コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私
を駆り立てるのはいつも衝動だった。
その熱情はいつだって理屈抜きだ。
だからといって何も考えていないわけではない。
むしろ逆で、理性的に物事を考えてきた結果がそれなのだ。
だからこそ、その情熱はいつまでも私の中で燻っている。
いつか消えてくれることを願いつつ、今日もまた私は走り続けるのだ。
この想いを形にするために。
私は私の衝動を信じている。
あの日見た夢の続きを見たいんだ。
そのためなら、私はどんなことだってやってみせる! そして今ここに、新たな物語が生まれる―――
【プロローグ】
『ねぇ……』
『なんだい?』
『あのね……』
『うん?』
『もしも私が死んじゃったら……』
『えぇ!?嫌だよ!!死んだなんて言わないでよ!!』
『ふふっ……ごめんなさい。もし、の話だから』
『あぁ……良かった。それで……どうして僕が死んだらダメなのかな?』
『それはね……貴方を愛しているから』
『愛しているって……本当かい?』
『もちろんよ。嘘なんかじゃないわ。貴方のことを誰よりも深く愛してる』
『嬉しいけど……それなら僕は君のために生きるよ』
彼の声が聞こえる気がして、思わず振り返った。
今この瞬間にも、彼がそばにいるような錯覚を覚える。
『もう……僕たちは離れられないんだね』
彼はいつものように優しく微笑んでくれる。
けれどそれは幻だとわかっている。
彼は死んだのだ。私が殺した。
彼を愛しているのならば、殺すべきではなかった。
後悔しても遅い。
それでも……また彼に会いたいと思う気持ちは止められない。
彼がいない世界で生きていけるほど、強くないのだ。
それならばいっそ、このまま消えてしまった方が幸せだと思えるくらいに。
しかし彼女は、この世界に生き続ける理由を見つけたかった。
それはきっと、彼の死を受け入れられない自分の弱さを正当化するための言い訳だったのかもしれないけれど。
それでも今はまだ、彼女にとっての真実なのだ。
「大丈夫だ」と言ってくれた優しい声が耳から離れなくて。
もう二度と会えないなんて信じたくなくて。
彼女が選んだ道は、 たとえ自分が望んだ結末ではなかったとしても。
それが間違いであったとしても。
あの時確かに、彼と二人で決めたこと。
だから、迷わない。
後悔しない。
それが例え、どんな未来であっても―――