テラーノベル
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ミスターマネーは、じっと彼女、カネンを見ていた。
あの絹のような金色の長い髪、瞳はルビーを埋め込んだような美しい、まるで戦乙女・ヴァルキリーのように美しい女性。
マネーは彼女を見ていた。一目惚れとかそういう意味ではなく、彼女を見ると“あの子”を思い出すのだ。
『お兄様!』
・・・妹のカネコを思い出す。
それほど、彼女は妹にそっくりなのだ。
「・・・さん、マネーさん」
「うぉっ!?」
「マネーさん!?」
突然そう声をかけられ、マネーは椅子から転げ落ちた。
「だ、大丈夫ですか?」
そうカネンは手を差し伸べた。マネーは少し目を丸くしたが、
「ハーッ!!大丈夫だ!!ありがとうな!!カネンよ!!!」
「・・・・・・」
チャキッ
バァァァアアアアンッ
「ハーッ!!!」
バナナにロケランに撃たれたマネーに、カネンは苦笑した。
✵✵✵✵✵
「すまない、今日は予定があって護衛が出来ないんだ」
と、バナナはそうマネーに伝える。それにマネーは気にしなくていいと答えた。
(・・・だが、ピグリンには荷が重いしな・・・一体どうするか・・・)
すると、それをどこから聞いたのか、シロガネが挙手した。
「あ、ならカネンちゃん連れてけば?」
「「は?」」
シロガネの提案にカネンもマネーも素っ頓狂な声で答えた。
「カネンちゃん、こー見えてかなり腕はいいほうだよ!」
「こー見えては余計よ!」
と、シロガネとカネンはわちゃわちゃとしていると、
「・・・いや、今回は取引だけだ。だから護衛は要らない。大丈夫だ」
そうマネーは答えた。ふと、そのマネーの言葉に、カネンはじっとマネーを見た。
マネーは取引の時間に遅れると言い、早退した。
「だってさ〜カネン、振られたね☆」
「・・・・・」
「いででででででっ!!」
と、茶化すオトの頬を引っ張った。オトは痛みに悶える。
「・・・でも、なんか様子おかしくなかった?」
そうリンは首を傾げる。リンは、ポヤポヤして弱そうだが、この中ではカネンと並ぶほど強いし、何より1度見た物を瞬時に記憶する“瞬間記憶能力”を持っていた。
そして何より、人の表情などをよく見ているため、例え病気で上手く隠してもリンには即バレする。
「・・・なんか、嫌な予感がするなぁ・・・」
そうミツキは呟く。カネンは少し黙り込み、ブラックの元へと歩いて行った。
「ブラックさん、お願いが・・・」
「?」
ブラックは首を傾げた。
✵✵✵✵✵
「・・・あー、クソが」
マネーはそうボヤく。手には鎖が。
実は、商談へと言ったら相手が裏切り、応戦しようとするが、自分はメガネをかけていると最弱な為、捕まってしまった。
大方、自分を人質にして、自分が所有する大金を奪おうと考えているのだろう。
マネーはどうするかとぼんやりその部屋の唯一の窓から月夜を眺めていると、
ドンッバキッメキャッ
(・・・誰だ?)
外が騒がしいのと、何やら交戦中の音が聞こえた。すると、
ガチャと牢屋のドアが開かれる。マネーは少し警戒をする。だが、
「・・・マネーさん、大丈夫ですか?」
「カネコッ・・・じゃなくて、カネンか・・・!?」
ドアの奥から現れたのはカネンだ。しかも、黒いドレスは半分赤に染まっていた。
「どうしたんだ!?血まみれでは無いか!!てか、どうしてここが!?」
「私のことより、まず自分の心配してください。あ、あとコレ全部返り血ですので、場所はブラックさんが作ったGPSを辿ってここまで」
と、カネンは鍵を取り出し、マネーの牢屋を開けた。そして、手首に付けられていた手錠も外す。
「ハーッ!!すぅまない!!助かったぞ!!」
「・・・良かった」
と、カネリは笑う。その笑顔は、やはりカネコにそっくりだった。マネーは気になってしまい、思わず聞いた。
「・・・カネンよ。・・・お前は、一体何者だ?」
それにカネンは少し肩を揺らした。
「・・・あまりにも妹、カネコにそっくりだ。比喩的な意味ではなく、見た目があまりに似すぎている。・・・それほどそっくりな“別人”とは思えない。・・・もう一度聞くぞ、お前は・・・“何者”だ?」
その言葉に、カネンは俯いた。だが、クスッと答える。
「・・・内緒です。例えここが“パラレルワールドの1部”だとしても、未来のことを言ってしまえばここの未来が変わってしまいますからね」
そうカネンは指先を自分の唇に当て、そう微笑む。
それにマネーは目を丸くするが、やがて大笑いをする。
「そぉか!!なら俺はなにも“知らないフリをしよう”!!それでいいか?」
「えぇ、ありがとうございます。マネーさん」
カネンはふわりとスカートの裾を摘み、お姫様のように頭を下げた。
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