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✧≡≡ FILE_001: パズル ≡≡✧
私は、どれだけ経ってもこのパズルを解くことができない。
すべての問題には解があるように、問いがあるなら、必ずそれに辿り着く“道”がある。理屈が通るものは、それで全てが解決する。
しかし──“今回の事件”だけは違った。
どこをどう切っても、“答え”が見つからない。
犯人を特定しても、動機を見つけても、原因を追い詰めても──証拠がない。
まるで、最初から「解くこと」を拒んでいるかのように──
なぜ?
なぜ答えがない?
奴はどうして私に、本当の答えを提示してこない。
どこにある、どこに隠した。
──こんなこと、初めてだ。
解けないパズルなど、存在しないはずなのに。
犯人は、意図的に“名前”を狙い、イニシャルが〈B・B〉の人間だけを次々に殺害している。
そして、私の顔と、私の名前を使って……。
──なぜ私には、解けないのか。
……それは、私に“名前”がないからか。“顔”がないからか。
どちらも──“私自身が分からない”ものだからか?
L、竜崎、ルエ、エラルド=コイル、ドヌーヴ、エル・ローライト──
そのどれもが“私の名であり、本当の名ではない”。
本当の名前が分からない。
本当の顔も誰も知らない。
だから、私にはこの事件が解けないのか──?
奴は、私の顔を知っている。
奴は、私の名前を知っている。
“オリジナルの私”が知らない私を──奴は知っている。
ならば──この事件は、奴が“私を超える”ために作った事件か。
顔を奪い、名前を奪い、いつしか存在すら奪う。
“私”を消すことで、完全な“彼”になる。
そうなれば、私は名を持たないまま、コピーに追われ、本物の私を永遠に探すことになる。
それが──『BB連続殺人事件』の正体。
……ならば、この事件は、“顔”と“名前”を持つ彼女に託そう。私が介入しても、余計に事件をややこしくするだけだ。
ならば──“父と母に近づくパズル”。
それも、解けないというのか。
この世界のどこを探しても、“父と母”が私に与えるはずだった無償の愛は──どこにもいないのだから。