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おー!いいねー
じゃあナツキちゃんの模型になる(??)
#01 紫色のライラックと君
ぼんやり明るくなる視界と
共に私は体を起こす
ギシッと木のベットが軋む音
慣れない朝にはぁ、とため息着きながら
私は立ち上がった
自分の部屋、いや寮から出て
エネルギーを失ったお腹を満たすため
食堂に向かう
入ってすぐ私に声掛ける人がいる
『おっはよー!ナツキは朝弱いね〜』
朝から食堂で大きな声で
話しかけてくるのはメガネを掛けて
ポニーテールに髪をまとめたハンジ
私より何期か上だがハンジは
『敬語とか硬っ苦しいのは嫌だから!』と
言って同期のように声を掛けてくる
「そうだね、やっぱ朝は慣れないや」
『おっ、リヴァイじゃーん』
食堂に静かに入ってくるリヴァイにハンジは大きく手を振って叫んだ
『………』
これまた私より1期上のリヴァイ小柄ではあるがスタイルは悪くなく綺麗な漆黒の角刈りの髪
朝っぱらから大声を出すハンジにリヴァイはあからさまに不機嫌そうに眉間に皺を寄せた
タダでさえ三白眼ということもあって怖いのにそれに不機嫌なんて要素を組み合わせたらそりゃ恐怖で周りの兵士から
『ひっ…』という声が上がる
そんな声を聞いてか聞かずかチッと舌打ちをしながら私たちの席の近くに来る
『も〜リヴァイったら朝からにらめっこ?』
「おはよう、リヴァイ」
『…あぁ』
(ハンジはとりあえず無視して)いつも通りまるで同期のようににっこり笑って
挨拶を交わせば素っ気なく返してくる
なんだかんだ彼は優しいとこがある
『ナツキの笑顔は人類最強だぁぁっ!』
「また言って〜」
私が微笑む度にハンジは
そう言って私に抱きついてくる
『おい、クソメガネ朝から
ベタベタしてんじゃねぇよ気持ち悪い』
『お、なに可愛いとこあるじゃーん』
そう言ってリヴァイの頬をぷにっと
刺そうとしたのかハンジが
右手の人差し指を伸ばす
すると光の速さでリヴァイの手が
ハンジの人差し指を握る
『おいおいその汚ぇ手で頬に触れてみろ』
『お前の手は無くなるぞ』
ぎゅぅっと折れそうなほどハンジの人差し指を握るリヴァイにハンジは顔を歪めながら『ごめんって!ギブギブ!!』と謝っていた
「ほらリヴァイ、そこまで」
「ハンジの人差し指折れちゃうよ」
『…なんで年下のお前に
咎(とが)められなきゃいけねぇんだよ』
そう文句を言いながらも
リヴァイはパッと手を離す
「朝ご飯早く食べちゃお?」
『言われなくても食べる』
『食べよ食べよ!!』
正反対なのに妙に嫌な雰囲気にはならない2人
正反対だからこそ対立し合うからこそなのか
2人の仲に少し微笑みながら
スープに口をつけた
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『お、あれナツキじゃない?』
食堂でナツキと別れて数時間経った頃
リヴァイとハンジは書類を持ちながら廊下を歩いている所だった
廊下にある窓から見れば2階なのでちょうど訓練兵の練習の様子が見下ろせる
巨人の模型を立体機動で討伐するものだった
『………』
ナツキは立体機動が好きなのか立体機動で空を舞ってる時は心底笑顔で剣(つるぎ)を
振る
『いやぁ、あんな笑顔で
討伐される巨人になってみたいねぇ』
『気持ちわりぃな、てめぇの思考は』
『そもそも、もうおめぇは奇行種だろ』
『えー何それ嬉しいけど嬉しくない!』
『嬉しいのかよ…』
ケラケラ笑うハンジを横目にリヴァイは
ナツキの華麗な立体機動が
窓越しに目が離せなかった
全ての模型をあっという間に
倒したナツキは地上に降りる
まるで雲のようにふわりと。
ふと振り向いた彼女と目が合って
ナツキは微笑んだ
そしてまた仲間の元へ溶け込んでいく
そんなナツキをリヴァイは後ろ姿が
見えなくなるまで目で追いかけた
『リヴァイ〜?なに黄昏てるの?行くよ』
『……あぁ』
ハンジの言葉に突っ込まず無言で歩き出す
リヴァイにハンジは首を傾げたが
クスッと静かに笑った