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始まりの場所での決着、そして約束の成就。荒廃した国の姿を目の当たりにしながらも、二人が選んだ「新しい王と守護者」の形。
逃避行の末、二人が決戦の地として選んだのは、皮肉にもあの十五歳の夜に別れを告げた王邸の奥深くにある秘密の庭園だった。
「ここで終わらせよう、ひろぱ。僕たちの過去も、この国の因縁も」
元貴の言葉に応じるように、滉斗は静かに氷剣を抜く。追ってきた反乱軍の精鋭たちは、二人を包囲し、一斉に襲いかかる。しかし、今の滉斗はかつての「軍の駒」ではない。守るべき愛する人が隣にいる、真に最強の剣士だ。
「……露払いは俺がやる。元貴、お前は自分を信じろ」
滉斗の剣が閃くたび、庭園の緑は白銀の氷華へと変わり、敵を次々と封じていく。元貴もまた、限界に近い体力を振り絞り、滉斗の背後で完璧な防御障壁を展開した。
数時間に及ぶ死闘の末、最後の一人が膝を突いたとき、静寂が庭園を支配した。かつて美しかった庭は、破壊と氷に覆われ、反乱軍は文字通り全滅したのだ。
月明かりが、血と氷に汚れた二人を照らす。
滉斗は荒い息をつきながら、剣を地面に突き立て、ゆっくりと元貴の方を振り向いた。その瞳には、十五年前には言えなかった、そして逃避行の中で育て上げた真っ直ぐな想いが宿っていた。
「元貴……」
滉斗は、震える手で懐から一対の翡翠の守り袋を取り出した。一つを自分に、もう一つを元貴の手に握らせる。
「国も、地位も、家名も、もう俺には何もない。残っているのは、お前を守りたいというこの命だけだ。……こんな俺だが、結婚してくれ。今度こそ、死ぬまで離さない」
元貴の瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
十五年前の約束が、呪縛ではなく、ようやく二人の未来を繋ぐ光になった瞬間だった。
「……うん。喜んで。僕も、君以外の誰の隣にもいたくない」
二人は壊れた庭園の真ん中で、深く、静かに口づけを交わした。逃避行の最後の夜。二人はもはや「王」と「剣士」ではなく、魂を分かち合った夫婦として、互いの体温を確かめ合いながら眠りについたのだ。
翌朝、二人が崩壊した王都へと戻ると、そこには衝撃的な光景が広がっていた。
かつての栄華は見る影もなく、多くの国民は戦火を恐れて他国へ逃げ出し、街は静まり返っている。
しかし、瓦礫の山となった広場で二人を待っていたのは、ほんの僅かな、だが温かな「希望」だった。
「王様……! お帰りなさい!」
駆け寄ってきたのは、反乱で親を亡くした幼い子供たちと、どんな時も元貴の慈悲を信じて残った数少ない老人たち。
「ひろぱ。僕たちの国は、もう一度ここからだね」
「ああ。今度は、力で支配する国じゃない。お前の術のように、優しさが芽吹く場所にしよう」
元貴は、残された子供の一人の頭を優しく撫で、初めて王としての真の決意を固めた。攻撃術は使えない。けれど、傷ついた大地を癒やし、残された命を育むことなら、今の彼にはできる。
その隣では、かつて「最強の死神」と恐れられた滉斗が、子供たちに薪の割り方を教えようと不器用な笑顔を見せていた。
和と唐が混ざり合った美しい国は、一度滅び、そして二人の愛によって再建の道を歩み始めた。最強の盾である滉斗と、慈愛の心を持つ元貴。二人の物語は、語り継がれる伝説となって、新しい国の礎となったのだ。
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