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◻︎綾菜にストーカー?
今日は月曜日。
ランチが終わって子ども食堂の準備をしている。
外はすっかり秋めいて、空は高く真っ青だ。
シンボルフラワーとして庭に植えていたひまわりの花は、すっかり種になってしまった。
ピンポーン🎶
ガチャッ!バタバタバタバタ!!
玄関からチャイムが鳴ると同時に誰かが走り込んで来た。
バタンと食堂のドアが開いた。
「よかった、2人ともいて」
慌てて入ってきたのは娘の綾菜だった。
「どうしたの?」
「ね、翔太は?」
「もうそろそろ帰ってくる頃だと思うけど、あんた、仕事は?」
「夕方からの、なんだっけか、大きな会社の記念パーティーに行かなきゃならないんだけど。とにかく、翔太が来たら、ここから出さないで、しっかり見ててくれないかな?」
「いいけど、何かあったの?」
いつもとは違う綾菜の様子が気にかかる。
「詳しくは帰ってから話すけど、なんだかおかしなことに巻き込まれたっぽいんだよね。ストーカー?そんな感じ」
コップに冷たい水を出した。
「ちょっと落ち着いて。綾菜がストーカー被害にあってるの?」
「ハッキリとは言えないんだけど、最近つけられてる気がする。会社に無言電話もあったし。気配だけなんだけどね」
ピンポーン🎶
ガチャッ!
パタパタパタパタ!
「ただいま!」
翔太が元気よく帰ってきた。
「おかえり、翔太。今日はもうどこにも行かないで、ばぁばとじぃじとここで待っててね。おかあちゃん、仕事から帰ってくるまで」
「えーっ!今日はともくんと、ともくんの兄ちゃんと遊ぶ約束したのにーっ」
ほっぺたを膨らませる翔太。
「お願い、今日だけ、ね!」
「えーっ!?」
翔太はランドセルを投げて、プイッと横を向いた。
「あー、じゃあさ、ともくんとお兄ちゃんに、うちに遊びに来てもらったら?それならいいでしょ?ね、お母さん、そうしてもいい?」
翔太をなだめながら、私に助けを求める綾菜。
「それはいいけど。じゃあ、私から連絡してみるわ、香織さんに」
「うん、お願いします。私、そろそろ仕事に行かなきゃ。じゃ!」
慌てて出かける綾菜。
さっきの説明ではさっぱりわからないけど、怪しい人の気配がするから翔太を守って欲しいということなんだろう。
こんな時に翔太の父親の健二がいればいいのにと思った。
私は、久しぶりに香織に電話して、子どもたちと遊びに来て欲しいと告げた。