注意事項
・一話参照
*
「aさん!!連れてきました!!!!」
「よくやった。そこに座らせろ。」
aが率いるこの集まりは、音楽室倉庫を基地としている。
ciはそこの椅子に座らせられ、手を括り付けられた。
意識は朦朧としているようで、ぼーっと虚空を眺めている。
「…こいつがgrのとこに??信じられないな。」
「それが本当なんだ。腹立つだろう??」
aは、ニタニタと笑いながらciの髪の毛を引っ張る。
痛みで覚醒してきたciは瞬きを数回繰り返し、aの事を驚いたように見つめた。
「おはよう。真面目くん。」
「…ぉ、おはよう、ございます、??」
「…ッは!頭イカれてんなァ。」
椅子を蹴り飛ばし、ciごと倒れさせた。
ciはまたもや後頭部を打ち、目眩に襲われる。
「てめぇなんかが、grらと絡めると思ったら勘違いだぞ。」
「…ぼ、ぼく、自分から絡んだわけじゃ、」
「うるせぇ!!!aさんに言い訳は通じねえんだ!!」
ドカ、と今度は横から耳元を蹴られる。
鼓膜が震えている気がする。
「言い訳じゃないんですけど、」
「…はは、てめぇ。真面目すぎて笑えるなぁ。」
馬乗りをされる。
嫌な予感がもくもくと煙のように上がって増え続ける。
拳が高く高く挙げられた。
ああ、なんで僕がこんな目に。
ciはきゅう、と目を閉じた。
まあただ、如何せん眼鏡をかけているので瞼は大変なことになるのだろうな。
苦笑するしかないじゃないか。
*
「ciは何処だ。簡潔に応えろ。」
shpはaの集まりの下っ端の胸元を掴みながら問う。
ノラネコと呼ばれるだけあって、目からの圧は重く、周りも寄せようとしない。
「…ッ、お、音楽室倉庫ですッ、」
「…。」
shpは顔面に拳を投げつけ、走り出した。
後ろを続くzmは、彼のことを踏んで蹴り飛ばし後を追った。
「shpくん結局殴るよなぁ。」
「ナヨナヨしとる奴腹立つんで。」
「ciはええんや??」
「あいつはイキったりせぇへんから。」
音楽室倉庫への階段を登ろうとした時。
aの下っ端集団が屯っていた。
「…はぁ、だる。」
「よーし。んん"ッ!!」
zmはぐるん、と来た道を少し戻り、窓を開けて大きく叫んだ。
「ストロール!!!!!!!」
「「!!!!」」
それを聞くと、集団は青ざめ始めた。
stroll。通称、おさんぽ。
アニマルコンビの内、2人。
狂犬達を集め、暴れさせるときの合図である。
それに紛れて、他の人が来る時もあるのだが。
下からものすごい足音が聞こえてくる。
zmはにやりと笑い、動く準備をする。
そして。
「「「いくぜェ!!!!!!」」」
3人は一気に暴れ出す。
その隙にshpは階段を上がった。
悲鳴が聞こえるのが、面白くて仕方ないが、まずは救出が先だ。
音楽室倉庫の扉に手をかけた。
*
ガララ。
薄く開かれた瞼の隙間から、橙色がこちらを向く。
aはshpに気がつくと慌ててパイプを構えた。
ciの足は青黒くなっている。
恐らく、そのパイプで殴られたのだろう。
そして、頬から瞼まで、傷跡が細かく付けられ、傍には壊れたメガネが落ちていた。
鼻血は垂れ流していて、意識もはっきりしていない。
声が出ないまま、ぱくぱく、と口だけが動いていた。
shpは拳を握りしめた。
間に合うことは不可能だったのだろうか。
「な、なんだ??来ないのか、?」
aがパイプを構えたまま震えている。
少し気を緩めた瞬間、コードで思い切り腕を縛りあげた。
音楽室倉庫には偶然にもコードがたくさん落ちている。
何かを訴え続けるaを無視して、黙々と縛り付けた。
それから、aを放置し、ciを抱え上げる。
「すとr」
「「「shpくん!!」」」
全員倒したのだろう、zm達がやってきた。
aを任せることにして、shpは走り出す。
自分からすれば平気な怪我量だが、彼にとっては辛いに決まってる。
早く楽にしてやらないと。
揺らさないように階段を降りていた時、ciがもぞもぞ、と動き出した。
「…ci。」
「んん…、ぁ、shpくん、??」
「すまん遅れた。今基地に向かうからな。」
「うん、じゃあおりるわ、」
「え?なんで降りんの。」
「え、??おもいやろ、?」
「いや、別に??」
「めいわくかけるわけには、いかんからさ。」
へへ、と笑うと彼は腕の中から降りた。
そのまま普通に歩き出す。
あの、青黒い足で。
「お前、怪我してるんやぞ。」
「へーきへーき。」
「だ、だとしてもッ、」
「歳下は、なんもせんでええの。」
「…ッ、!!!!!!」
shpは震えながら手を伸ばす。
それは昔。いつかも忘れたくらいに昔。
確かに。確かに、今日と同じように手を伸ばしていた背中と重なった。
「…ci、おまえ、もしかして。」
「…、」
ふらり、と傾く。
「ci!!」
あの水色を。
鮮明に思い出した瞬間。
*
「ciー!!」
「あっ、shpくんだ!」
田舎にあるブランコと滑り台だけの公園。
サンダルと足の間に砂が入るのも気にせず、子供が走り回っていた、あの頃。
「ciっ、ciの小学校たのしい??」
「うん!たのしい!!」
2人はわいわいと騒ぎ、暗くなったら帰る。
そんな生活をしていた。
2人は少し住む地域が遠く、お互いの家の中間地点に、この公園があるのだった。
幼稚園の時に母親繋がりで出会い、それから毎週ここに集まっている。
小さく小柄なshpを、弟のようにciは大切に扱っていた。
そしてshpも、ciを兄のように慕っていた。
「ci、中学どこ行くか決めた?」
中学受験をするciに、shpは寂しそうに尋ねた。
「うん…。他県なんやけど、ええ場所見つけた。」
「そっか、じゃあもう会えないんかな。」
「わかんない…。」
ciも俯いて目に膜を張った。
現実逃避混じりに、shpは首を振り、再度尋ねた。
「また会えるかな、」
「…会えるよ。絶対おれshpを探すよ。だって、ずっと俺の弟でしょ?」
「でも、俺が会いに行くから。今からにでも、追いかけて…」
「んふふ、お前にはまだ早いよ。」
ciは彼がひとつ、歳下だと思っていた。
shpは彼がひとつ、歳上だと思っていた。
まだ早いんだと、思っていたから。
「…ciッ、め、目ェ覚ました、?」
「…お、おまえって、!」
まさか、彼が shp/ci だなんて思うわけがないじゃないか。
一話800視聴ありがとうございます
コメント
10件
え、すき…😶︎💕︎ ストロールのところもふふってなる!!笑 やっぱ新人組は大好きだ
あれー?やばい涙が止まんない😭絶対いい夢見れる!