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『裏切りの微笑み』

第18話 - 第18話新たな扉を開けて

2025年04月25日

#恋愛

#裏切り

ハルマキ

由香は心の中で、天城との関係を終わらせる決意を固めていた。彼からの圧力は日に日に強くなり、手紙やメッセージが次々と届くが、彼女はそれに心を動かされることはなかった。だが、心のどこかで、彼との別れが本当に正しい選択だったのか、という疑念が時折よぎることがあった。
その日の午後、由香は千尋とカフェで再会していた。千尋はいつものように優しく、彼女を気遣ってくれた。由香はその温かさに、少しだけ心が癒されるのを感じていた。

「最近どう？ちゃんと休んでる？」

千尋が心配そうに尋ねると、由香は微笑みながら答えた。「うん、大丈夫。もう少しで全部が終わるって思ってる。」

「それは良かった。でも、無理しないでね。」

千尋は由香の手を優しく握りしめた。

その言葉に、由香はふと胸の奥に温かい感情が広がるのを感じた。千尋の存在が、彼女にとってどれほど大きな支えとなっているのか、今更ながら実感していた。

「ありがとう、千尋。あなたがいてくれるから、私は頑張れる。」

由香は心からの感謝を込めて言った。千尋は優しく笑って、何も言わずにその手を握り続けた。

カフェを出た後、由香はふと足を止め、街の風景を眺めた。自分が今、どこに向かっているのか、そしてこれからどうしていきたいのか。思い返せば、天城と出会ったあの日から、自分の人生は大きく変わった。彼の支配から逃れた今、ようやく自分自身の道を歩み始めているのだと、そう感じていた。

「私は私の人生を生きる。」

由香は心の中で誓い、前を向いて歩き出した。今までの自分とは違う、新しい自分を作るために。

その夜、由香の元に再び天城からのメッセージが届いた。しかし、今回はそれに反応することなく、冷静に削除ボタンを押すことができた。以前はそのメッセージ一つで動揺していた自分が、今はもう、彼の影響を受けない強さを持っていることを実感した。

翌日、由香は千尋と共に小さな旅行を計画した。二人で出かけることで、心の中で何かを新たに始める気がした。これまでとは違う、明るい未来に向かって歩き出すために。