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フェルンとシュタルクが夕暮れの街で良い雰囲気になっているのを、遠くのベンチから眺めていたフリーレンとリムル。
「……ねぇ、リムル」
フリーレンが、膝の上に乗せていた空っぽのドーナツの袋をパサパサと振りながら、ジト目でリムルを見上げた。
「なんだよ。またおかわりか?」
「それもあるけど……さっきのフェルンたち、楽しそうだった。おいしい物を食べて、可愛い服を着て、なんか『デート』って感じだった」
フリーレンはすっくと立ち上がると、リムルの服の裾をギュッと掴んだ。
「私ともしてよ、デート。……あ、お菓子は食べ放題でお願いね」
「それ、ただの買い食いだろ!」
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結局、リムルは押し切られる形で、フリーレンを連れて夜の屋台街へ。
「リムル、あっち。いい匂いがする魔法がかかってる」
「魔法じゃねーよ、ただのソースの匂いだ!」
フリーレンは、リムルに手を引かれながら(というか、彼女がフラフラどこかへ行かないようにリムルが手を繋いでいる)、たこ焼き、焼きそば、リンゴ飴と次々に制覇していく。
「……ん、おいしい。ヒンメルたちと行ったお祭りよりも、種類が多いね」
幸せそうに頬を膨らませるフリーレンを見て、リムルも少しだけ顔をほころばせる。
「まぁ、多種多様な魔物が集まる街だからな。……お、次はあそこの射的でもやってみるか?」
射的屋の屋台で、フリーレンの目が鋭く光った。
「リムル、あの棚の隅にある……あの小さな『木箱』。あれが欲しい」
「え、あんな古びた箱? 隣にある綺麗な魔導石とかじゃなくていいのか?」
「……あれには『宝箱』の匂いがする。ミミックかもしれない」
「ミミック欲しがる奴があるかよ!」
と言いつつ、リムルは『智慧之王(ラファエル)』で軌道を計算し、一発で箱を撃ち落とした。
「はいよ、プレゼントだ」
「ありがとう、リムル。君はやっぱり、魔法使いより器用だね」
フリーレンは嬉しそうに箱を抱え、その場で開けようとする。案の定、箱は「ガブッ!」と彼女の頭を噛んだ。
「……やっぱりミミック。暗いよー! 怖いよー!」
「何やってんだあんたは!!」
リムルがツッコミを入れながら、ジタバタするフリーレンを引き抜く。
~~~~~~~~
夜風が心地よい丘の上。
ミミック(中身は空だった)を抱えたまま、フリーレンは満足げに息をついた。
「……楽しかった、リムル。私、エルフだから時間はたくさんあるけど、こんなに『今が楽しい』って思ったのは久しぶりかも」
「そりゃ光栄だ。またいつでも付き合ってやるよ」
「うん。……じゃあ、明日は『服が溶ける魔法』を探しに行くデートね」
「それは却下だ!!」
フェルンたちとは少し違う、ドタバタだけど温かい、魔王とエルフの不思議なデートの夜が更けていくのだった。