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俺の名前は田中樹 中学3年
俺には悩みがある。その悩みは好きな子がいるということだ。
俺の好きな子の名前は安藤柚希。同級生だ。
もうそろそろ俺たち3年生は受験勉強を始める頃だが、俺は彼女に夢中で勉強する気にならない。脳内にいつも彼女がいるのだ。
「はぁ、」
思わず小さなため息をついた。
「君、少しいいかい」
後ろから声をかけられた。驚いて振り返ってみるとそこには美人な女性がたっていた。
その美貌に目を奪われ思わず口を開けたまま突っ立っているとその女性は話し始めた。
「君、悩みがあるよね。その悩みはきっと未来にも関係することになるかもねえ。」
未来にも、?まぁそうか、確かに受験に受からなかったら志望校には行けず、就職を始めると思う。
「君の悩み解決させてあげる」
そんなことできっこない。俺は鼻で笑った。
「これをあげる。このメガネは相手の考えていることがわかるんだよ。でも気をつけて無料で使えるのは1日だけ。もし破れば、」
「破れば、?」
「君の大切なもの何か1つ貰うよ。」
そう言って女性は俺にメガネを渡した。
「ちょっと待って!」
振り返ったがそこに居たのは重そうな荷物を沢山抱えたお婆さんだけ。先程このメガネをくれた美人な女性は居なかった。
「お婆さん、手伝うよ。」
次の日
俺は半信半疑で昨日貰ったメガネをつけて学校に行くことにした。
教室に入ると親友の拓真が心配そうにしていた。
「おいお前、大丈夫かよ。急にメガネなんて付け出してさ。席後ろの方だけど見えるのか?俺と交代するか?」
「大丈夫だよ。」
席を交代するなんてとんでもない。なんてったってこの席は安藤柚希の近くなんだから。
【キーンコーンカーンコーン】
チャイムがなった。それと同時に授業もスタートだ。さて、授業中に彼女は何を考えているのだろう。
俺は安藤柚希の方を見ようとするが少し考えた。
(もし彼女の考えていることが自分の好きな人だったら。)
彼女が頭の中で好きな人を考えている所を想像する。もし自分じゃなかったらと怖くなる。
(でもせっかくメガネを付けてきたし、)
勇気を振り絞って彼女の方を見る。
(あ、虫。どこに行くんだろう。あんな所に花が咲いてたんだ。可愛いなあ。)
ほっとため息をついた瞬間だった。彼女は脳内まで可愛い。その可愛さに思わず惚れ直してしまった。
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なんだか視線を感じる。視線を感じる方を見るとなんと彼女と、安藤柚希と目が合ってしまった。
(可愛すぎだろ、目を逸らしていいのか?)
目を合わせていたのは俺の感覚で1分。それぐらい長く感じた。目を合わせていた時に聞こえたのは雑音でも先生の話でもない。
俺の心臓の音だ。でもそれより強かったのは彼女の脳内の声。
俺は今日安藤柚希に告白しようと思う。