テラーノベル
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大学3年・10月。
文化祭翌日。直弥の家。
インターフォンのないドアをノックする。
「直弥くん、僕!あおい!」「入ってええ?」
仁義が元気に呼びかけ。
直弥は少し驚きながらドアを開ける。
「……うん。」「でも、うつるかも。」
仁義「大丈夫!」「僕かれこれ10年風邪引いとらんけん。」
部屋に入ると、
直弥は明らかに寝不足でふらふら。
仁義「相変わらず家なんもないなぁ。」
「はい、レトルトおかゆ。」
「冷えピタ貼る?」
「ポカリとゼリー冷蔵庫入れとくけん。」
「あと薬ある?市販薬持ってきた。」
直弥「……ごめん。」
仁義「なんで。」「風邪やろ。」
直弥「……うん。」
仁義「お腹すっきょる?」「噛むんえらい(しんどい)?」
「ちょっと待っとって。」
持ってきた袋からりんごとおろし金を取り出す。
数分後。
仁義「はい。」「食べやすいやろ。」
直弥「これ、なに?」
仁義「え、」「すりりんご知らん?」
直弥がうなづく。
仁義「食べてんまい!おいしいよ」
直弥「……うん。」
食べ終わる。
直弥「…おいしかった。」
仁義は「もうちょい食べる?」と笑顔。
直弥「…大丈夫。」
仁義「ほな、寝まい。」
気がつくと、直弥は眠っている。
「(……寝よる。)」
「(こんな顔するんや……)」
「(髪ぼさぼさやな……)」
「(寝てても直弥くんやな……)」
仁義は笑顔で静かに見つめている。
数時間後。直弥が目を覚ます。
「お腹すいた?」「さっきよりは食べれる?」
そう言いながら、今度は袋から厳重に包まれた包丁を取り出す。
慣れた手つきで皮を剥いて、
突然、うさぎりんご完成。
仁義 「はい。」「りんごばっかやけど。」
直弥 「………。」「ありがとう。」
受け取る。
直弥 「……。」
しばらく皿を回しながら見つめる。
仁義はポカリを冷蔵庫に取りに行く。
その背中に聞こえないくらいの声で、
「……うさぎ…。」「本当に、あるんだ…。」
とつぶやく。
さらに数時間後。
仁義「ほな。」「何かあったら連絡して。」
直弥「……うん。」
「…あおくん。」「いつも、ありがとう。」
仁義「なんもしとらんけん!」「あったかくして寝てね。」
椎名林檎『あおぞら』。
ちゃっぴ〜氏が
「あおくんが来た翌日、『あお』ぞら。」
つってて尊さでしぬ(おれだけが)
コメント
1件
あおくんの「なんもしとらんけん」がもう優しすぎる〜〜!風邪の直弥くんにすりりんごからうさぎりんごまで、手際よく準備してて「10年風邪ひいてない」って強気な割にめっちゃ介護上手なのギャップでやられる🥹最後の「うさぎ…本当に、あるんだ…」のつぶやきに直弥くんの幼い頃の記憶とか重なるものがあるのかな…。あおぞらってタイトルも、全ての優しさが染み渡るような温かさで泣ける。