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蒸気がやわらかく肌を包むバスルーム。微かに香るバスオイルの甘い匂いと、水音が静かに響いていた。
「みこちゃん、痛くない?」
すちの大きな手が、みことの腰を支えるようにして、ぬるま湯の中でそっと抱き寄せる。みことは小さく首を振った。
「……ううん、平気。ちょっと……中がまだ、すちの……熱いけど」
その言葉に、すちは少しだけ喉を鳴らす。指先を慎重に添え、みことの奥へそっと触れる。お湯の中でもわかるほどに、みことの中は柔らかく、彼を受け入れたまま、微かに脈打っていた。
「中……いっぱい出したから、流してあげる」
そう囁くと、すちはみことの脚をやさしく開かせ、背後から両腕で支えながら、ぬるま湯とともに、彼の中へ指を沈める。
「っ……ぁ……や……」
とろけた粘ついた残滓を、ゆっくりとかき出すように動かす。愛撫とも浄めともつかない、優しい所作。でも、みことの身体は素直で、くちゅりと音を立てては、指の動きに反応してしまう。
「感じてるの……? ケアしてるだけなのに」
「ち、が……う……でも……っ、すちの指、奥……ふれて……」
その反応に、すちの目がいたずらっぽく細まる。
「ふーん……じゃあ、わざとやってみようか」
「えっ……? すち、まって、そこっ……!」
前立腺を正確に狙うように、指先がぐっと押し上げた瞬間、みことの身体がびくんと跳ねた。目の前が一瞬、白くちかちかと瞬く。
「んんッ……あ、あああ……だ、めぇ……」
ぬるま湯に響く声は、甘く、乱れている。身体をくの字に折りながら、みことはすちの胸にしがみつく。彼の中では、指がぐちゅぐちゅと意地悪に擦り続けていた。
「こんなに感じるなんて……ほんと、俺の形になってるんだね」
「やっ……あ、だめっ、また、イク……っ!」
指を抜く間もなく、みことの腰が跳ね上がり、波打つように絶頂が彼を襲った。視界が霞み、口から漏れるのは声にならない甘い喘ぎ。
すちはそんな彼を静かに抱きしめ、ゆっくりとお湯の中で背中を撫でた。
「……だいじょうぶ、ちゃんと全部きれいにするから。気持ちよくなっても、ちゃんとケアだから、ね?」
優しさと執着が絡む声に、みことは息を震わせながら頷いた。
「……うん、すち……だいすき……」
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湯上がりの肌はまだほんのりと赤く、みことはバスローブの前をぎゅっと握って、ベッドの端にちょこんと座っていた。髪からぽたぽたと滴る水滴を、すちは乾いたタオルでやさしく受け止める。
「じっとしてて。ちゃんと乾かしてあげるから」
「……うん……」
いつもより少しだけぼんやりした声で、みことは頷いた。お風呂の中で絶頂を迎えたあとの余韻が、まだ身体に残っている。力の抜けた首元に、すちの指がタオル越しにふれ、するすると水気を吸い上げるたび、こそばゆいようなくすぐったさが走る。
「すち、今日はちょっと……いじわるだったね」
「ん、だって……みこちゃんが、あんな可愛い声出すから」
「それ、すちがしたからでしょ……」
恥ずかしそうにぷいと顔を背けるみことの頬は、火照りのせいか羞恥のせいか、ほんのりと赤い。すちは思わず笑みをこぼし、その横顔にキスをした。
「じゃあ、お詫びにもっと優しくしてあげる」
「……ほんと?」
「うん。今日はもう、なにもしない。ただ、甘やかすだけ」
その言葉に、みことの身体から力が抜けた。されるがままにタオルドライされ、髪の毛先を整えられ、やがてベッドの上に横たえられる。
すちはクローゼットから、みこと用のゆったりしたパジャマを取り出すと、まるで子どもを扱うように、ひとつひとつ着せていく。
「……甘やかしすぎじゃない?」
「だめ?」
「……ううん、すき……」
すちが微笑んで毛布を引き寄せると、みことはすっとその腕の中に潜り込んできた。まるで最初から、そこが自分の居場所だと知っているかのように。
ふたりの間にはもう、言葉はいらなかった。指先が絡み合い、額と額がそっと触れるだけで、心は満たされていく。
しばらくして、みことの呼吸が静かに整いはじめる。すちはその髪をゆっくり撫でながら、低く呟いた。
「……おやすみ。俺の、かわいいみこちゃん」
その声が届いたかどうかもわからないまま、みことは静かに眠りへと落ちていった。
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