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7 - 第3話:更新パッチの深層

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2025年05月08日

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第3話:更新パッチの深層

午前10時、シスケープ社 第7開発ビル。

朝のアナウンスと共に、全端末にアップデート通知が走った。


【LAST STRIDE ver.7.3.1 アップデート内容】


新スキル「スモークブレイド」実装


Memory Hunterマップ挙動最適化


ファントムタグ生成条件の調整





ユーヤは自席の前に座り直すと、黒のハーフジップパーカーの裾を引き下げてから、モニターを開いた。

目元の影が濃く、前髪の奥の瞳はコードの列をじっと見つめている。


「……これ、書いたやつ、仕様書読んでない」


彼の視線の先には、スモーク処理に不自然なタイムレイヤー。

処理落ち対策のパッチとしては“急ごしらえ”すぎた。


「おいユーヤ、これ明日のバージョンで入れるって本気か?」

背後の席から、先輩の八巻が顔を出す。


彼はスーツにVRネックフレームをかけた、柔和な笑顔の男。

ユーヤの無口ぶりにも慣れた様子で、コーヒー片手に話しかけてきた。


「お前さ、動作チェックしすぎてユーザーと戦ってる夢とか見てんじゃねぇの?

……ま、あり得るな、お前なら。」


返事はない。ユーヤはただ静かに、修正ログを自動分岐処理にかけながら、

一行、また一行と“癖”のパターンをチェックしていた。


“このコード、チーム内の誰も書いてない” “けど、俺には見覚えがある”







【LAST STRIDE:テストサーバー】


ユーヤは開発者用の非公開サーバーにログインした。

アバターはsystem_0仕様、黒の簡素な戦闘ユニット。


そこにあったのは、表に出ていない変化済みマップだった。

建物の配置、出現武器、そしてタグの挙動が異常に“誘導的”になっていた。


「……これは、操作している。戦いを“演出”するためのパターンだ」


敵役のAIがユーヤに向かって突進してきた。

その動きは予測可能。彼はリズムで詰めるように距離を縮め、

ナイフでAIのセンサーを2度突き、反転して一閃。


光と共にAIが消失する。

残されたコードフラグに、ユーヤの目が細くなる。


【Author : UnknownDev_00】

【Memo : “Emotionally-guided balance” test - DO NOT MERGE】




「誰かが“感情”を使ってゲームを調整しようとしてる……?」





【COKOLO:ユーヤの通知欄】


仮想画面にピコン、と通知。

送り主はコザクラ。


《おにーちゃんへ:今日の“飼い主たち”、ちょっと荒れてるけど大丈夫だよ!

あと、見えないタグって、ちょっと怖くない?》




ユーヤは通知を閉じた。

そして、一言も発さずにサーバー内部のディレクトリへと深く潜る。


“お前は何を記録した。誰のために”







【現実:第7開発ビル 夜】


窓の外には、湾岸の風景と広告塔のNEO-Vロゴがゆっくりと回っていた。

オフィスの片隅、ユーヤの席だけがまだ明かりを灯していた。


彼は黙々とコードの“違和感”をログへ記録しながら、

モニターの横に置かれた、冷めた緑茶の缶を手に取った。


“NEO-Vは、ただのデバイスじゃない。”

“これは、人の“感情”を読む装置に、なりかけている。”

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