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久しぶりの投稿がまさかのガチ書きとは思ってもみなかった件…
最近何故かカンヒュの史実と二次創作的なのにハマってしまいまして….
てことで新シリーズ、覇者《ヒーロー》の没落というのを書いてゆきまするわ☆
先に注意書きを….
注意:
この物語には政治的意図・戦争賛美はございません。
知識が曖昧なので、史実の間違いが生じるかもしれません。その時は指摘して頂けると助かります。
史実と創作が混ざります。 不快に思う方はここで読むのを停止して下さい。
それでは、どうぞ。
1―――スペイン
…時は16世紀後半….ヨーロッパの西側、イベリア半島に位置する帝国、スペイン帝国の全盛期。
大 航海時代真っ最中のスペイン帝国。この国が 太陽の沈まぬ国 とも言われたのはこの時期である。
フェリペ二世時代のスペインは、無敵艦隊でオスマン帝国海軍を破り、ポルトガルでは、ポルトガル領の植民地をも獲得し、併合を果たした。
まさに、スペイン帝国の黄金時代。
このころ、スペイン帝国の化身は、自身の強さと、覇者と唄う人々の声に酔いしれ、浮かれきった表情で、グラスにワインを注いでいた。
「…見たか…ヨーはここまでのし上がったのだ…少しは認めても良いだろう?England。
前は共同で戦ったもの同士だ。仲良くしようじゃないか。な? 」
ワイングラスをあおりながら話すスペインを横目に、イングランド…つまり、イギリスは、溜息をつきながらその場から1歩足を引いた。
「…本当に、貴方だけは変わらないな。そのおかげであの時私はカレーを失ったというのに…その傲慢な態度は誰から受け継いだのだか。」
スペインは、またその事か、と、溜息をつき返す
….イギリスの言う『カレー』とは、
15世紀後半から16世紀中盤まで続いた、 イタリアをめぐって主にフランス、神聖ローマ皇帝、 スペイン、イギリスなどが争いあったイタリア戦争の最中のこと。
イギリスとフランスが対立し、イギリスが敗北した時に奪還された、フランス内にあった都市、イギリス領カレーの事である。
イギリスは、スペインと何かと意見が食い違った時に、よくこの話題を出してくるのだ。
「……ヨーには関係ないね。」
イギリスは、目を細めて睨みつけるようにスペインに視線を移した後、そのままくるりとスペインに背を向け、去ってゆく。
「私は貴方を認めはしない。悪化してゆく関係をつくったのは私では無いのでね。 」
ゆっくり去る彼の背中を視界の隅にとらえながら、スペインは気に入らないとでもいうようにワイングラス をより大きくあおって口に当てる。
「……別にヨーは認められなくても構わない。せいぜい追いつけるように頑張れよ?England。」
小声で呟いたスペインの声は、閉まるドアの軋む音にかき消されてゆくのだった。
「スペイン帝国様…。」
後ろから、怯えているような、小さく震える声がした。
「あの…スペイン帝国様….大変恐縮ですが…だ…大英帝国様は…どうなさったのですか…?」
振り返らずとも分かる。スペインの支配下にあるオランダの声。
スペインは、そんなオランダの言葉虫唾が走った
「うるさいな…!ヨーは今アイツにイラついてるんだ…!黙ってろ!」
机を1度、思い切り殴るように叩くスペインに、余計怖気付いてしまったのか、オランダは黙り込んでしまった。
「….もういい…。」
…イギリスも、オランダも気に入らない。
皆、ヨーに歯向かう者ばかり、今はヨーの時代だっていうのに。
「….ただ…ただヨーに従っていればいいのに…」
軋む椅子に腰掛けながら、スペインは悪態をついた。
「…でも、今はヨーの時代、ヨーの時代なんだ….ヨーの……」
何度も何度も同じことを繰り返して口にするが、無駄な不安が頭をよぎり、背筋が凍りそうになる。
『Europeの奴ら』
…アイツらがなにか仕出かしたら…
ただでさえ、スペインはかさむ戦費をどうにか乗り越えるため、富豪から借金をしている。何か問題が起きれば、借金返済どころか、国を破産に追い込む可能性だってある。
そんな予感がしたのだ。
残念ながら、その予感は的中してしまうことになったのであった。