꒰ঌ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ໒꒱
原作っぽくないかも(口調・性格)
誤字脱字あったらすんません。
保科宗四郎死亡if
今日の話
最近私は「ギヴン」という漫画?アニメ?にハマりました。皆さんは推しやオススメの漫画・アニメありますか?良ければ教えてくださいね。
「SNSは、推しとファンを繋いでくれる奇跡の赤い糸」です。
第2話 指輪と光
朝が来た。いつもと同じように太陽は昇ったのに、この部屋の中だけは時間が止まっているようだった。
鳴海弦は、白いシーツの上に座り込んでいた。
隣のベッドには、保科宗四郎。
あの男は、まだ眠っている。
けれど、もう息の音はなかった。
「……冗談、だろ」
かすれた声が漏れた。
手の中の指先は、氷のように冷たい。
どれだけ名前を呼んでも、もうそのまぶたは開かない。
昨日の夜まで、確かに笑っていたのに。
「明日、ちゃんと話がある」って、言ってたのに。
あの約束が、嘘になるなんて思ってもいなかった。
鳴海は何度も呼びかけた。
声が枯れても、喉が痛くなってもやめられなかった。
隊員たちはドアの前で静かに立ち尽くしていた。
誰も鳴海に近づけなかった。
彼が今どれほど壊れそうなのかを、全員が知っていたからだ。
⸻
少し前まで、鳴海は人を「守る」ことを自分の使命だと思っていた。
誰かの命を守るために戦う、それが隊長としての責務だと。
だが今は、ひとりを守れなかったという事実が、全てを壊していた。
「……お前、ほんと勝手だよな」
笑おうとしたが、声が震えて笑えなかった。
「置いてくなよ。俺にちゃんと“話がある”んだろ? ……聞かせろよ」
応えはない。
機械の音も、もう止まっていた。
鳴海はふらりと立ち上がった。
机の上に置いてあった小さな箱を手に取る。
昨夜、渡せなかった指輪。
銀色に光るそれを見つめると、胸の奥が締めつけられた。
⸻
時間は過ぎていく。
午後には、保科の遺体が安置室へと運ばれることになった。
外では冷たい風が吹いている。
第3部隊の面々が泣きながら整列しているのを、鳴海は何も言わずに通り過ぎた。
その顔は、いつもの冷静な隊長のままだった。
ただ、目の奥の光だけが、もうどこにもなかった。
医療棟の奥。
そこに、保科の身体は静かに眠っていた。
白い布が掛けられ、整えられた顔は穏やかで。
まるで、少し眠っているだけのように見えた。
鳴海は椅子を引き寄せ、そっと座った。
右手には、あの指輪。
左手で保科の手を取る。
「……なあ、保科。お前がいなくなったら、俺、何守りゃいいんだ?」
返事がなくても、鳴海は話し続けた。
「俺さ、初めてお前に会ったとき、うっとうし
い奴だと思ってたんだよ。やたら真面目で、融通が利かなくて。
でも、誰よりも人を見てて、誰よりも背中で信頼をくれた。
気づいたら、お前がいないとチームが動かなくなってた。……俺自身も、な」
指輪を取り出す。
小さな銀の輪が、鳴海の指の間で光った。
彼の手が震える。
唇を噛み、深く息を吐く。
「……保科宗四郎。俺は、お前に言うつもりだった」
声がかすれる。
喉の奥が痛い。
それでも言葉を絞り出す。
「結婚しよう。……一生、俺の隣にいろ」
そう言って、鳴海は保科の左手薬指に指輪をはめた。
カチリと小さな音が響いた。
それだけで、胸が崩れそうになった。
「遅ぇよな……。こんな時に言っても、もう届かねぇか」
涙が頬を伝う。
鳴海は堪えようとしたが、もう止められなかった。
「……お前がいたから、俺はここまで戦えた。
お前が笑うから、俺は生きてこれた。
だから……もう、いいよ。 疲れたなら、ゆっくり休め」
彼の声は震えていたが、その表情はどこか穏やかだった。
まるで、ようやく言えた想いを抱きしめるように。
鳴海は保科の額に手を添え、静かにキスをした。
「……愛してる」
その瞬間、窓の外で雲が切れ、光が差し込んだ。
柔らかな陽光が、保科の指に嵌められた指輪を照らす。
ほんの一瞬、銀色が淡く輝いた。
鳴海はそれを見つめ、目を閉じた。
涙が頬を滑り落ち、保科の手の上に落ちる。
「……見てたら怒るだろうな、こんなの。
でももう、隠さねぇ。お前のことが、俺は――」
言葉が続かなかった。
声が詰まり、ただ彼の胸に顔を埋めた。
つらい。苦しい。なぜこいつなんだ。
なぜこいつじゃなきゃダメなんだ。
返してくれ。
神でも仏でも、なんでもいい。
お願いだから。また、笑ってくれよ。
⸻
夕刻。
鳴海は静かに医療棟を出た。
空は茜色に染まり、風がやさしく吹いている。
ポケットには、もう一つの指輪。
彼の分。
隊舎の屋上に立ち、空を見上げた。
「……なあ、保科。俺、まだ戦うぞ。
お前の分まで、全部背負って戦ってやる」
風が頬を撫でる。
遠くで夕日が沈み、夜が来る。
その一瞬、空の向こうに、保科の笑顔が見えた気がした。
鳴海は微笑んだ。
涙の跡が乾かぬまま、そっとポケットの中の指輪を握る。
「いつかまた、そっちで会おうな。その時はちゃんと――並んで、笑おう」
風の中で、彼の声は静かに消えていった。
そして空には、まるで答えるように一筋の光が流れた。
―𝓮𝓷𝓭―
コメント
2件
らあとさんの作品いつも見てます!めちゃくちゃ文の作り方とか上手くて尊敬してます!!これからも頑張ってください!
めちゃくちゃ感動してしまいました😭鳴海隊長どれだけ辛くて悲しかったか気持ちがめちゃくちゃ伝わってきました、、