テラーノベル
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皆は、ペットを飼ったことはあるだろうか?
犬、猫、うさぎ、金魚、亀…まぁ、色々いるだろう。
だが、俺の時代の人間なら想像もしないペットを俺は飼っている。
「主様。起きてください」
ユサユサと体を揺さぶり、俺を起こそうとする。
『はいはい、起きる。起きるから!』
俺は、まだ眠いのにこいつは早起きだ。
見習わないとな…。
「おはようございます桜雪(ハルユキ)様」
そう言って、優しく微笑む。
俺が今飼っているペット。正確には、ヒト型動物と呼ばれる。
俺が転生してきた今世で、存在が確認されている生き物だ。
ペットにしたり、野生ですごしていたりと様々なところで、目撃されている。
ヒト型動物。その姿は、俺らヒトに似ている。好き嫌いや、趣味、性格ももちろんある。
普段は、手のひらマスコットサイズ並の大きさで過ごしているが、なろうと思えば、ヒトのサイズにもなれる。
ちなみに、俺のベリアンは、よくヒトのサイズになっている。
そして、ごく稀に、前世の記憶を持って生まれてくることもある。
俺が飼っているべリアンもそう。
前世は、主に仕える執事。とてもすごい執事だった。
ん?その言い方だと、俺が前世の【ベリアン】と会っていたようだって?
そう思ったやつは、察しがいい。
俺の前世は、悪魔執事という集団をまとめる主だった。
その悪魔執事の中にベリアンも入っている。
そして、今世で偶然再開した。
ベリアンは、前の飼い主に捨てられ、俺は、今世の両親に捨てられて。
「どうですか?美味しいですか?」
『ああ、美味いぞ。ベリアン』
そう言い、よしよしと、ベリアンの頭を撫でる。
前世でも今世でも、撫でると照れるのは変わっていない。
これで、上目遣いをされるのが、心臓にオーバーキル。
全く…どこで覚えてきたんだか。そんなに俺を楽しませてくるなんて…罪深い執事だ。
「今日もお仕事に行かれるのですか?」
『休みたいけどな』
いや、ほんとに休みたい。休んで、ベリアンを撫でたくりたい。ギューってしたい。ミニサイズにさせて、ほっぺぷにぷにしたい。
けれど、俺も立派な社会人。仕事はしないと人生終わってしまう。
『さ、そろそろ行かなきゃ』
そう言うと、テテテッと玄関先に行き、キラキラと可愛い目線でこちらを見る。
「ははっ、そんなに楽しみなのか?」
からかうように言うと、頬を少し膨らませて、俺に抱きついてくる。
「はいはい、分かった分かった」
俺が、仕事に行く時の日課。
ベリアンと甘い甘いキスをすること。
「んっ。んむ…はふ…」
『ん、しただして?…そ、じょーず』
同時に、頭を撫でると、喜んだのかもっと奥まで舌を差し出してくる。
それを吸うと、驚いたように体をブルっと震わし、吐息をさらに増やす。
唇を離すと、顔を赤くし、もっと。とせがんでくるベリアンの姿が瞳に映った。
『ダメだって。これ以上すると俺勃っちゃうよ?』
そう耳元で囁くと、耳まで真っ赤にするベリアン。
可愛すぎて、ふっと微笑みながら、玄関の扉を開け
『じゃ、行ってくるぞ。いい子にお留守番してろよ?』
ガチャという開閉音が聞こえた。
眩しい都会に、今日も足を踏み入れる。
コメント
2件
まってアカン。好き