テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

月が血のように赤い夜だった。

港の倉庫街、鉄錆の匂いと潮風が混じる闇の中、俺——悠斗はナイフを握り、標的の息の根を止めたばかりだ。


「後輩くんはいつも完璧だね。」


背後から、零那先輩の声。柔らかく、まるで子守唄のような響き。振り返ると、彼女はそこにいた。黒いコート、風に揺れる長い髪。そして、何もかも見透かされてしまっているかのような瞳。


彼女は微笑むが、その目は俺を映さない。


「先輩、ただの仕事です。」


俺は思うがままに答える。殺し屋の仕事はいつも同じ。感情を殺し、血を流す。感情を押し殺すのは、俺の能力——「絶対に当たらない」力の副作用かもしれない。どんな攻撃も、俺には当たらない。銃弾も、刃も、運命さえも。だが、先輩の言葉だけは、いつも心に突き刺さる。


「ふふ、後輩くんってほんと可愛いね。」


まただ。彼女はそう言うけど、本心から言っているように感じられない。まるで、俺を試すように、壊れた人形のように言葉を紡ぐ。彼女の能力——「絶対に当たる」力は、殺し屋として完璧だ。一度狙えば、どんな標的も逃れられない。

「先輩、次の仕事は?」


俺は話題を変える。彼女の瞳を見ていると、吸い込まれそうになる。いつか飲み込まれてしまいそうだ。


前を向き、彼女はただ無言で倉庫の奥へと歩き始めた。彼女の後ろ姿を追うたび、俺は思う。彼女は何を隠している?彼女は何を知っている?俺は彼女に何を求めている?彼女の言動全てが俺の胸を高鳴らす。


—倉庫の奥、錆びたコンテナの影で先輩が一枚の写真を取り出した。


「次の標的はこの男。殺せる?」

「もちろんです。」


俺は即答した。彼女の命令ならなんだって聞きたい。彼女の瞳に魅入ってしまったのだから。

loading

この作品はいかがでしたか?

47

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚