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――――七年前――――



私達“四死刀”は天下を手中に収める為、世を敵に回し闘い続けました。



何故かって?



私達“特異点”は、この世に存在してはならない存在。



人知を超えたその力は、本来この世界に在ってはならないもの。



人とは根本的に違う存在なので、共存は難しい……というか不可能。



だってそうでしょう?



貴方達はこの様な化け物じみた力を持つ者と、何一つ恐れる事無く接せますか?



私が常人だったら無理ですね。



だって恐ろしいじゃないですか。



突然その力で殺されるとか、洒落にもなりませんからね。



基本的に特異点は、生まれてすぐにこの世から消されます。



例外はありますが、特異点には身体的特徴がありますからね。



常人とは掛け離れた髪色に瞳色。



しかも特異点は遺伝性では無いので、普通だったら異常さと恐ろしさで、口減らししてしまいますね……。



なら我々の……特異点の存在意味は?



私達“四死刀”は決して仲良しこよしの集まりではありませんでしたが、その想いは一緒。



この世界に特異点の居場所が無いのならーー



その力で居場所を奪い取ればいい。



特異点が迫害され、消される事が無い様な世界をーー





ーー今でもはっきりと思い出せますね。この子と初めて会った時の事を……。



あれは確か七年前でしょうか。私達“四死刀”が、将軍家が裏で抱える忍達と抗戦していた頃の事。



その中でも最強と謳われていた、将軍家裏隠密忍衆“九夜”ーーまあ最強と云っても、我々の前では赤子同然でしたが。



“九夜”の里の居場所を察知した我々は、ここらへんで根底から排除しとこうと、私一人で襲撃に向かいました。



そして……其処で見た光景は、辺り一面に広がる美しい迄に“死”に満ちた白銀の世界。



その中で一人、放心した様に佇む、本当に小さい幼子。



流石の私も、驚きを隠せませんでした……。



この幼子が特異点で在る事は一目瞭然。そしてこの力は間違いなく、私と同じ“無氷”に依るもの。



何より同じ特異能を持つというだけではなく、その子がまるで私自身と見紛う様な、そんな奇妙な感覚に陥りました。



此処で何が起きたのか?



聞く迄も無く本能で理解出来ました。何故なら、かつての私自身を見ている様だったからですーー



『これは驚きました。まさかその歳で覚醒するとはね』



あらら、瞳に生気がありません。まあ無理もありませんね。自分が何をしたのか、恐らく理解している事でしょう。



怯えにも似た、不思議な表情で私を見詰めていました。



『怯えなくていい。私は君と同じ者ですから』



私はこの子に自分を重ね合わせる様に見ていました。



血の繋がり等ある筈が無い。同じ特異点というだけ。



ただ……他人とは思えなかった。



『君は特異点としての宿命を背負ってしまった。奪った命の重みを、これからも背負い続けていかなければならない。命の限りね……』



気付けば私は、この子に手を差し延べていました。



『私と一緒に来ますか? 私達特異点の存在意味を……存在場所を探しにへと』



お互いがお互いを映す、その深い銀色の瞳で見据えて。



あの時、この子が選んだ道はーー





「ーー師匠! 何呆けてるんですか?」



ユキのその一言で時が動き出す。



「ああ……少しばかり、昔の事を想い出していました」



それは、ほんの刹那の時間の回想だったのかもしれない。



「それにしても……」



かつての師は愛弟子を感慨深く眺める。



「大きくなりましたねぇ」



「……嫌味ですか?」



事実ユキは歳相応の体積しかない。当然と云えば当然だが、この年で人智を越えた身体能力をしている方が異常なのだが。



「ええ、嫌味です」



それに対し、かつての師は笑みを浮かべながら、きっぱりと言い放つ。



“こ、この人は……。相変わらず変わってない!”



生前と何一つ変わる事は無い師に、ユキは溜息を漏らすしかない。



「冗談はさておき、精神の方は以前とは比べものにならない位、大きくなったという事です」



「それはどうも……」



やはりこの人は疲れると、切実にユキは思うしかなかった。



「それはともかく、師匠が此処に居るという事は、私を迎えに来たという事ですね?」



“そう、覚悟は出来ている……。此処から先は黄泉への旅路。どの道、私に地獄以外への行き先は無いーー”



「何を寝呆けているんでしょうかね、この子は……。まだ生きている者が、あの世へ行ける訳無いでしょう?」



「はぁ!?」



これは意外な言葉だった。死んだから三途の川に居るのではないか? と、ユキは師の言葉の意味を理解出来ず、戸惑いを隠せない。



「まあ半分死にかけていますが、まだ生きています。あとは生きたいという気持ち。それに、アナタはまだ死ぬべきでは無いでしょう?」



「し、しかし……」



“今更後悔などしていない。それに私の役目はもう終わったのだから……”



「しかしもへちまもありません!」



言葉を濁し、死を漠然とながら受け入れているユキに、かつての師は叱咤する。



“……微妙に意味が違うような?”



それも明らかに間違っている意味でだ。



「全く不出来な弟子なんですから……。強さ的にも精神的にも成長したとはいえ、やはりまだまだ子供ですね」



「何だよそれ!? 褒めたりけなしたり訳分かんねぇよ!!」



師匠の毒舌振りに何時の間にかユキは、これ迄に聴いた事が無い口調になっていた。



現在でこそ、師の影響と名を受け継いだ事もあってか、歳に不相応な紳士的口調の彼だが、かつては父に反抗する子供その者の様な時期もあった。



これこそ彼の、本来在るべき姿なのかもしれない。

雫 -SIZUKU- ~星霜夢幻ーー“Emperor the Requiem”~

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