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原作っぽくないかも。(口調・性格)
誤字脱字合ったらすんません。
保科宗四郎死亡if
全力で泣かせに行こうと思います。
今日の話
最近寒くなってきて風邪とか流行る時期ですね。私はまだ元気ですけど。(笑)
体調管理お互い頑張っていきましょうね。
「予防は治療に勝る」です。
第1話 戦場の約束
朝の光がまだ霞む時間帯、寮の窓辺に煙草の煙がゆらいでいた。
鳴海弦は無言で煙を吐き出し、視線を遠くに落とす。
ベッドの上では、保科宗四郎が淡い寝息を立てて眠っていた。
あの男は、戦闘服のまま寝る癖がある。いくら言っても聞かない。
几帳面なくせに、こういうところだけ抜けてる。
──ま、そういうとこも好きなんだけどな。
煙草の火を消し、鳴海はベッドの端に腰を下ろした。
保科の額に手を伸ばす。少し寝癖がついていて、触れると柔らかい髪が指の間でほどけた。
ほんの短い時間、こうして触れていると、戦場の緊張も少しだけ遠のく気がした。
「……起きろ、保科。もうすぐ出発だぞ」
「……ん、もう少し……」
低く、寝ぼけた声が返ってくる。
この瞬間だけは、あの副隊長らしい威厳もどこかに消えてしまっていた。
「ほら、副隊長が寝坊したら示しがつかねぇだろ」
「お前も隊長やろ……」
「おう、だから二人して寝坊だ。最悪だな」
保科は布団から顔だけ出して、うっすら笑った。
鳴海もつられて笑う。
──笑うたびに思う。
この笑顔を守りたいって気持ちは、もう、戦いの理由になってるんだと。
⸻
午前の任務は、いつも通りの討伐作戦。
立川の方で起きたので第3部隊が中心となり、関東郊外に出現した中型怪獣の掃討。
保科が前衛、鳴海が後方支援。
息の合った連携は、もはや戦術書に載せてもいいレベルだった。
「鳴海、左側、カバー頼む」
「了解。3秒で片づけてやる」
背中合わせで戦う二人。
鳴海が銃を構え、保科が刀を抜く音が重なる。
金属音と爆音が入り混じる戦場の中、互いの存在を確かめ合うように呼吸を合わせた。
「……三年か」
保科がぽつりと呟く。
「ん?」
「明日で、付き合って三年や」
「そんなもんか。長ぇようで短ぇな」
「ほんまやな。……鳴海、明日、時間あるか?」
「どうせ任務詰めだろ」
「いや、無理にでも空ける。大事な話があるんや」
──その言葉が、ずっと耳の奥に残った。
⸻
任務は予定通りに進んでいた。
だが、最後の1体──異様に硬質化した個体が出現した瞬間、空気が変わった。
保科が前へ出る。
「俺が引きつける。鳴海、援護頼む!」
「無茶すんなよ、保科!」
保科の刀が閃く。鋭い一閃で怪獣の外殻を裂いたが、その反撃はあまりにも速かった。
硬質な腕が振り下ろされ、地面が裂ける。
土煙の中、鳴海は叫ぶ。
「保科ッ!!!」
爆音と光の中で、保科の姿が消えた。
心臓が一瞬止まったような感覚。
全身が熱くなり、脳が焼けるほどの怒りと恐怖が押し寄せる。
鳴海はすぐさま駆け寄った。
崩れた瓦礫の下で、保科が血に染まりながら倒れていた。
腹部を貫通された傷口。装備が溶け、血が止まらない。
「クソッ……医療班!早く来い!!!」
鳴海は必死に止血を試みながら叫ぶ。
保科の手が、弱々しく鳴海の手首を掴んだ。
「……鳴海…さん……」
「喋んな!お前が死んだら、俺どうすりゃいいんだよ!」
「大丈夫や。……まだ、約束、果たしてへん」
その声はかすれていたけれど、確かに笑っていた。
「明日、ちゃんと話がある言うたやろ。……せやから、まだ死なん」
鳴海は唇を噛み締めた。
こいつはいつもそうだ。どんな時も、俺を安心させるような顔をする。
血に染まって、息が荒くなっても。
まるで、俺よりも強いとでも言いたげに。
「……バカ。お前、いつもそうだな」
「副隊長やからな……」
「そういうとこがムカつくんだよ」
「好きなくせに」
鳴海は息を飲んだ。
そう言われて、何も言い返せなかった。
ただ、握る手を強くした。
⸻
救護班が到着し、保科はヘリで運ばれていった。
鳴海はその背を見送るしかできなかった。
銃剣 を握る手が震えていた。
あの冷静な鳴海弦が、初めて恐怖で手を震わせていた。
「……頼む、死ぬなよ」
誰にも聞こえない声で呟いた。
空は曇って、雨の匂いがした。
⸻
夜。
保科は医療室のベッドで眠っていた。
鳴海は椅子に座ったまま、その横顔をじっと見つめていた。
包帯に覆われた胸が、微かに上下している。
それだけが生きている証だった。
「なあ、保科」
声に出すと、思っていたより震えていた。
「俺、明日、お前に言うつもりだったんだ。……これ、渡そうって」
ポケットから、小さな箱を取り出す。
銀色の指輪が光った。
3年記念日。
不器用な男なりに、精一杯考えたプレゼントだった。
「お前に似合うかどうかなんて、わかんねぇけどさ……」
「……鳴海」
弱々しい声がした。
保科が目を開けて、鳴海の方を見た。
「泣くな」
「泣いてねぇ」
「泣いとるやろ。目が真っ赤や」
「……うるせぇ」
保科が微笑む。
その笑顔は、昼と変わらない穏やかさで。
だけど、どこか遠くに行く人のようにも見えた。
「鳴海。……お前と一緒におれて、幸せやった」
「やめろ、そういう言い方」
「明日、ちゃんと話す。せやから……今日は寝かせてくれ」
鳴海は頷いた。
それが、最後になるとは思わなかった。
⸻
深夜。
静まり返った医療室で、機械の音だけが鳴っていた。
鳴海は眠らず、保科の手を握っていた。
その手の温もりが、少しずつ、冷えていくのを感じながら。
「……頼む、明日まででいい。目ぇ覚ませよ」
答えはなかった。
ただ、窓の外で雨が降り始めた。
空が泣いているように見えた。
𝓝𝓮𝔁𝓽 ♡50 𓂃 𓈒𓏸