コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
~アクアマリノ郊外 神殿騎士第七師団駐屯地~
天童進と神殿騎士第七師団団長ガリア-ニュー-コルベールは互いににらみ合い今にも戦いが始まろうとしていた。
お互いに一言も声を発することなく、互いに剣を向け合う。
しかし、その沈黙を破ったのは、ガリアであった。
「これからやり合うのはいいが、場所を変えねぇか?」
「ここには俺にとって、いや神殿騎士全体にとって大切な物があるんだ―――」
「お前だって、ここにある物は調べたいんだろう?」
ガリアはオレに聞いてきた。
進はガリアの机の中にあった本に興味を惹かれていた。
あの黒い本の圧倒的な存在感、まだ中身を見てはいないが進の人生においてあれほどの惹かれる存在の物に出会ったことがない。
あの本にはそれほどの魔力が秘められていた。
このまま、戦ってその戦闘が激化した場合、確実にこの部屋にある物は吹き飛ぶと思ったオレは剣をいったん下げ、その提案に乗ることにした。
「いいだろう、だがどこで戦う気だ?」
「この基地には中庭、いや庭園があるそこなら思う存分お互い戦えるぞ。」
「こっちだついてこい。」
ガリアは進をその庭園へと案内した。
ガリアは思いっきり進に対して背中を向けて歩いている。
それは自身が圧倒的な実力を持ち、仮に不意打ちを決められてもどうとでもなると言っているが如くだった。
「オレがこのまま斬りかかるとは思わないのか」
進がガリアに聞く。
「そうしたかったらそうすればいいさ―――」
「だが、貴様は絶対にそれはしないな。」
ガリアは自信満々にそう言い切る。
「なぜそう言える?」
「お前とオレはどこか似ているからさ。」
「圧倒的な実力で相手を屈服させ、そして相手の自信を打ち砕いてから勝つ。」
「不意打ちなんかで勝って満足する様な奴じゃないとハッキリ言えるね。」
出会ってわずかしか経っていないにも関わらず、ガリアは進の人柄をズバリ当ててきた。
これに対して、進は何も言わずお互い無言が続いた。
しばらく歩いたが、本当にここはデカい。
駐屯地というからもっと簡素かと思ったがこれじゃ学校並みに広いな。
「さぁ着いたぞ。」
ガリアに案内されたそこは、うっそうと木々が生い茂る庭園と言うには広いジャングルのような場所だった。
「ここで神殿騎士が日々鍛錬を行ったりしているんだがな、貴様と戦うには打ってつけだろ?」
「他の神殿騎士を呼ばなくてもいいのか。」
「お前にとってオレは泥棒みたいなものだろ。」
援軍を警戒する進にとってそれは聞く必要がある事だった。
「アリオールが先日やられたようだったが、それはお前にやられたんだろ?」
「アリオールは我が隊でもかなり強い奴だったんだが、そのアリオールがやられたとなると他の神殿騎士を呼んだところで貴様に殺される可能性の方が高い。」
「だったら最初から俺自らお前と戦った方が被害が少なくて済む。」
「まあここでドンパチやったら、絶対に他の神殿騎士も起きると思うがな。」
そうオレはガリアに言った。
「フフ、まあそうだろうな。」
「だが、貴様は俺と戦うんだろう?」
ガリアが再び剣を構える。
「当たり前だ!」
「誰が相手だろうが、何人来ようが関係ない。」
「オレはオレ自身の目的のために戦い続ける!それだけだ。」
オレもガリアと同じように剣を向ける。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
進とガリアが戦おうとしている一方で、マリーとフラムは怪しげな老人の後を追い、地下に来ていた。
そこには、奴隷として囚われていると思われる人たちが数十人はいた。
人々は薄汚れた服を身に纏い、その身体は何日も風呂に入っていないのではないかと思われる程汚くなっている。
マリーはろうそくの明かりのみで薄暗いその牢屋を覗くと、圧倒的に女性の方が多いことに気が付く。
男性で囚われている人もいるが圧倒的に女性が多い。
恐らく、女性の方が高く売れて尚且つ脱走しにくいんためだと考えた。
「フラムさんこれからどうやってこの人たちを救出します?」
マリーは小声でフラムに聞く。
「そうだな、俺があの老人を気絶させるから、その後マリー君は牢をぶっ壊してくれ。」
「あの老人の人中々怖そうですけど大丈夫ですか?」
「やってみるしかないな。」
フラムは老人を気絶させるため行動にでる。
二人が次の行動を相談し合っている間にあの老人はさらに奥に進んでいた。
老人は地下にある扉を開け、さらに奥いる人と何やら会話をしているようだった。
その人も捕まっている人のようで、明らかに他の囚われている人とは違った雰囲気。
その人は両手に手枷を嵌められ、その手枷は天井に吊るされ、足には鎖で繋がれていた。
薄暗い中、フラムはその人を良く目を凝らして見ると、余りにもこの場にいるはずもない人だったので大きな声で叫んでしまった。
「リオン姫!なぜここにおられるのです!」
フラムが大きな声で叫んでしまったことによって、その老人はそのフラムたちに気が付いてしまった。
「誰デスカ!」
「そこにいるのは!」
老人は手に持つ松明を持ち周囲を警戒する。