その繰り返しをするうちに昼飯を乗せていたトレーにはもう、パンくずしか残っていない。
それに比べて、書類の山はまだ残っていた。
二人分のため息がまた、書斎に響く。
「そう言えば、主」
ふと思い出したように、主に話しかけてみる。主は「なんだ?」と返事をしながら、相変わらず書類と睨み合っている。
「1週間後の話なんだが、俺の弟子(仮)の中華がここに来るんだ」
面倒な書類の仕分けをしながらも話を続ける。
「あぁ。あいつか。あの、中国の所のだろ?」
人物と名前の一致ができたようで、納得したように声を漏らす。
「そう、そこのドールだ。確か、1週間ぐらいここに滞在する事になったらしくってな」
「まぁ、それだけだ。主は気にせず仕事でもしといてくれ」
主より一足先にまとめ終わった書類を机にトントンと叩き付けて揃える。
「わかった。…主炎、こっちの書類も手伝ってくれ」
ため息混じりの乾いた笑い声を上げながら、俺に書類の束を手渡してくる。
「……了解した」
ため息なんてつく暇も無く、書類に目を通す。
「何回この書類提出してくんだよあいつ」
「ここの工事は……」
そんな独り言が書斎に響きながらも、徐々に書類の量は減ってゆく。
そうこうして、数分後。
やっと、やっと、仕事が終わった。
もう窓から見える外の景色は夕焼け色に染まっていた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!