テラーノベル
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すすり泣く声に雨が被る
ひんやりと湿った空気
僕はずっと前から彼女の頭を撫でている
それでも君は泣き止まない
僕は喋らない
ただ頭を撫で続けた
彼女は腫れた目を擦りながら
部屋へ向かう
クロゼットを開けて
シャツを取り出して
抱きしめて、また泣く
確かめるように
その事実を
現実を噛み締めるように
ギリっと歯ぎしりする
ぐしゃっと髪を掴んで
叫ぶように泣く君。
僕の手は透明で
君に届かない
君の叫び泣く声だけが
部屋に残った
コメント
9件
( ゚д゚)ハッ!…理解した… めっっっさ悲しいやん…