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「……帰ろっか」
どう答えればいいのか分からなかった。だから、そんなことしか言えなくて。
これが今の私の精一杯。
心が狭いのかもしれない。望んでいるだろう言葉や態度じゃなくてごめん。
「荷物持ちます。貸して下さい」
「ありがと」
抱きしめられていた腕がゆっくりと離れた。
それ以外は特に話をすることもなく、無言のまま駅へと向かう。時々視線を感じても気が付かないふりをした。
行きよりも帰りの方が早いって言うけど、この時は行きの何倍も遅く感じたよ。それはきっと隼人君も同じはず。
◇
「荷物ありがと、じゃあね」
新幹線の改札を出たところで、持ってもらっていた荷物を受け取った。笑顔を作って最低限の挨拶をする。悲しそうに微笑まれて何とも言えない気持ちになった。
夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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#溺愛
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コメント
1件
うわあ……読み終わって、しばらく動けなかった。このエピソード、何も解決してないのに、気持ちだけが確かに動いたっていうか。「帰ろっか」って一言に、彼女の精一杯が全部詰まってて、抱きしめられてた腕が離れる描写が切なくて胸が締め付けられたよ。帰りの方が遅く感じる、っていう感覚もすごく分かる。登場人物たちの沈黙に、言いたくても言えないことが溢れてるのが伝わってくる。この空気感、すごく好きだなあ。