恋人にはなれない

恋人にはなれない。

⚠nmmn、二次創作、Iris 、桃青、学生、⚠

放課後の教室 窓の外は薄暗くなり始めていた

桃「課題 終わった？」

低い声に振り返ると 彼が机に肘をついてこちらを見ていた いつも不機嫌そうな顔 でもなぜかその視線を避けられなかった

青「…まだ」

素直に答えると 彼はふっと鼻で笑った からかわれている気がして胸がちくりと痛む

桃「まろって ほんと不器用だよね」

その言い方は冷たそうなのに どこか優しくて心がざわつく 友達とも呼べない距離感で それでも彼はいつも隣にいた

沈黙が落ちる ペンの先で紙を突く音がやけに大きく響く

桃「…俺さ」

彼が口を開くと 空気が少し張り詰めた

桃「まろといると 面倒なのに 落ち着く」

突然の言葉に返せなくて ただ固まる 俺が沈黙している間に 彼は立ち上がって窓の外を見た

桃「別に答えは今じゃなくていいよ」

ぶっきらぼうな声 だけどその横顔は 夕焼けに滲んで少し寂しそうだった

教室に残されたのは ペンと紙と 彼の残り香だけだった

＊＊＊

次の日も 彼は当たり前のように隣の席にいた

桃「昨日の課題 出した？」

青「…うん」

短いやり取り でもその声を聞くだけで不思議と落ち着く 自分でも苛立つくらい 彼に振り回されていた

昼休み 校舎裏で二人並んで座る 風に髪が揺れる 彼はポケットから飴を取り出し ひょいと俺に投げた

桃「甘いの食っとけ」

青「なんで」

桃「顔が疲れてんだよばーか」

青「なｯ馬鹿ちゃうし」

青「まぁ、でもありがと」

桃「…笑どういたしまして」

乱暴なようで どうしようもなく優しい その矛盾にまた胸が締めつけられる

友達以上とも恋人未満とも言えない その距離感に 苦しくても離れられなかった