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この小説は一切ご本人様に関係ありません。
rb×sha
⚠敵対⚠
⚠暴力表現⚠
わんく
『――シャオロンに告ぐ、面を付けた男に警戒せよ――』
s「りょ―かぁ―いっ♪」
そう言って俺は早々にインカムを切り、先程まで腰を下ろしていた城の一番外の塀の上に仁王立ちし辺りを見回す。すると堂々と外部から城へ侵入しようとしている小さな男を発見する。
…ん?小さい?……おいおい、俺は一応兵士っつったってガキンチョを相手する為に居るんちゃうんやけど…。そう思いながら俺は塀から下り、面を付けた男の目の前に行く。
s「おい、これ以上は入ったアカンぞ。ガキはさっさと帰んな、w」
「…俺はガキやないぞ、」
s「あ?どう見たってガキやないかいwなんや、それともそういう時期かいな?笑」
「ええからさっさと通せ、俺も上から指示が出てんねん…。」
そう言って男は俺を無視してズカズカと内部へ侵入しようとする。俺は足を速める彼の数歩先にナイフを投げた、ガキだからと容赦はしない…自分なりの忠告のとして投げた。
目の前に居るんはただのガキンチョ…いや、今も尚冷戦状態の彼に向けて俺はこう言い放った。
s「……もう容赦はせんぞ、ロボロ。」
r「…ふん笑…ドンと来い、受け止めたる。」
彼のその言葉を合図として俺は受け取り、俺は常備している短ナイフをもう一つ取り出した。軽く一呼吸し、自分の心を落ち着かせる…。
カッ、と目を開き、相手の方へ俺は突進した。声も足音さえも出さず彼の方に短ナイフを構え、勢い良く突進する姿はまるで獣の様だった。だがこのパターンは何度も彼は目の当たりにしており、すぐに交わされた挙げ句俺の背後を取った。
r「…後ろがお留守ですよ”ッ!」
先程まで緑の森林が目の前にあったのも束の間、すぐに俺の視点は青空を向いていた。すると同時に俺は先程まで遠くにあった森林の大きな木に腹を打った…いや、打たれたが正しいのか?
s「ッァ”が…ッ!?」
アイツに背中を蹴られた挙げ句、そのまま吹き飛ばされ木に受け止められた様だ。背中と腹に激痛が走る、ビリビリと背中は痺れているようだ。
自分の舌の上には鉄分の味がじわりと広がる、後ろを蹴られたと同時に舌も軽く噛んでしまったのだろう。嗚呼…駄目や、衝撃がいきなり過ぎて意識が遠くなってきた…。アカン、このままやとマズイ…こうなったら意地でも…ッ!
s「…ッ、ふ…!ん”…ッ”…!!」
r「っ!?…おいおい…マジかよ…?」
俺は自分の腹を片手にある短ナイフで突き刺した、もっと自分に刺激を与え意識を手放さない為に。短ナイフから自分の片手にまで血が滲めば、短ナイフを自分の腹から出す。
そしてふらつく足取りで立ち上がり、彼の方へ歩み寄る。そんな俺を心配するかの様に彼は俺をじっ…と見詰めていた。
s「……、」
r「…まだ……やんのか、あんさん。」
s「…んふ…笑、久しぶりのテメェとの戦闘や…。じっくり楽しみたいに決まっとるやろ…笑」
r「…そりゃど―も、ほんなら…手加減はせんぞ。」
そう言って彼は俺の方に体を向け、戦闘態勢に入った。俺は自分のニット帽を外し、黄色く目立つ繋ぎの大きなポケットの中に突っ込んだ。
すると同時に、先程まで隠していた首元まである長い髪を下ろす。まぁ…ボブと言った所か、昔っから女っ気のある俺は良くこの手を使って何人もの敵をなぎ倒したものだ。
r「っ…お前……、!」
s「笑…どうした?女相手じゃ殴れへんか、童貞w」
r「卑怯な手ェ”使いまくるなぁお前は……」
俺は口角を上げれば、戦闘態勢に入る。俺とロボロの間に少しの沈黙が続いた、どちらも睨み合って一向に警戒を解いていなかった。
すると、ふと俺の視界の端に美しく綺麗な蝶がチラついた。次の瞬間、俺は腹に激痛が走る。何かと思えば俺の腹部中心には彼の拳…。殴られた、そう思っていれば喉の奥から生暖かいモノが這い上がりソレが勢い良く出た。
s「ッぉ”えェ”あ……ッッ、!!」
r「ッぅわ…きッたね―…っ」
自分の吐瀉物と共に出る血、ビシャビシャと音を立て自分の血が混じった吐瀉物が茶色く乾燥した地面と衝突した。幸いにも刺した場所には拳が当たらなかったのか、彼の拳には血が付着していなかった。
自分の口を抑え、彼の顎に勢い良く蹴りを入れる。彼は俺の出した吐瀉物に意識が行ったせいか、攻撃の事は何も考えていなかったらしい。両者共に離れ、警戒心を一気に膨らました。
r「ッごホ…っ、ぁ”あ…ッ……油断は禁物やぞ―…あんさん……。」
s「はぁ”…ッ!うッせぇ”な…早よ来いや…っ」
r「いや~…来いっつったってねぇ…内心アンタ、疲れとるやろ?w」
s「ッう”ッせェ”ッ!!お前やって俺みたいな雑魚と業々張り合ってしょ―もない優越感を感じとるだけやろがッ!!」
もうこの最自分が雑魚だと認知した上で言っている、やって…プライドなんて今の状況では捨てたモン勝ちの様なモノ。俺はそう彼に言い放ち、腹の底から彼を笑ってやった。
すると、俺の視界が再び青空を向いた。あぁ…顔、殴られたんやな。一瞬で理解した、吐瀉物は出るわ暴言は出るわでえらいこっちゃ。俺は少しよろけたものの、すぐにバランスを取り戻した。
r「おぉ~?どうしたぁ、?さっきまでの威勢は何処にやったんや。」
s「……、」
r「なにボーッと突っ立っとんねや…こんなんまだ序の口やぞ。」
そうロボロが呟くと同時に、再び俺の顔面に痛みが走った。すると次は立て続けに腹部を蹴られ、いつの間にかロボロの片手にあったナイフで俺の足が切り付けられた。
俺は痛みがどうこうよりも、ロボロの凄まじい速さに呆気を取られとった。抵抗する間もなく俺は立っていられなくなり、地面に膝を付いた。
r「ッはぁ”…おい、どうした?もう攻撃は終わりかぁ?……ほんなら、徹底的にやらせて貰うで。」
s「…」
ロボロそう言うと、地面に膝を付いている俺を押し倒し馬乗りになる。そして俺の胸ぐらを掴み、拳を振り上げた。何度も、何度も何度も何度も俺はロボロに殴られ続けた。
ロボロは俺を見下す様な形で殴り続ける。面の下の表情はきっと、己の口角を上げながら優越感に浸っとるんやろうなぁ…。その内俺はぐったりとし、力尽きていた。
r「……おい、起きろ。目ェ”覚ませや、」
s「ッう”…ぁ”……、ッ」
r「誰が寝てええっつった?あ”?」
s「……、」
殴りたきゃ気が済むまで殴れよ、俺の気が失うまでずっと殴ってろよ。俺はロボロに胸ぐらを掴まれながらも、青空に視線を移していた。あ―…、今日は快晴やなぁ…雲一つないやん…。
俺の視界には、大きく拳を振り上げるロボロの姿が目に映った。…これで、俺もお役御免かぁ…。つまらん人生やったなぁ、締めるなら…脳を思いっきしシバいて、苦しまずにやって欲しいなぁ…。
r「……お前、やられっぱなしでええんか。」
s「……も”うどうでもエ”エわ…、締めるなら”…締めろ”よ…。」
r「…、」
俺は彼からそっぽを向いた。ぼんやりとする視界の中、俺はボーッとしていた。段々と意識が遠退いて行く、頭ん中は真っ白になって…何も考えたくもなかった。
その時、先程まで横になっていた上半身がいきなり起こされた。そして、自分の胸辺りに温もりを感じた。空っぽの頭を無理矢理機能させ、状況を把握する。
s「……は、…」
r「…懐かしいなぁ、シャオロン。」
s「…ぇ”…、なん…っ…で……。」
抱擁をしていた、コイツと。今まで思い出したくもなかったロボロとの懐かしい思い出が蘇る。ぼんやりとする視界は段々ハッキリして行くものの、またすぐにぼんやりとして行く。
自分の頬から顎に伝う涙に俺は羞恥心を抱く、だがその涙を止められる訳もなく俺はロボロの肩に顎を乗せて嗚咽混じりに言葉を吐いた。
s「っなんで…ッ、何で最後の最期でッ…おれにッ…優しくすんだよぉ”…っ!ばかぁ”…ッ、!」
r「…俺も人間や、情を掛けたってええやろ。」
s「ばかぁ…ッ、ぼけなす…ッ!あほぉ”…っ、かすゥ”…っ!」
俺はボロボロと流れ出る涙と共に彼に向けて暴言を吐き続けた。暴言と言っても、物凄く幼稚で…まるでガキが言うような言葉ばかりだった。
一頻り暴言も吐き、涙が少し収まった所で、ロボロは天と書かれた面を外し俺に預けた。俺は訳も分からず彼の面を受け取れば、ロボロは俺の額にキスを落とした。
s「…っえ…、…」
r「…安心せぇ、生きて帰る。」
s「えぁ……ろ、ぼろ…。」
地面に今も座り込んでいる俺を背に、ロボロは城へと入り込んで行った。彼の背は今までよりずっと頼もしそうに見えた。
…いつからだろうか、何事にも怖気づかずまるで勇気だけで立ち向かう彼に対して…大きな憧れを抱いていたのは。そして…いつから憎み羨んで、敵対視してしまったのは。
終わり。
良いよねこういうの。
では、次の投稿でお会いしましょう。