この作品はいかがでしたか?
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ハリコルオン魔法学校に入学してはや数日。菜乃葉たち魔法学生の日々は、忙しく過ぎていた。
美音
「はー、やっと終わったー! 理科の授業は長く感じるよ……」
夏菜
「本当にね。あれ、次の授業なんだっけ?」
菜乃葉
「実践魔法学。中庭集合だって」
美音
「やった、実習授業だ!」
そんな会話を交わしつつ、次の授業に向かう菜乃葉たち。中庭に出ると、赤いローブに身を包んだ一団が目に入った。特選クラスの生徒たちだ。
「ハッ、何で俺たちがこんな庶民どもと一緒に授業を受けなきゃいけないんだぁ?な、お前もそう思うだろ?」
「まったくまったく、モブクズ様のおっしゃる通りで…おい、精々邪魔すんじゃねーぞ雑魚ども!」
特に騒いでいるのは、モブクズとその取り巻きたちだ。この数日で見慣れたとはいえ、見ていてあまりいい気分はしない光景だ。
瑞夏
「ぁ…特選クラスとの合同実習……」
美音
「またあの人たち、特選クラスだからって威張っちゃって。……絶対夏菜ちゃんや菜乃葉ちゃんの方がすごいのに…」
ぼそっと漏らした美音の呟きに、モブクズが大きく反応した。
「ああん!? そこっ、今なんか言ったかっ!?」
夏菜
「……なんでもないよ、モブクズ」
咄嗟に美音を後ろに庇い、夏菜が前に進み出る。しかし、結果から言えばこの行動は逆効果だった。モブクズはますます顔を赤くし、夏菜に詰め寄る。
「おーおーおーおーっ! 誰かと思えば、ま・ぐ・れで運良く入学できた誰かさんじゃないか! 入学試験ではた・ま・た・まガス爆発が起きたんだって?一体どんなイカサマをしたんだ?なあっ!?」
夏菜
「……あ?」
早口で捲し立てるモブクズを、夏菜はピキリと音をならした顔で見つめ返す。入学試験の一件は色々と噂になっている。「一般クラスの生徒が、特選クラスの貴族たちよりも優れた魔法を放った」、そんな噂が出回っている現状が、モブクズたちは気に入らないようだ。Nakamuの入学式での発言に対する反発も、彼らの過激な行動の後押しになってしまっている。
それにしても、と菜乃葉は思う。モブクズたちの反応はあまりにも過剰で、不自然ですらある。果たして原因はそれだけなのか、それとも_。
「なんとか言ったらどうなんだ、ああん!?」
「_やめろよ。なんの騒ぎ?」
なおもモブクズが詰め寄ろうとした時、氷のような声が響いた。
「……これはこれは、氷流様。今はこちらの庶民を誘導してあげようと…」
「指導?君程度が、この子達に?」
鼻で笑う氷流と呼ばれた人に、モブクズは気色ばむ。
「……お言葉ですが、氷流様。こんな庶民相手に悪い事は言わない、やめた方がいい。こんな運が良いだけの庶民に味方しては、この学校の恥晒し_」
「黙れ。それ以上彼女を侮辱することは許さない」
絶句するモブクズに、氷流は続ける。
「彼女がどうと、僕は関係ない。さあ、そろそろお仲間のところに戻ったら?授業が始まるよ」
「……チッ、これで終わりだと思うなよ」
モブクズは夏菜達にだけ聞こえるようにそう呟いて、特選クラスが集まっている方へ戻っていった。
菜乃葉
「……ありがとう。助かった」
氷流
「当然のことをしただけだよ。礼を言われるようなことではないし」
美音
「ていうか誰?」
バツの悪そうな顔をする氷流と美音に、夏菜は苦笑を返す。
氷流
「僕は「氷流というんだ〜この子」ちょ、遮らないでよ!!」
「以上、他己紹介でした。続いてはお天気予報です。そらジ□ー?」
「うわ、俺zip派なんだよ」
「乗れよそらジ□ー」
氷流
「なんでそらジ□ーとzipで揉めてんの馬鹿じゃないの?」
怒涛の自己紹介(他己紹介?)に目を点にする美音達。
氷流
「はぁ…氷流です…後ろの人は」
のん
「やほ〜のんだよ〜夏菜久しいね〜」
「シャークんです」
軽い調子で話すのんやため息を吐いた氷流に少しずっこけた美音。
夏菜
「そう簡単に言われても…」
瑞夏
(個性つよッ!)
そんな会話をしている内に、授業の始まりを告げる鐘が鳴り始める。
氷流
「あ、時間だ。またね」
美音
「またね〜、氷流〜!」
元気に手を振る美音に、少しため息をついた菜乃葉。
菜乃葉
「ていうか、今日も選挙管理委員会の勧誘には来るのかな、莉愛王女……」
夏菜
「毎日熱心だよね……友達とランチを食べなくていいのか?」
菜乃葉
「……」
夏菜の呟きには、菜乃葉はあえて無言で答えた。「莉愛って特選クラスに友達いなさそうだしな」とは思ったものの、それは口には出さなかった。というか、それでいいのか王女。
一方、夏菜は自身にどす黒い視線が突き刺さるのを感じた。尋常の気配ではない。その視線には、殺気のようなものが込められている。
夏菜
(……仕掛けてくるかな、この授業の内に)
去り際のモブクズの言葉を思い起こしながら、夏菜は口の中で呟いた。
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氷流
中性
あまり笑わず勉強が得意。
この物語ツッコミ役
ゲームやネット系が好き
所持魔法…氷魔法、闇魔法
シャークんと双子
コメント
10件
面白いです! 自分出てきてビックリしました!w
最高かよ☆