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ある日悠斗の家に行くと、そこには傷だらけの悠斗が座りこんでいた
「悠斗!」
「亮太…俺もう疲れちゃった」
腕にはさっき切ったであろう大量の傷、首を絞めた跡もあったし、ODもしたのかな…薬も散らばっていた
「はは…亮太にこんな姿見られるなんて」
「ごめんね、汚いもの見せちゃった」
「汚くなんてない!……とりあえず手当しよう」
「手当なんてしなくていいのに…俺なんか放って置けよ」
「悠斗がそう思ってても僕は放っておかないよ」
「そう…」
「……亮太、俺ちょっと眠くなってきたから…手当は任せる」
「えっ!?ちょっ…って、ほんとに寝てるだけか」
「ふぅ…よかった、この状態で眠いって言われたらもう……」
───
「やっと腕の血止まったな…これで包帯巻いてっと」
「首も一応巻いておくか…」
「よし、終わった」
そういえば一体なんの薬でODしたんだろう…
「……処方箋か」
「確かこの薬副作用で眠気があるって悠斗が言ってたような…ODした分副作用が強く出てしまったのか」
…ベッド運ぶか
───
「…よしっと」
「ん?…なんか熱いような」
「熱あるのかな…」
「体温計探すか」
「確かこの辺に…あった」
「ごめんね悠斗、ちょっと失礼するよ」
ピピッ
「38度…やっぱ熱あったか」
「氷枕取ってこよ」
──────
「ん…」
「起きた?」
よかった…起きなかったらどうしようかと
「亮太……ごめん」
「ん?なんで謝るの?」
「迷惑…いっぱいかけちゃった」
「大丈夫、迷惑なんかじゃないよ」
「ほんとに?」
「ほんとだよ」
「そっか…よかった」
「うん」
「…あのね、悠斗」
「僕は悠斗が生きててくれるだけで幸せな気持ちになるの」
「だからさ、何かあった時は相談してほしいし、それに……」
「分かってるよ、もうあんな事はしない」
「だからそんなに泣きそうな顔しないで?」
「うん…ありがとう」
「…できればでいいんだけどさ、どうしてあんな事をしたのか話してほしいな」
「んー…今回は言えそうにないな」
「分かった」
「そうだ悠斗、もう昼だけど食欲はある?」
「食欲?うーん…あんまないな」
「まあそれもそうだよね、熱もあるし」
「え、俺熱あんの?」
「そうだよ、気づいてなかった?」
「言われてみれば朝から身体ダルかったような…」
「まあ、とにかく今日は安静にしてなよ」
「うん」
「……あっ!」
「…?」
「包帯真っ赤だ…血止まったと思ってたけど止まってなかったのかな」
「とりあえず包帯替えないと…」
「別にこのままでもいいよ」
「悠斗がよくても僕がダメなの!」
「君はもっと自分を大切にしたほうがいいと思うな…」
「してるよ」
「ええ、ほんとに?」
「生きてるって事が何よりの証拠だ」
「…それもそっか!」
「そーそ」
適当に言ったけどなんか納得されたな…
「とりあえず包帯外すね」
「……よしっと」
「軽く血を拭き取って…」
「うーん、改めて見ると結構深いなぁ」
「そうか?」
「うん…もしかしたら縫わないといけないかもなぁ」
「病院行く?」
「行かない、病院嫌いだから」
「病院なんて自分勝手で上から目線の奴しかいないよ…」
「病院のイメージ中々酷いね…」
「まあそこまで言うなら分かったよ、傷これ以上広がらないようにおとなしくしておくんだよ」
「分かった」
「うん、じゃあ僕はお昼ご飯作ってくるね」
「何か食べれそう?」
「いらない…亮太だけ食べてなよ」
「そっかぁ…じゃあせめて水はたくさん飲んでね」
「悠斗はODもしたでしょ?水飲んで薬抜かないと」
「えー…面倒くさい」
「面倒くさいじゃないの、吐いたりするの嫌でしょ?」
「それはそうだけど…」
「じゃあ決定ね、水持ってくるから待ってるんだよ」
「うん…」
薬なんて放置すれば勝手に抜けるのに…でも吐くのも嫌だからしょうがない
「はい、持ってきたよ」
「ありがとう」
「…そうだ、僕は泊まりの用意持って来るから一旦帰るね」
「え、泊まるの?」
「当たり前でしょ、あんな事があったのにずっと1人にさせるわけないじゃん」
「大丈夫だって、もうしないって言っただろ」
本当は今すぐにでも切りたいけどな…亮太が家でたら切ろうかな
「信用できない」
「えー、俺の事信用できないの?」
「前もしないって言ってしたの忘れたとは言わせないよ」
「なんだ…覚えてたのかよ」
「覚えてるに決まってる」
「ちっ」
「舌打ちしない」
「はいはい」
「もう…とにかく泊まりの用意持ってくるから何もせずにそこにいるんだよ!わかった?」
「わかったから早く行ってきな」
切りたいなー、早く行ってくれないかな
「じゃ、行ってくるね」
「うん」
「よし…行ったな」
「亮太がいないうちに切るか…」
「確かカッターはここに…あった」
「………」
「……ふぅ」
「あー、すっきりすっきり」
「ちょっと深くなったけどまあこのくらい許容範囲だよな」
「バレないように包帯巻いて…っと」
「………」
「よし、完璧」
「あとは亮太が帰ってくるまで待つか」
──────
「戻ったよ」
「おかえり」
意外と早かったな…ODまでしなくてよかった
「……」
「ん?どうした?」
「いや…何でもないよ」
「そうか」
切ったこと気づいたのかと思って焦った〜…よかった気づいてなくて
──────
「ふわぁ…ねむ」
「寝てもいいんだよ、まだ熱も下がってないでしょ?」
「ん…そうだな」
「氷枕ぬるくなってるから新しいの持ってくるね」
「…うん」
全身がダルい…なんならさっきよりダルい気がする
体温…測るか
ピピピッ
「39.8…」
はぁ…だからこんなにしんどいのか
全身痛いし…
「悠斗、持ってきたよ」
「…って、大丈夫!?」
「りょうたぁ…俺もうだめだ」
「今にも死にそう…おえっ」
「あわわわ」
「吐きそう!?大丈夫?」
「ふく…ふくろ」
「はい!」
「おぇぇぇ……」
「はあ…はあ」
「あー…お前にこんな汚い姿見られるなんてな」
「汚くなんてない!」
「そうか…ありがとな」
あーあ…熱があるって自覚したらもうだめだな
しんど…ちょっと寝るか
「寝るわ…おやすみ」
「うん、おやすみ」
「ゆっくり休んでね」
──────────
ザワザワ
あれ、ここは…学校?
さっきまで家にいて…
…ああ、夢か
夢なんて久しぶりに見t
バッシャーン
「うわっ!?」
「誰だよ…って、亮太?」
「僕の名前呼ばないでくれるかな、気持ち悪いんだけど」
「え…な、なんで…」
「僕さぁ、ずっと君のこと嫌いだったんだよね」
「は…」
大丈夫、これは夢…夢だ
「だからさ、これから二度と僕に話しかけないでね」
「………わかった」
「物分かりがよくて助かるよ」
「じゃあ僕はもう行くから、さようならー」
「…」
久しぶりに夢見たと思ったら悪夢かよ…ついてねぇな
あー、早く夢から覚めてくれ
こういう時は念じればいいのか?
──────
ダメだ…いくら念じても夢から覚めない
もしかしたら今までのは全部夢でこれが現実…?
はは…まさか…な?
………そうだ
夢の中で死ねば流石に目覚めるよな?
たとえこれが現実だったとしても…亮太にあんなこと言われた俺に生きる価値はない
そうと決まれば屋上に…
──────
風が気持ちいい…リアルな感覚…
これは夢なんかじゃなくて現実なんじゃないか…
どっちでもいいけど…どうせ死ぬんだから
怖い…けど飛べばすべて終わる
夢なら覚めるし現実なら……
どうでもいいや、さようなら
グシャ
──────────
「……はっ!」
「よかった…夢から覚めた」
俺のあの行動は無駄じゃなかったと言うことだな
「大丈夫?悠斗」
「ああ…なんとか」
「…なあ」
「ん?どうしたの?」
「お前は…俺の事嫌いになるなよな」