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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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ドズさんとめんと過ごすようになって、少したった頃。

今でも、はっきりと思い出せる程のトラウマでもあり、俺が救われた日。

その日の学校終わり。

家に帰った時だった。

父が帰っていた。

いつもは他の女の所に行っていて帰ってこない。

母も、その事にはとっくに気がついていた。

だけど、母は….

ぼん母「あの人は悪くないわ!!」

と、父を庇うばかりだった。

そして….

ぼん母「あの人のことを悪く言うなんていい度胸じゃない!!」

ぼん母「来なさい!!」

俺に八つ当たりをした。

殴られ、蹴られ、切られ、閉じ込められ、腐ったものを食べさせられ….

散々だったのを、覚えている。

だから、父の靴を見つけた俺は家を一目散に出ようとした。

けど、もう遅かった。

扉に手を掛けた瞬間….

ドンッと音がして、俺は床に倒れ込んでいた。

頭の処理が追いつかなかった。

わかるのはただ1つ。

頭が酷く痛いこと。

痛い頭をなんとか動かし、キッチンの方を見る。

すると、父が鬼のような形相で隣に立っていた。

やらかした。

俺の頭は、ようやく察し、それだけを感じた。

ぼん父「おい。」

父が低く、怒りを含む声で俺に言う。

ぼん「はっ….は、やっ……」

俺は過呼吸で、上手く喋れなかった。

酸素を吸って、吸って吸って吸いまくっても、肺は酸素を求める。

そして、父が腕を振り上げた。

ぼん「やっ….や、いゃ…..」

ゴンッと頭に重い一発をくらった。

俺は、意識をなんとか保たせる。

痛い….

ぼん父「なに家出ようとしてんだよ」

やはりバレていた。

ぼん父「せっかく父親が帰ってきてやったんだぞ」

ぼん父「なぁ、聞いてんのか?」

そう言い、父は俺の髪を掴み上げる。

ぼん「い”っ…聞いて、ますっ…..!」

俺はまだぼんやりとしていた頭を働かせ、何とかそう答えた。

帰ってきてやった…..?

俺はそんなの望んでない。

恐らく父は、散々貢いでいた女に逃げられたのだろう。

つまりこれはそう、ただの八つ当たりなのだ。


その後俺は、リビングに連れていかれ、色々された。

もちろん殴られ、蹴られた。

父の一発一発は重く、ずっしりときた。

母となんて比べ物にならないくらい。

その様子を、母は満足そうに、どこか怯えているように見ていた。

一通りボコボコにされた時だった。

ぼん父「お前、脱げ」

ぼん「…..はっ?」

意味がわからなかった。

ぼん父「脱げって言ってんだよ聞こえねぇのか?2度も言わせるな。」

ぼん「えっ….え、な、なん、で….?」

ぼん父「いいからさっさと脱ぐんだよ!!」

そういうと、父は思いっきり、さっきのとは大違いの特段に重い一発を俺にくらわせた。

ぼん「かはっ……?!」

死んでしまう

頭で咄嗟に理解した。

今従わなければ、殺される

だから、素直に服を脱いだ。

俺の肌には、母から常に振るわれたもの、先程父に振られたもの、たくさんの暴力の跡があった。

ふと父を見ると、父はなぜかズボンを下げていた。

ぼん母「えっ….わ、私とはしてくれないんですか?!」

母はそう慌てたように父に聞いた。

何の話か、俺はさっぱりわからない。

ぼん父「当たり前だ。お前はどこかわざとらしいし、声も甲高くてイライラする。」

ぼん母「そんっ、な……!」

母は、顔が真っ青になった後、真っ赤になって俺を睨んだ。

どうして、俺が恨まられなければならないのだろう。

そんな疑問が浮かび上がった時、一瞬で理解した。

今から俺がなにをされるのかを…

ぼん父「よし、おい。向こう向け。」

ぼん「えっ…….?」

ぼん父「2度も言わせるなと言っただろう!」

ぼん父「向こうを向いて、尻をこっちに出せって言ってんだよ!」

確信した。

俺は今から犯されるんだと。

ぼん「いやっ….いや、です……!」

気がつけば、そう言ってしまっていた

言ったあと、ハッとした。

俺は父に歯向かってしまった。

父は、今まで見たこともないような怖い顔をしていた。

その顔を見ただけで、俺の足はすくんで動けなくなってしまう。

ぼん父「今、なんつった?」

父が低い声で言う。

終わった。

逃げなければ命はない。

俺は震えて上手く動けない足を必死に動かす。

ダメだ。

使い物にならなそうだ。

父が俺の首目掛けて手をこちらに動かしてくる。

そこでやっと、足が動いた。

脳が本能的に命の危機を察したのだろう。

俺は、服を掴み父を蹴飛ばして玄関へ走る。

今ここで逃げなければ、俺は死ぬ。

後ろから、父の怒声が聞こえる。

それと同時に、激しい足音も。

俺は靴を履かずに、ただ目の前の扉だけを目指した。




結果、俺は外に出れた。

けど、まだゴールじゃない。

父が追ってくる可能性がある。

だから、俺は一目散に走りまくった。

まだ裸のままだったが、そんなこと考えられないくらい怖くて、ただ怖くて、泣きそうだった。

そして、人気のなさそうな公園につき、俺は服を着た。

辺りはもう真っ暗だった。

おかげで、ここに来るまでに人に会わなかった。

俺は息を整え、耳を澄ます。

父の声は、もう聞こえない。

そうわかった時、俺は泣いていた。

それが嬉しい涙なのか、わからない。

夜の公園に、俺の泣き声が沈んでいく。

….その時だった。

わずかに足音がする。

父か….?

どこからするんだ….!

俺はパニックになりながら周りを見渡す。

ダメだ、暗くてよくわからない。

段々と呼吸が荒くなっていく。

段々と足音が近づいてくる。

頭が真っ白になり、足がすくみ、動けない。

そしたら….



ドズル「あれ、ぼんさん?」



1番落ち着く声が聞こえた。

ぼん「えっ….え、ドズ、さん…..?」

幻かもしれなくて、俺は聞き返す。

ドズル「うん!こんなとこで奇遇だね!こんな時間に会うなんて意外!」

ドズさんの顔が、月に照らされてよく見えた。

そしたら、俺は安心したのか、また泣いてしまった。

ドズル「えっ?!どうしたの?!僕に話しかけられるの嫌だった….?」

ドズル「なら!僕帰るね!!」

ぼん「ちが、違う!」

ドズル「えっ…..?」

俺自身ビックリするような大きい声を出してしまった。

けど、今は1人にして欲しくなくて….

ぼん「….ドズさん。」

ドズル「ど、どうしたの…..?」

ぼん「…..俺の話を、聞いてほしい。」

そこで、俺は、俺自身の事をドズさんに言おうと思った。

今までずっと隠し通してきた俺が、どうしてドズさんに言おうと思ったのかはわからない。

けど、俺はまとまらないぐちゃぐちゃとした気持ちを、ドズさんに話した。

何回も、嗚咽で話せなくなったけど、ドズさんは俺の背中を撫でて落ち着かせてくれた。

温かい。

話終えると、ドズさんは怒りを露わにしていた。

どうして、ドズさんが怒っているのだろう。

ドズル「…..そっか。」

ドズさんはその一言だけで、黙り込んでしまった。

俺が、なにかいけないことを話してしまったのだろうか。

ぼん「ド、ドズさん….ごめん…ごめん、なさい…..」

ドズル「え?」

ぼん「俺…俺、が…..」

ぼん「ドズさんのこと、怒らせて…..」

ぼん「….ごめん、もう友達じゃ居られなくなっちゃうよね…….」

自分が惨めになっていく。

せっかくできた友達。

そこら辺に居る浅い関係の奴らとは違う。

ドズさんとめんは、お互いに助け合い、庇い合いながら過ごしてきた。


….俺は?

そういえば 俺は、何かしたか?

俺は、ドズさんやめんになにかしてあげられたか?

ドズさんは、めんを助けるために、友達が居なくなっても助けていた。

めんを助けなかったら、友達なんてたくさんできただろうに。

めんも、それをわかっている。

だからって、ドズさんから離れるわけでも、転校をするわけでもない。

ドズさんになにかあれば、真っ先に助けていた。

ドズさんが悪口を言われていれば、堂々と文句を言うようになった。

ビクビクとしていた最初とは大違い。

俺は、2人になにかしたか?

していない。

ドズさんみたいに、自分の居場所をなくしてまで人を助けられるわけでもない。

めんみたいに、自分の恩人を助けるために、自分を変えれるわけでもない。

なにもない俺は、2人とは一緒にいられるわけない。

本当は、ずっと前からわかっていた。

けど、認めたくなくて。

2人と居るようになって、俺も居場所が無くなり始めていた。

嫌だった。

親にも嫌われ、周りにも嫌われることが。


ドズル「何言ってんの!!」

ぼん「へっ…..」


ドズさんが出した大きな声が、めんを助ける時のドズさんと重なって見えた。

かっこいい。

俺も、こんなふうに生きたいって思えた、あのドズさんが、今はそこにいた。

それに、めんに向けてではなく、自分に向けて。

嬉しかった。


ドズル「なんで言ってくれなかったの!」

ぼん「えっ…な、なんで….泣いて…..?」


どうして、ドズさんが泣くんだろう。

俺が泣かせたからか….w


ドズル「言ってくれたら、守ったのに!」

ドズル「言ってくれたら、ぼんさんの親と話し合うなんて、簡単にできた!!」

ドズル「僕の家で預かることだって!」

ぼん「えっ……?」

なにを言っているんだろう、この人は….

ドズル「….ようやくわかった。」

わかった?なにをだろう。

ドズル「どうしてぼんさんが、こんなに自分を殺していたのかが。」

ぼん「……ぇ?」

どういうことだ?

ドズル「ずっと不思議だった。」

ドズル「最初に出会った頃から、ずっと。」

ドズル「どうしてこの人は、作り笑いしかしないんだろうって。」

ぼん「……っ?!」

なんで、わかって…..

ドズル「最初は、僕らの話がつまらないからなのかな、とか….」

ドズル「無理に付き合わせちゃったりしてるのかなって思ってたんだけど…。」

ドズル「今ようやくわかった。」

ぼん「ど、どういう…こと……?」

ドズル「….ねぇ。」

ドズル「そんなに僕らって、頼りなかった…..?」

ぼん「えっ……?」

ドズル「どうして、僕らに言ってくれなかったの….?」

どうして、他人事なのにそんな悲しそうな顔をするのだろう。

どうして、俺の事をそんなに気にかけてくれるのだろう。

ぼん「….言っちゃったら、居場所がなくなっちゃうって思った…….。」

気がつけば俺は、話してしまっていた。

ドズさんを信じて言っているのか、ただ吐き出せればなんでもよかったのか。

わからなかった。….けど。

心が、軽くなっていくのがわかった。

今まで1人で溜め込んでいたものが、流れ出ていくような感覚….

めんも、これを味わったのだろうか。

ドズル「どうして、そう思ったの?」

ぼん「….俺、いつも明るく振舞ってたから。 」

ぼん「暗い所を見せちゃったら、みんな離れるんじゃないかって…..。」

ドズル「….そっか、わかった。」

ドズさんはそう言った後、俺の頭に手を置いて。

ドズル「…よく頑張ったね、ぼんさん」

優しくそう言って、俺の頭を撫でた。

その瞬間、ダムが崩壊したみたいに。

俺は大号泣してしまった。

「頑張ったね」

その言葉が、俺の傷だらけの心を癒すような、染み渡っていくような感覚にさせた。

嬉しかった。

初めて、頭を撫でられた。

初めて、「頑張ったね」って言われた。

全部、初めてで。

そして、この瞬間。

俺は決めた。


これから何があったとしても、俺はドズさんに着いていく。





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ドズさんかっけぇ✨

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