テラーノベル
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こんにちは、くろたです。弁当とパスモと自転車の鍵を忘れ、傘が壊れ、スマホも壊れたくろたです。
運が悪すぎる日でしたね。終いにゃ今日自分は死ぬんじゃないかと思いました。
無事生きてます。
スマホは死にましたけど。私を置いて逝くな。
⚠︎政治的意図無し
夜更けを回った頃。暗い部屋に、聞き慣れたタイプ音が響いていた。
いつからか、いつも通りと言えるようになってしまったこの埃臭い空間が煩わしくて堪らなかった。
普段なら無視できる程度の苛立ちだった。
なのに今日は、指が勝手に急いている。
早く早くと。
何に急かされているのかも分からないまま、画面を睨み続ける。
心臓の下をなぞるような悪寒がした。
「ドイツさん?」
「!?」
あまりにも早い答え合わせだった。
開け放たれた扉から、周囲より一層濃い影がこちらを見ている。
なぜここを知っている。
「……日本」
「ここにいたんですか」
ぼんやりと光る赤い双眸が、嫌というほど俺を刺した。
まただ。何を考えているのか分からない。
……いや。博打に出る価値はある、か。
上手くいけば、使える。
無言のまま動かない俺を見て、日本がゆっくりと近づいてくる。
隠すことを諦め、画面を晒した。
そこに並んでいるのは、日本自身についての情報。
偽装された経歴。
不自然な空白。
そして、その裏にあるもの。
日本の目が大きく見開かれた。
そんな顔をするお前は、初めて見たな。
場違いな感想が脳裏を掠めた。
「…知ってたんですか」
絞り出すような細い声。掠れている。
まあ、当たり前か。
「ああ」
努めて平坦な声で返す。
日本は無言のまま俯いている。表情はわからない。
さあ、どう返してくる。
気張った指の爪先がパソコンの画面に当たってコチンと音を立てた。
「……そうですか」
日本がゆるく顔を上げる。
……うっすら笑っていた。
「……?」
なんだ?なぜ笑っている?
何かを企んでいる?
いや違う。そんな禍々しいものじゃない。
あれは。
諦めたような……安堵……?
「…あなたは僕をどうしますか?」
貴方は僕が潜入捜査官であることを知っているんでしょう?と日本は続けた。
動揺なんて微塵も感じさせない声で。
いや、実際動揺なんてしていないのかもしれない。
こちらばかりが体を強張らせている。
「っ…ここを出るために協力しろ」
つっかえた喉からかろうじて音を出す。
威厳も余裕も感じられない声だと、どこか他人事のように思った。
しかも、協力、なんて生ぬるい言葉が滑り落ちた。
「……そうは言っても、僕別に立場が強いわけじゃないので、ほとんど何もできませんよ。僕自身もここから出られないようになってますし」
…なんて間抜けな声なんだろうか。
自分の立場をわかっているんだろうか。
回し者であることがバレて、今まさに脅されている最中だというのに。
「……」
「…すみませんね。利用価値のない人間で」
へら、と肩をすくめるように、また笑う。
ぐちゃぐちゃに混同された空気が、俺を混乱させた。
全身の力が抜けて、座り込む。
本当に、なんなんだこいつは。
「大丈夫ですか」
日本がぴくりとも動かないまま呑気にそう言った。
「……大丈夫なわけないだろ…」
苛立ちの滲む声でそう応じる。
「…なんでそこまでして出たいんですか」
いつも通りの声色。
こいつと話していると、氷の上に乗せられるような心地になる。
いらないことまでペラペラと、口から滑り出してしまいそうになる。
この、おおよそ今まで触れたことのない、敵意のない目と。
場違いに無関心な声が、きっと脳を溶かしている。
「…出なきゃいけない…早く、終わらせるために」
案の定滑った口が呻く。
「…終わらせる?」
日本がわずかに眉を顰める。
「何を」
心なしか空気が張り詰める。日本の声が質量を帯びた。
普段あんなに無気力だというのに、やはり警察側らしい。
「…別に、一般大衆に影響を与えるものじゃない」
「……そうですか」
言い訳でもするようにそう溢せば、日本は驚くほどすんなりと元の声色に戻った。
こいつ、法に触れなきゃなんでも良いのか。
「お前本当に警察側の人間なのか…?」
「管轄外ですし。貴方に敵うわけもないですから」
あくびでもするかのように言う。
「…お前のそう言うところが理解できない」
自分のでも意図のよくわからない愚痴が漏れ出す。
「そうですか?」
僕わかりやすいですけどね。と。
本当に呑気だ。
俺たちは本来敵対関係にあるはずなのに。
目の前のこいつを敵だと、利用する対象であると認識できない。
「…それで…何を終わらせるんですか?」
降りかかる声にびくりと肩が震える。
「………」
「…ああ。別に言いたくないなら大丈夫です…僕そろそろ戻りますね」
睨め付ける視線に気がついたのか、日本はスッと引き下がった。
日本が扉に手をかける。
「…話す」
「え?」
振り返ったその目を見据える。
「話すから…戻って来い」
言いながら何を考えているんだろうと思う。
わざわざ、自分のことを話すなんて。
尋問すらされてないのに。自殺行為だろう。こんなこと。
日本は一瞬怪訝そうに眉を顰めたが、やがてこちらにやってきた。
「何を終わらせるかだが…言ってしまえば親との関係だ」
「親?」
「ああ」
苦々しい顔をしていると自分でもわかる。
脳裏にこびりついているものであるが、深く思い出したくもないものだから。
「頭のおかしい奴だった。実子を犯罪の道具に使うくらいには」
「…その道具が」
「俺だ」
気を抜けばキリキリと胃が痛み出すような感覚。
いざ言葉にしようと記憶を取り出すとなると、やはりきつい。
目を逸らす代わり、とでも言うように日本が目を細める。
「…昔からだから別に慣れてる」
誰を慰めているのかもわからない言葉を吐いた。
「……最初は自分が犯罪者であるという自覚すらなかったんだ。そういうものだと思っていた」
その時点で狂ってる。
親が言うなら,そういうものなんだろうと。疑おうとも思わなかった。
しかし化けの皮はやがて剥がれる。
自分の違和感に気がついた時にはもう引き返せないところまで来ていた。
「…親から逃げようにも、犯罪者である自分に居場所はない、と?」
「その通りだ」
怖くなった。誰が正常なのかわからない。
そもそも自分の見ている世界がおかしんじゃないかと。
「どうしてもあの場所から離れたかった」
「………もしかして捕まったのって」
「意図的なものだ」
日本が顔を上げる。その目が俺を捉えた。
「じゃあ…なぜ今そんなにここから出たがっているんですか」
「言っただろ。…終わらせるためだ」
じい、と見つめられる。ゆっくりとその瞳孔が大きくなるような、錯覚を起こした。
そこにあるのは変わらない無表情な顔なはずなのに。
…歪んでいる?
「…さん…ドイツさん!」
がくんと視界が揺れて、仕事を放棄していた耳に日本の声が飛び込んだ。
知らないうちに上がっていた息と、背中に浮き上がる冷や汗が気持ち悪い。
「……あ」
「…無理させましたか。すみません。大丈夫ですか」
覗き込んでくる日本の顔は、いつも通りの無表情だった。
それに酷く安堵する。
「……大…丈夫だ」
「………そうですか」
掠れた声で言えば、日本はふ、と視線を外した。
…目を合わせるのが苦手なんだな。と、呑気にそう考える。
自分が思っていたよりも深く抉られたトラウマを認めたくなかったからかもしれない。
「…正直、わからない」
ぼたぼたと、緩い蛇口のように弱音がこぼれ出す。
ただでさえ弱い人間だというのに。
自己満足も甚だしい正当性を、逃げることでしか示せないくせに。
これ以上弱くなってどうするんだ。
「…これが正しいのかもわからない。全部…無くした後に後悔するのが怖い」
止まれよ。と捲し立てる脳などお構いなしに溢れ続ける言葉に、思わず目を背けた。
「……それは…誰にもわからないでしょう」
日本の声が上から降る。顔は見えない。いや、見れない。
その通りだ。
でも。
「どう頑張っても取り返しのつかないことにはなりますよ…それが善であっても悪であっても」
日本の変わらない声の調子が微かに苦味を孕んだ。
「……俺は悪か?」
「知りません。善悪なんて見る人間によって二転も三転もするんですから」
俺の震えた声を淘汰せんとばかりに淡白な声。
「…これは、慰めじゃないですけど。」
そう言って日本が一瞬わずかに口を閉じて、躊躇いを捨てるようにまた開けた。
「僕は否定も肯定もしません…貴方が、したいようにすればいい…と思います」
こういうの、言う柄じゃないんですけど。と、言って日本は軽く頬を掻いた。
ああ。そうか。だからわからなかったのか。
どうしたって見せてくれない本心も。
たまに滲む感情を、嘘だと思わせてくれないのも。
…俺が視るからそうなるのか。
なんだ。馬鹿らしい。ハッカーの名折れじゃないか。
「…日本」
「はい?」
急に軽くなった俺の声に驚いたのか、ぴたりと手を止めて日本が言った。
「お前が潜入捜査官であることは誰にも言わない。だから、この部屋のことは誰にも言うな」
唐突に提示された取引に、しばらく目を瞬かせていた日本が、やがて眉を顰めた。
「…それでいいんですか?」
まあそうだろう。最初に目論んでいた計画よりは随分しょぼくれた取引だ。
それでもいい。
日本の問いかけには答えず部屋を出る。
どれだけその表面を調べようと見えない、「理解できない彼」を、もう少し知っていたいと思った。
恋は盲目って言いますからね。
長いくせに内容薄すぎる。 ちくしょうめ。
それでは、さよなら
コメント
9件
わああああんドイツううう😭そんな親社会的に○しちまえ!!できなければ私がやる!!ついでに米露独たちの過去の半分ずつは肩代わりする!!“恋は盲目”…、まじでその通りな気がするwにほさんが本当に包容力たっぷりで安心できちゃうよね…うんうん。どうか幸せになってくれみんな……!
やばいドイツさんの過去辛すぎる😭😭 てか日本が受け入れ早いのってやっぱあんま他人に興味ないからなのかな… てかくろたさん不幸の連続すぎますね🥺🥺 雨多いし嫌ですね〜

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きなこもち
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色葉
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ぽてもち。
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