私を責めるのは止めてくれないか? 私はただ知りたいだけだ。
ただそれだけだ! 知らなければ何も始まらないんだから!! あぁ……、もうおしまいさ。
私はまた失うのか? この世で最も価値のあるものを……。
どうしてそんなことを言うんだよ!? 私の気持ちなんて分からないくせに! 私を一人ぼっちにする気なのかい? ねぇ……? お願いだから答えてよ。
私は君を愛している。
そう、誰よりも深くね。
だから君は私のものになるべきなんだ。
私にはそれが出来る。
誰にも邪魔されない場所に行こうじゃないか? そうだとも。君たち二人はもう自由だ!……そして僕たちは死んだんだ。
もう二度と会えないさ。
だって、この世のどこを探してもいないからね。
だから安心してお行きなさい。
僕はここに残るよ。
だってここは僕の家なんだもの。
君はどこに行くんだい? そうかい。じゃあここでさよならだ。
元気でやるんだよ。
さよなら、我が子。
「おい! そっち行ったぞ!」
「分かってる!!」
森の中を走る二つの人影。彼らは木々の間を縫うようにして駆けていく。
「あぁ~もう! どうしてこうなるかな!?」
「仕方ないだろ、俺だってこんなことになるなんて思ってなかったんだから!」
二人の少年――佐藤洋と鈴木大輔は互いに言い合いながら走っていた。二人は同じ高校に通うクラスメイトだったが、あまり仲が良いとは言えない間柄だった。それが今では一緒に森を走り回っているのだ。
二人がなぜこのような状況に陥ったのか……話は数時間前にまで遡る。
***
その日、学校からの帰り道での出来事だった。
「ねえ、知ってる?」
不意に声をかけられて振り向くと、そこには見知った顔の少女がいた。
「あれ? 確か隣のクラスの……」
彼女は学校でもよく目につく少女で、整った容姿をしていることもあって男子の間では人気が高かった。名前はなんと言っただろうか。