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三枝は草が生い茂る道を走っていた。
先ほどの悲鳴の方向を目指して走った。
「こっちから聞こえた気がしたけど………ん!?」
三枝の目の先には、女の子と遠くからでも分かるほど大きい体の鬼がいた。
鬼は今にも女の子に襲い掛かろうとしている。
よく見ると女の子の手からダラダラと血が出ている。
「クソッ。間に合え!」
三枝は地面を思い切り蹴った。
そして刀を振り、女の子に伸びる鬼の手を切りつける。
鬼の腕からは血が吹き出す。
鬼は少し後ずさりする。
「大丈夫ですか?!」
三枝は女の子の前に立ち刀を構える。
女の子は声を出さずに頷いている。
そんな会話をしている間にも鬼は三枝から切られた部分の回復をしていた。
回復が思いのほか早かった。
そして、体の大きさから推測するに相当人間を喰ったのだろう。
三枝は自分だけで倒せるか不安になった。
考えている間にも鬼は三枝目掛けて襲いかかる。
三枝は女の子を守りながら戦わなければならなかった。
三枝は一瞬の隙を突かれ鬼の攻撃をくらってしまった。
三枝は木に叩きつけられてしまった。
受け身を取ったが、ものすごい痛みが襲う。
「かはっ。やばいあばら…いったかも…。あと内臓も…。」
三枝は女の子から離れたところまで飛ばされてしまった。
鬼が女の子に襲いかかる。
今の三枝では間に合わなかった。
それでも三枝は走り出した。
その時、鬼の頭に一つの石が勢いよく飛んできた。
鬼は動きを止めて石が投げられた方向を見た。
「おらぁぁぁあ!このバケモン!!こっちやぁぁぁぁ!」
不破が鬼に向かって石を投げて叫んでいた。
不破は三枝と対角線上にいた。
鬼は不破を狙った。
それにより鬼は三枝から背を向けた。
「もらったぁぁぁ!」
三枝は体のことなど考えずに走った。
力を振り絞り、鬼の首を狙って刀を振るう。
地面に鬼の首が転がる。
そして三枝もその場に倒れた。
「三枝さん?!大丈夫すか!」
不破は三枝の元に駆け寄る。
あばら骨が折れているのに無理に動いたので悪化したのだろう。
意識はあるが痛そうな顔をしている。
不破は安心し、女の子の方を見る。
すると、全身黒ずくめの人が三人ほどいた。
女の子の怪我の手当をしている。
「あなたは怪我してないですか?」
黒ずくめの格好からは似つかない少女の声がした。
不破に向かって問い掛ける。
「大丈夫…っす。」
不破は戸惑いながら答える。
「そうですか。天ヶ瀬、三枝さんの方はどう?」
少女は天ヶ瀬と呼ばれた少女に聞く。
天ヶ瀬と呼ばれた少女は三枝を見ている。
「あばら折れるかも…。少しの間は安静にしないと。海妹ー、運ぶの手伝って。」
天ヶ瀬は肩を海妹と呼ばれた少女は足を持とうとした。
すると、空から人が降ってきた。
空から降ってきたのは青色の髪の毛をした少女だった。
「あれ~?もう鬼倒しちゃったの?」
少女は首を傾げている。
「相羽様。鬼は三枝さんが倒されました。ですが、あばら骨が折れており…。」
まだ名前の分からない少女が空から降ってきた相羽に答える。
「え!そうなの!じゃあ早く黛さんに見てもらわないと!ありがとうぽんちゃん。」
相羽はぽんと呼ばれた少女の頭を撫でた。
相羽は三枝を抱える。
「私が黛さんのところまで運ぶから、三人は村人さんたちを無事に村へ帰してあげてー。」
黒ずくめの三人は頷き、女の子は抱えて、不破を連れて行こうとした。
「あの!俺も、その黛さん?のところまでついて行っちゃだめすか?」
不破は相羽に聞く。
相羽はポカンとする。
「別にいいけど…。彼女さんのことはいいの?」
相羽は女の子を指差す。
次は不破がポカンとする。
「え、彼女じゃないですよ。三回くらいしか話したことないし。」
黒ずくめの三人は目を丸くする。
「彼女じゃないんだ…。」
ぽんと呼ばれた少女がつぶやく。