テラーノベル
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「最後に、ラティス・レオグラッド!」
「はい……」
俺も神官の前へ。
(頼む……『無色の紋章』が来てくれ……!)
無色の紋章。
それは『全属性』の証。まさに万能な真っ白のキャンバスだ。
あらゆる属性の魔力を変換、使用可能。
好きな魔法同士を混ぜ合わせて、赤にも青にもすることができる。
俺のように膨大な魔法の知識を蓄えた者にとっては夢のような魔法紋章だ。
(しかし、無色の紋章の発現確率は0.002%……あまり期待はできないが)
「では……【デラノア】!」
神官の呪文の直後、俺の手の甲に現れたのは……雲のマーク。
(嘘だろ……!? 無色の紋章だ!)
全身が喜びでうち震えていると、周囲が一斉に笑い出した。
「おいおい! 見ろよ、『落第の紋章』だぜ!?」
「あらゆる属性を最低出力でしか出せない、無意味の紋章!」
「『赤の紋章』の大火力に比べて、マッチの火くらいしか起こせない外れ紋章だ!」
そして、伝播するように嘲笑の大合唱へと変わっていった。
俺は内心でため息を吐く。
(やはり、こういう評価か。分かりやすく初期から誰でも大火球が放てる『赤の紋章』と違って特化した属性が無いこの紋章はこいつらの低能な頭ではその真価を知ることはできないだろう)
感動しながら自分の手の甲に宿る無色の紋章を見つめる俺をレニールは笑う。
「ぷっ、あははは! マジかよ! ラティス、お前よりによって無色の紋章とかw どこまでカスなんだよw」
そして、そばにいるフランは嫌悪感丸出しで俺を睨みつける。
「一瞬でもアンタと仲良くしてた自分が腹立たしいわ……とことん使えないクズみたいね」
最後に俺の前に立ちはだかったのは、父のドラルだ。
怒りで顔を真っ赤にしている。
「ラティス! お前を我がレオグラッド家から追放するっ! 二度と帰ることを許さん!」
最強の紋章を手に入れて、生前の自分よりも強くなれる確信を得た俺は了承する。
「……かしこまりました。じゃあ、レオニールにフラン。また学校でよろしく」
「はぁ!? まさかお前、その成績と紋章で学校に来るつもりかよ!?」
「うん、俺でも頑張ればきっと魔法を修められると思うから」
「――ぷっ、あははは! 噓でしょ? まだ理解できないの? 自分が何の価値もない存在だって!」
そう言うと、レオニールとフランは心の底から愉快そうに腹を抱えて笑い出した。
「お前が魔法なんて無理に決まってんだろーが! バーカ! 次の模擬戦闘試験でテメーはコテンパンにやられて惨めに自主退学だ!」
「……失礼します」
これ以上話しても無駄だろう。
俺は部屋でカバンに荷物を詰めると、最強の紋章と共に屋敷を出た。