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三文小説
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#Snow Man
桃紫 さく🌸
10,209
花火が終わり、会場は帰る人の波が大きくなっていた。
この後の予報では大雨になるため、屋台も早めに閉まるようだ。
花火の余韻に浸りながら客は楽しそうに帰っていく。
花火が綺麗だったとか、あの屋台は美味しかったとか、あそこの屋台ははずれくじしかないとか……
各々の感想を言いながら帰っていく。
先程まで賑わっていた会場はあっという間に静かさを取り戻していく。
「雨、そろそろ降るかな?」
「あの雲がこっちに近づいてきてるね。多分1時間後とかに降り始めるんじゃないかな?」
「そっか〜……なんか、寂しいね」
人の波が収まるまで待っていた佐久間と阿部は、空を見上げながら歩き始める。
「暗くなってきたね」
「この後雨降んだって」
「じゃあ、早めに帰らないとかな」
宮舘は扇子、渡辺はりんご飴を手に帰る準備を始めている。
「今日は、ほんまにありがとな!!」
「こっちこそ!」
「転ばないように気をつけて帰りなよ」
向井、ラウール、目黒は解散。
目黒、ラウールは同じ方面だが、向井は逆方面なのである。
「花火、どうだった?」
「すごい、綺麗だったよ」
「……よかった」
「ありがとね、岩本」
岩本と深澤も、2人で並んで歩いていた。
「……岩本、俺、ちゃんと話してみる」
「……そっか」
岩本はそれ以上何も言わない。
深澤の覚悟を受け止めて、岩本はそれを止めない。
「何かあったら、すぐ連絡してね」
「……うん」
ただ、岩本は深澤の逃げる場所でいる。
それだけは、決して揺らがない。
(向井視点)
夏祭り、楽しかったな〜……
東京に来てからは、楽しいこといっぱい!!
祭りが、1日がこんなに終わってほしくないって思うのはいつぶりやろう…?
……やっと、俺の心の居所が決まったってことでいいんかな…?
「……あれ?」
そういえば、俺のカバンどこやったっけ?
あん中には財布とスマホとカメラが入ってるんやけど……!!
まさか、花火を見た時にそのまんま置いて来た…!?
嘘やろ!?早よ取りに行かんと!!
ううぅぅ……!!
急いで戻りたいのに下駄のせいで走れへん…!!!
いっそのこと脱いだほうが早いかもしらん!
下駄で歩くくらいやったら、裸足で走ったるわ!!
そう思って、俺は下駄を脱いだ。
ここはコンクリートで、少しだけ足の底がひんやりする。
とにかく、今は急いで会場に戻らんと…!
坂道を急いで走る。
やばっ…!
もう雨が降り始めて、少しずつ地面に水玉を描いてる。
このままじゃ全部故障してまう……!!!
「……あ、康二!!」
無我夢中に走ってる俺の前から、俺の名前を呼ぶ声がした。
「……え?め、ぐろくん……?」
坂の下の方にいたのは、ラウールくんと帰ったはずの目黒くん。
傘さしとるし……家に帰って戻って来た…?
「な、何でここにおるん?」
目黒くん、今ここにいるはずないやん!
「康二、ごめん。俺、康二にカバン渡すの忘れててさ……」
「え!?俺のカバン!!」
何で目黒くんが俺のカバンを………はっ!
そうや、俺が席を外した時に目黒くんに荷物預けとったんや…
すっかり忘れてた……
「康二、裸足で走ってたの……?」
「急いで戻ろう思うて……裸足の方が走りやすかったんよ」
ちょっと痛くて冷たいけどな…
「それじゃ怪我しちゃうでしょ。ほら、下駄履いて」
「うん」
目黒くんに促されるまま、俺は下駄を履き直す。
「雨、降ってきたな」
「……家まで送ってく」
「……え?」
結局、目黒くんに送ってもらうことになった。
嘘やろ……!
いつもはラウールくんもいるのに、め、目黒くんと2人きりなんて初めてや…!!
多分、俺が傘持ってないからなんやろうけど、でも、これ相合傘やん!!///
「あ、ここや!ここが俺の家!!」
とか色々考えてたら、もう家に着いてもうたやん。
「……親御さんは?」
目黒くんは、俺の家が真っ暗なことに違和感を持ったらしい。
そういえば、目黒くんたちに言ってなかったかもなぁ。
「俺、一人暮らししとるんよ」
「……え!?」
……?
そんなに驚くことなんかな?
珍しく目黒くんが目をまん丸にしとる。
……なんか、初めて目黒くんのこと可愛いって思ったかもな。
「1人で?本当に?」
「ほんまやで〜。一応仕送りはあるんやけど、家事とかは全部1人やもん!」
ただでさえ、東京に行くっていうわがままを聞いてもらったんやし…
「とにかく!今日はほんまにありがとうな、おかげで風邪は引かずにすみそうや!」
「うん、こっちこそ…」
目黒くんは何か言いたげにしてるけど、これ以上は目黒くんが風邪ひいてまうやん。
「気をつけてな〜」
「康二も、気をつけてね」
気をつけてって…俺はもう心配することはないで?
………でも、目黒くんと祭り終わった後も話せて嬉しいな。
(目黒視点)
康二、一人暮らしだったんだ…
確かに、詳しくは聞いてなかっただけで、康二って関西出身だったんだっけ?
一人暮らしって大変なんだろうなぁ…
…….何で、康二は東京に来たんだろう?
康二の中学時代とか、俺、聞いたことないな…
いや、聞こうと思えば聞けるんだけど…
康二からその話をしないから、俺もラウも聞かなかったんだよな。
康二のこと、もっと知りたい……かもしれない。
康二の、関西にいた頃の話に興味が湧いてきた。
いつか、話してくれるといいな。
(深澤視点)
岩本と分かれて、ゆっくり家まで歩く。
そろそろ雨も降りそうだし、ちょっと早めに歩こう。
今日、もし父さんが家にいたら……
不安はあるけど、ちゃんと話すって決めたんだから…
多分寝てるんだろうな。
ゆっくり扉を閉めて……うわぁ…下駄だから音響くや…
大丈夫、大丈夫大丈夫……
ちゃんと話すの…ちゃんと…….
こっそり、父さんの寝室に足を運ぶ。
寝てる………
……本当に声をかけるの…?
今なら、逃げられるんだよ…
ここで話さなくても、何も変わらないだけ…
そう、変わらないだけなんだよ………
「……とう…さん…」
……やっぱり起きないよね。
酒とタバコの匂いも酷いし、部屋に戻ろうかな…
浴衣も脱がないとだし、早くお風呂に入って…
「……何だ?お前から話しかけてくるなんてなぁ?」
「………っっ…」
寝室から出て行こうとしたら、強い力で腕を掴まれた。
反射的に、腕を強く振り払いたくなる。
逃げちゃ……だめだ…
「父さん………俺、話さないといけないことがあるの…」
勇気、出せた……
初めて、自分から話そうって思えた…
岩本のおかげで、俺は変われてるのかな…?
父さん掴まれてる腕は痛い。
鼻を突くタバコと酒の匂いもきつい。
言葉を出すのも辛い……
それでも、それでも、俺は変われてる…
「父さん……俺は、父さんの玩具じゃないよ……」
右腕を掴む父さんの手に、俺の左手を重ねる。
小さい頃に繋いだ手とは全然違うな…
「父さんが、酒を飲もうとタバコを吸おうと女の人と遊ぼうと……俺は止めないよ」
父さんが、もうあの頃みたいに戻ってこなくてもいい。
「でも……俺は、違うんだよ…」
俺は、父さんの都合のいい玩具じゃないの…
ちゃんと、俺も生きてるの…
父さん…俺はもう父さんの言いなりにはなりたくない…
俺は、俺の心を大事にしたいの…
………伝えたいことは伝えられた。
俺の急な話に驚いたのか、父さんは呆然としてる。
ゆっくり、父さんの腕を離す。
俺は、俺の意思で生きてくから。
寝室から今度こそ出ようとする。
岩本に、連絡しようかな…?
ちゃんと、話せたよって……
ドアノブに手をかける。
視界が、逆さまになった。
「……う゛っ…」
浴衣の襟を後ろから引っ張られてるみたいで、息が苦しくなる。
やば……っ…
強引に引きずられて、雑にベッドに放り投げられる。
………やっぱり…だめなのかな…
「なぁ?お前…自分で何言ってるのかわかってるのか?あ゛ぁ!!?」
完全に地雷踏んじゃったかなぁ…
ただでさえ酒で酔ってるところに、俺がこんな話したから…
「誰に焚き付けられたんだぁ、そんな言葉?お前は、俺のことを受け入れてくれるんだろ?なぁ?そうだよなぁ!!?」
「……!」
両肩を押さえつけられて痛いな……
「なぁ…?違うだろ?そうなんだろ?なぁ゛!!?」
声を荒げて叫んでる……
そう、か……
この人は、俺のことなんて最初から見てなかったんだ……
この人にとって俺は、自分を認めてくれる都合のいい玩具なんだ…
話なんて、もう…….聞いてもらえないんだ…
抵抗したくても、できない……
もう、そんな力も残ってない…
痛いな……
身体も、心も……
寒くて、痛いんだ……
大きな手が、俺の浴衣の襟元に伸びてくる。
だめだな…
今日も、俺は父さんの言いなりになっちゃうのかな…
結局、俺は父さんの都合のいい玩具………
「誰に焚き付けられたのかは知らねぇけどなぁ?何だこの服は?浴衣なんて着てなぁ!?」
「…….やめ、て…」
「どうせ悪い男とか女に騙されてるんだろ?」
「…違う……違うよ……」
岩本は、悪いやつじゃない……
「外に出ると、悪い連中が引っ付いてくるからなぁ?」
「………ぇ…?」
何……?
え………?何、何……?
「……っ…!?やだ…!!やめてっ……!!!!」
「外から守ってやるからな?父さんが悪かったなぁ…これからは、父さんが一緒にいてやるからな?」
違う……違う、そういうことじゃない……!!
取り出されたのは手錠だった。
このままじゃ、俺………
「やめてっ!!!!」
「……う゛っ…!このっ…!!!」
この上ない危険を感じて、さっきまで抵抗ができなかった俺の腕は動いてた。
逃げなくちゃ…
それだけを考えてとにかく走る。
浴衣が汚れてもいい、靴も履いてる暇もない。
「……っ…っ……!」
外はすごい雨で、俺の体温をどんどん奪ってく。
後ろから追いかけてくる気配はない。
でも、とにかく遠くに行きたかった。
「………っ……」
どれくらい走ったんだろ……
大粒の雨が俺の身体を濡らしてく。
足も浴衣も泥だらけで……
夏なのに寒くって……辛くて…苦しくて……
今まで堪えてきた何かが、雨と一緒に崩れてくるみたいで……
「……ぁ…ぅあ……あぁ…っ…」
もう、俺……耐えられないよ…
(岩本視点)
雨、酷くなってきたな…
『……岩本、俺、ちゃんと話してみる』
…深澤、どうだったんだろう…?
今日、あいつの父親が帰って来てるかはわかんないけど…
やっぱり、心配なんだよな。
「あー!!」
「うわ…びっくりした…どうかしたの?」
急に母さんが声を上げる。
冷蔵庫の前……買い忘れか?
「卵買い忘れたみたい…ちょっと買ってくるわね」
やっぱりか……
「…って、この大雨で?」
流石にそれはまずいでしょ…
「俺、行ってこようか?」
「えぇ!?この雨の中で!?」
そっくりそのまま返すんだけど…?
「母さんはもう風呂入ったんでしょ?俺はまだだし、風邪も引きにくいからさ」
「えぇ〜?じゃあ、頼んじゃおうかしら?」
「はいはい」
傘を持って、外に出る。
うわ…思ってるより雨激しいな…
早く買って、早く帰ろ。
さっきまで祭りだったのに、すっかり暗くなっちゃったな…
雨も酷いし……
「……あれ…?」
公園に、人影…?
傘も差してないのかよ、こんな雨だぞ?
「………っ…!?」
違う……
紫の浴衣……深澤だ…
「深澤!!!」
急いで駆け寄る。
大雨の中、傘も差さずにただ立ち尽くしてる…
「おい!!深澤、どうしたんだよ……!」
呆然と虚空を見つめる深澤の肩を揺らす。
……冷たい…
ようやく俺の存在に気づいた深澤は、ぎこちなく俺の方に顔を向ける。
「…………い、わもと……?」
どこか虚ろな目で、俺のことを見つめてる。
「……っ…」
冷えきった深澤を思いっきり抱きしめる。
深澤は、抵抗も何もしない。
力なく立ち尽くしてるだけだった。
浴衣のままで、裸足で……1人で、寒かったよな…
「岩本………俺、だめだったよ……」
震える声で、深澤が呟く。
言わなくていいよ……だめだったなんて言わないで…
抱きしめる力を強める。
今に深澤は、離したら消えてしまいそうなくらい弱々しかった。
分かってるよ、分かってる……
「………頑張ったな…」
寒い中、1人で本当によく頑張ったね……
「……っ…おれ……ちゃんと、はなしたの……」
「うん」
「むき、あえたんだよ……」
「……うん」
「……っっ……ぅ…グスッ、ぅあ……グスン」
俺の腕の中で小さく震える深澤。
そっか、そうなんだね。
すごいよ。ほんとに、本当に頑張ったね…
「……帰ろう、一緒に」
これ以上深澤の身体を冷やさないように、傘を差し出す。
歩けなかったらおぶってく。
「………ぅん……ぅん………っ…」
ゆっくり、一緒に帰ろう。
俺は、深澤の逃げ場だから。
深澤が、安心して逃げられる場所だから。
コメント
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うゎぁぁぁっ😭 最近浮上してなくて一気見したらもう泣いちゃってぇ😭 父さんを少し殴りたい気持ちがあるけども、、😖 もういわふかで同居しよう。。(?) あとあと、照れちゃうふっかかわよすぎた🤦♀️💞

ふっか💜さん( TДT) ちゃんと貴方の居場所であるひぃ💛君にみつけてもらえてよかったよ〜。゚(゚´Д`゚)゚。