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静かな夜の別荘──
ハイネは疲れた身体を癒やそうと、浴場へと向かっていた。
ヴィクトールと距離を取りつつ、適度な休息を挟むことで平穏を保つのが、この“疑似ハネムーン”を乗り切るコツである。
「ふぅ……この扉、確か『浴室A』……と。あの人は『B』の方に入るって言ってましたよね」
そっと扉を開け、室内に入る。脱衣所には誰の気配もない。
「……よし」
そうしてハイネは、静かに湯船へ浸かった。
⸻
数分後──
「失礼するよ、ハイネ」
「───」
「っっっなぜ、ヴィクトールがここに!!!???」
湯けむりの中、平然とした顔のヴィクトールが現れ…
「いや、私のほうこそ驚いたよ。ここは“浴室A”だろう?」
「ヴィクトールが“B”に入るって仰ってたじゃないですか!!」
「そうだったかな?(完全に忘れてた)」
⸻
──微妙な沈黙。湯気の中の静寂。
「すぐ出ていきますから、後ろを向いててください……!」
「いや、私が出よう。君の邪魔をするわけには……」
「いや、私が出ます」
「私が出る」
「譲れません」
「紳士として当然だ」
「さっきまで紳士の欠片もない行動してた人がよく言いますね!!!」
わちゃわちゃする浴場。
⸻
その結果──
バスタオル姿のハイネとヴィクトールが脱衣所ですれ違い、
またしても**“いい感じの距離で”**鉢合わせ。
「…………」
「…………」
「……ハイネ、その、いい湯だったな」
「……ヴィクトールのせいで逆に冷えました」
⸻
数分後・別荘の外では──
風呂から上がったヴィクトールが、タオルのままベンチで凍えている。
「……ハイネ、許してはくれないか」
「そのまま1時間、夜風に打たれて反省してください」
「寒い、寒いよハイネ……」
「教育的指導です」