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「おはようございます」

シャッと勢いよくカーテンが開けられ、眩しい光が瞼に差す。堪らず掛布を頭まで被ったが、それも直ぐに剥がされてしまった。

「……お前な、俺が陽の光が苦手なのは知ってるだろう」

「勿論承知しております」

言いつつ、テキパキと洗顔用の湯やらタオルやらを用意する執事。子リスのようにちょこまか動くのが可愛らしくて、つい自然と笑みが浮かぶ。

「…公爵様、どうかされましたか?」

「いや、何でもない。それで、今日の予定は?」

執事が煎れてくれた紅茶を飲みつつ、手渡された書類に目を通す。今日は夕方から来客……隣国の侯爵だ。あまりいい噂は聞かないが、仕方あるまい。

軽く朝食を済ませ、執事が用意した服に着替えたタイミングで、退室していた執事が慌てた様子で部屋に入ってきた。


「どうした?」

「公爵様、大変です。隣国の侯爵様が昼前にはこちらに到着するとの連絡が…」

……どうやらかなりせっかちな相手のようだ。それでいて傲慢で自己中、そんな奴をこの屋敷に入れたくは無いのだが、仕方あるまい


「執事、すまないが急ぎ厨房に連絡を。食材は十分あるな?」

「はい、昨日のうちに買い出しは済んでおりますし、仕込みも完了しております」

「よし。ではお前は各所に廻り、不備がないか確認してきてくれ」

「かしこまりました」

生贄執事と吸血公爵

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