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三文小説
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何度も修正を重ねた一曲が、ついに完成した。
最後の音がスタジオに響き終わる。
しばらく誰も言葉を発さなかった。
やがて目黒が大きく息を吐く。
「……できた。」
阿部も思わず笑顔になる。
「完成だね。」
二人は自然とハイタッチを交わした。
スタッフも拍手を送る。
「本当にお疲れさまでした。」
「素敵な曲になりました。」
目黒は照れ笑いを浮かべる。
「ありがとうございます。」
「でも、ここからが本番です。」
スタッフはそう言ってスケジュール表を広げた。
「今日はこのあと、PVを撮影しましょう。」
「えっ。」
阿部が目を丸くする。
「今日ですか?」
「はい、今日が一番天気がいいので。」
「準備は全部終わっています。」
事務所らしい手際の良さに、二人は顔を見合わせた。
「早い……。」
___________
夜。
撮影場所は街を一望できる、小高い丘だった。
きらきらと輝く街の灯り。
風が静かに吹き抜ける。
大掛かりな機材はなく、スタッフも最低限。
本当にひっそりとした撮影だった。
「本番いきます。」
監督の声が響く。
イントロが流れ始める。
目黒と阿部は夜景を背に並んで立ち、静かに歌い始めた。
二人だけのお守りとして生まれた曲。
その一つひとつの言葉に、自分たちの想いを込める。
途中、自然と目が合う。
どちらからともなく微笑んだ。
「カット!」
監督が満足そうに頷く。
「すごくいいです。」
「飾らない二人が、そのまま映っています。」
スタッフからも拍手が起こる。
撮影を終えた帰り道。
目黒が笑いながら言った。
「これ。」
「初仕事だね。」
阿部も嬉しそうに頷く。
「本当だ。」
「復帰して最初の仕事が。」
「二人だけの曲なんて。」
「なんか、俺たちらしいね。」
「うん。」
夜景を眺めながら、二人は静かに笑い合った。
___________
さらに数日後。
再び事務所へ呼ばれた二人。
会議室へ入ると、スタッフが満面の笑みで迎えてくれた。
「お待たせしました。」
「PV編集も終わりました。」
「そして。」
「配信リリース日と、PVの公開日が決まりました。」
スタッフがスケジュール表を差し出す。
阿部は目を丸くした。
「えっ。」
「もうですか?」
目黒も驚きを隠せない。
「この前撮影したばかりですよね?」
スタッフは笑う。
「いい作品は、早く届けたいですから。」
「事務所も、この曲をとても楽しみにしています。」
二人は思わず顔を見合わせる。
「早いね……。」
「本当に。」
阿部は苦笑しながら言う。
「事務所とスタッフさんの仕事の速さ、すごすぎる。」
目黒も笑った。
「俺たちが曲を作るのに何日もかかったのに。」
「皆さんは、そのあとを一気に進めちゃうんだ。」
スタッフは少し照れたように笑う。
「たくさんの人が、この曲を待っています。」
「だから、私たちも全力なんです。」
その言葉を聞き、阿部は完成したPVの映像を見つめた。
「早く。」
「みんなに聴いてもらいたいね。」
目黒も優しく頷く。
「うん。」
「俺たちのお守りが。」
「誰かのお守りにもなりますように。」
公開日まで、あと少し。
二人の新しい一歩が、いよいよ世界へ届こうとしていた。
コメント
4件
毎話引き込まれます…素晴らしいお話を読ませていただきありがとうございます。 続きを楽しみにしています🙂↕️

凄い凄すぎます。 現実にそんな曲があったら良いのに🤭 早くみんなに届けようとの思いが 一生残るお守り🥰 続き待ってます♪