日も情報届けに来たヨ」
こんな異様な喋り方をする人は純しか居ないと思い、ドアを開けた。
彼はドアが開いた瞬間勢い良く中の方へ飛び出してきた。そして俺を抱きしめた。
俺は困惑した。
葵も突然の出来事に驚いている。少し時間がたち状況を飲み込んで「ちょっとリーダーに触らないで!!」と注意した。
しかし彼は抱きしめて離さない。
「ン?君は誰かナ?」
やっと離されたと思ったら葵に近づいていく。
彼女は軽い身のこなしで後ろに下がり銃を向ける。
「まあまあ、そんなに怖がらないデヨ」
そう彼は言いながら葵の銃を取り上げる。
早業だった。葵は「え?」と疑問の声を上げている。
「葵には手を出すな、俺の大切な仲間だ」
俺は彼に言うと、「分かってるヨ〜」と不貞腐れた言い方で離れて行く。
「何しに来た。要件を話せ」
「ン〜?情報を渡しに来たんだヨ〜」
そう言いながら彼は紙を差し出した。
その紙にはビッシリと文字が書かれていた。
「うわぁ、読む気無くなる…」
葵は頭を抱え悩んでいる。
「まあ、要約すると…最近起きた″殺人事件″についての話だな」
「そうだヨ。最近街を騒がせている謎の殺人事件、犯人は子供らしいネ」
「まぁ、噂程度だヨ」
葵は「へぇ、子供が…よくやるわね」と感心している。
「じゃあ、この事件の解決よろしくネ〜」
純は仕事を丸投げして去っていった。