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私
には兄がいる。
それもとても優しくて頼りになる自慢の兄が。
兄の名前は小鳥遊飛鳥。
身長170cmほどの中肉中背でありながら均整が取れた体つきをしており、顔立ちも端正で優しげな雰囲気をしているイケメンだ。
成績優秀で運動神経も抜群であり、それでいて人当たりも良いことから女子生徒からの人気が高い。
また誰に対しても分け隔てなく接しているため男女問わず友達が多く、生徒会に所属していることもあって教師たちからの信頼も厚い。
まさしく非の打ち所のない完璧な存在と言えるだろう。
「うーん……今日も朝ごはん美味しいね! さすがお姉ちゃん!」
そんな兄のことを褒め称える妹の小日向美桜。
身長150cmほどで小柄ながらも可愛らしい見た目をした女の子であり、少しクセのある金髪をツーサイドアップにしているのが特徴だ。
性格の方はかなり活発で元気いっぱいといった感じであり、常に笑顔を絶やさない明るい子でもある。
ちなみに今食べている朝食は私の手作りであり、毎晩遅くまで勉強している兄のために栄養バランスを考えた料理を作っているのだ。
もちろん味に関しても自信があるのだが、それでも兄からはいつも美味しいと言ってもらえるので嬉しい限りである。
「ありがとうございます。でもこれは全て飛鳥さんのおかげですよ?」
「そっかぁ、やっぱりお兄ちゃんはすごいよねっ」
私が微笑みかけるだけで皆が恐れおののきながら逃げ惑うようになりましたわ。
私は悪くないはずなのに……なんで? おかしいじゃない! 私だって好きでこうなったんじゃないんですのよ!? ただ普通に接してただけなのに周りの人間が勝手に怯え始めるなんて……本当に理不尽ですわね!!
「はぁ~」
私は今日何度目になるかもわからない溜め息をつく。
原因は分かっています。
最近やたらと周りに人が寄ってくるようになったことですわ。
今までは誰も近付いてこなかったのに、急に話しかけてくる人が増えたせいで毎日のように疲れていますの。
しかも私のことをよく知らない人からは特に酷い対応を受けてしまいます。
例えば――
「ねえねえ君可愛いねー」
「良かったら俺達と一緒に遊ばない?」
「えっと、あの」
「ほら遠慮しないでさっさと行こうぜ!」
「きゃあっ」
腕を引っ張られて無理やり連れていかれそうになる。
「おいお前等何してんだよ!!」
そこに現れたのは同じクラスの男の子達だ。
「その子嫌がってるじゃないか」
「ちげぇねぇ。じゃあ代わりにそっちの子と遊びたいぜぃ」
「……っ!」
不良集団のリーダーらしき男が指さしたのは――――沙耶架であった。
その視線には明らかに性的な欲望が含まれており、気持ち悪い笑みを浮かべながら舐め回すようにして見ている。
恐らくこの男は沙耶架のことを女だとは思ってはいないだろう。
沙耶架は自分が狙われていることを自覚して息を呑む。
「おいおいお前ら、あんまりビビッてんじゃねーよ! こいつぁ俺らのオモチャにするだけなんだからよぉ!」
リーダー格の男の言葉に周囲の連中が下品な笑い声を上げる。
「へっへっへ、でもよう兄ちゃん、ちょっとくらい味見させてもらってもいいんじゃねえかなぁ?」
「そうだぜぇ? 減るもんじゃねーしよぉ」
下品な笑い声を上げながら不良たちが近寄ってくる。
まったくもって鬱陶しい連中だ。
「いえ結構です。お断りします。他を当たってください」
「おいおいそりゃないぜえ!? こっちだって金払ってるんだよ!」
「俺らの楽しみを奪うつもりかいぃい?」
ギャハハッ! という耳障りな笑い声を上げる不良たち。
まったくもって不快極まりない連中である。
「ああもう本当に面倒くさいですね……」
溜息をつきつつ呟いた