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#転生
コシ
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耀聖(ようせい)
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『偽りの無能、真の覚醒〜転生皇女はすべてを奪い返す〜』
「――ククク、本当に見事な連携だわ。まさか、あのディルクをここまで綺麗に片付けるなんてね」
魔王ディルクが私たちの完璧なコンビネーションによって塵(ちり)となり、消滅したはずの玉座の間。その中央の空間が、まるでガラスが割れるようにベキベキと音を立てて引き裂かれた。
割れた空間の裂け目から溢れ出してきたのは、息をするだけで肺が焼け落ちそうなほどに濃厚で邪悪な、紫色の『深淵の霧』。
霧の奥からゆらりと姿を現したのは、妖艶な黒いドレスを纏い、禍々しい紫の瞳を怪しく光らせる絶世の美女――魔王の背後で糸を引いていた真の黒幕、『深淵の魔女』だった。
「あなたが……深淵の魔女ね」
私はアルベルトお兄様に支えられながらも、まっすぐに彼女を睨みつけた。魔王を倒したばかりで、私とお兄様、そしてリンの魔力は確実に底を突きかけている。このタイミングでのラスボスの登場は、率直に言ってこれ以上ないほどの最悪の状況だった。
「ええ、そうよ。でも、そんなに警戒しないで頂戴? 私はあの無能なディルクとは違って、あなたたちをただ力任せにひねり潰すような野蛮な真似はしないわ。……もっと、美しく、絶望的に、内側から壊してあげる」
魔女はクスクスと鈴を転がすような声で笑うと、その白い指先を天へと掲げた。
「さあ、私の本当の姿(せかい)を見せてあげるわ。――目覚めなさい、『万物の拒絶(アビス・リバース)』」
その瞬間、古城の玉座の間全体が、まるで生き物の胃袋のようにドロリと歪み、反転した。
◇
「――っ!? お兄様、リン!」
激しい目眩(めまい)と共に視界が戻ったとき、周囲の景色は完全に一変していた。
石造りの頑丈な城はどこにもない。私たちが立っていたのは、一面が肉壁のように蠢(うごめ)く不気味な紫色の空間。頭上には星の代わりに無数の「紅い瞳」が浮かんでこちらを凝視しており、足元は踏みしめるたびに、底なしの沼のようにじわりと沈み込む。
城全体が、魔女の魔力によって『異空間の悪夢の胎内』へと完全に作り変えられてしまったのだ。
「ローゼマリー、僕の側に……っ、ぐあぁっ!?」
すぐさま私を庇おうとしたアルベルトお兄様が、突如として苦痛の声をあげてその場に膝をついた。
「お兄様!? 一体どうなされたのですか!」
「魔力が……、身体から、勝手に、吸い出されていく……っ!」
お兄様の言う通りだった。この空間を満たしている大気そのものが、魔女の最凶の『拒絶の呪い』。この理の外側の世界に足を踏み入れた生物は、息を吸うたびに体内の健全な魔力を強制的に体外へと吸い出され、代わりに毒々しい深淵の瘴気を流し込まれてしまうのだ。
「ローゼマリー様、お気をつけ、ください……。身体が、鉛のように重くて、指先が……っ」
いつも冷静なリンまでもが、その華奢な身体をガタガタと震わせ、必死に光の魔力を維持しようと盾となって前に立っている。けれど、彼女の足元からは、先ほど覚醒させたばかりの神聖な光の粒子が、床の肉壁へと掃除機のようにズブズブと吸い取られてしまっていた。
私たちの最大の武器である魔力そのものが、存在しているだけで奪われていく。
チートな神の力を失い、本来の魔力だけで戦う私たちにとって、これほど過酷で不条理な戦場はなかった。
「ハハハハ! 素晴らしい表情だわ、シャルロット! いや、ローゼマリー皇女! 100年前の聖女の魂が現代に蘇ろうと、世界の理そのものを拒絶する私の深淵の中では、ただの無力な餌に過ぎないのよ!」
虚空から魔女の嘲笑(あざけ)るような高笑いが響き渡る。
それと同時に、周囲の肉壁から、無数の紫色の触手や、どろどろとしたスライム状の異形どもが、身動きの取れなくなった私たちを貪(むさぼ)り喰おうと一斉に這い寄ってきた。
「くっ、調子に、乗るんじゃないわよ……っ!」
私は奥歯を噛み締め、残された全ての魔力を右手に集束させようとした。けれど、魔法陣を展開した瞬間に、その構築式自体が空間に溶けるように霧散してしまう。魔法の威力すらも、この異空間では極限まで弱体化させられてしまうのだ。
「ローゼマリー……、大丈夫、だよ……。僕が、命に代えても、君だけは……」
アルベルトお兄様が、意識が朦朧(もうろう)とする中でなお、私を抱きしめて守ろうと必死に腕を伸ばしてくる。
リンもまた、血を吐きながらもダガーを構え、
迫り来る触手を一本ずつ切り落としていた。
大好きな二人。
私の新しい、幸福な居場所。
それを、こんな理不尽な魔女の呪いごときに奪われてたまるものですか。
「私は……絶対に折れない。
前世のあの絶望の夜を乗り越えて、お兄様とリンと、幸せになるって決めたんだから……っ!!」
押し寄せる絶望の呪いに対し、私は流れる涙を拭い、
紫の瞳に不屈の、そして絶対的な強者の炎を灯した。
魔力が奪われ、魔法が通じない世界。
絶体絶命の窮地の中、私たちは魔女の容赦のない猛攻の前に、初めて本物の命の危機に直面しながらも、お互いの手をきつく握り締め、
反撃の糸口を求めて必死に立ち向かうのだった。
コメント
1件
くっそ熱い……! 魔王倒したと思ったら真の黒幕・深淵の魔女がドーン登場って、展開エグすぎるだろw しかも魔力吸われるフィールドで絶体絶命とか、ローゼマリーたちの絶望がひしひし伝わってきたわ。それでも「絶対に折れない」って立ち上がるとこ、最高にカッコよかった! 続き気になりすぎるから早く更新してほしい🔥 りるらさん、グッとくる構成ありがとうございます!