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さて、どうしてこうなった。
俺こと鳥居希は、昨日小学校の時の担任である猿山らだ男と再開。全く奇妙な話であるが、自身を可視させる人物を指定出来るようになったらしい。
昨日や一昨日の教訓を活かし、今日からはスカートでは無く女子用ズボンを履いて登校することにした。勿論、遅刻ギリギリなどではなく余裕を持って用意を済ませ、段々と散り行く桜を眺めながら登校。
清々しい気分で登校したというのに、校門に居る猿山のせいで台無しである。表情筋…^ら^ どうやったらそんな顔になるのか疑問だが華麗にスルーを決めこんだ。
今日からは全ての授業が通常通りに行われる。今日は水曜日なので全校集会は無い、そして一時間目から体育である。
俺が1番問題視していたのは着替えだ、感性が丸々男とはいえ男と一緒に着替えるのはマズい。かと言って女子と着替えるとなると照れてしまってとても2分以内に着替える事は出来ない。数分間悩んでいたら1つの事を思い出した。
そういえば体操着と体育館シューズ家に忘れてきたわ
他クラスの子から体操着と体育館シューズを借りることから1日が始まるとは思っていなかった。他クラスに借りれるような人も居ないので割と詰んでいる。とにかく総当りするしかない、1人くらいなら誰か貸してくれるだろう。1‐Bと合同で受けるのは1‐Aなので、CからFの誰かから借りるしかない。
浅はかであった。
「すまん誰でもええから体操着と靴貸してくれ!!」
ざわざわと教室が騒がしくなる、そして一斉に
『俺 / 私が貸すよ!!!!!待ってて!!』
と叫んだ。まさかの全員が貸すとの返事に驚くも、バタバタと慌ただしくなった一年生を見て早々にやらかしたと察した。声をかけてないクラスからも体操着を持ってくる人がいる始末、そんなに要らないと声をかけても我先にと押し寄せてくるのでこれは潰される、と思い逃げ出した。
中学校は平穏に過ごしたかったのに……
もうすっかり友達になってしまった女子トイレ、ドドドドッという足音が個室に響く。俺は何をしてもこんな騒動になっているがこれは俺が悪いのだろうか、可愛すぎるのが悪いのか。
全く罪な女だぜ私は、などと現実逃避をしていると女子トイレに何者かの気配を感じ、限界まで存在感を消す。誰だ、と探りつつもそっと足を便座の上にあげ影すらも消した。
その途端、目の前の人が声を出した。
「ゾムさんどこ行ったんですかー?」
エミさんの声がハッキリと聞こえる、待てここは女子トイレであり男子は入ってはいけないはずだ。目の前のエミさんはここが女子トイレである事を知った上でここを探しに来たのか。だとしたら相当な変態か、エミさんも女子か。いや流石に女子は無いだろう、エミさんへの目を180度変えなければ。
そんな事を1人で思っているともう1人トイレに入ってきた
「エミさん…流石のゾムも男子トイレは入らんやろ」
「女子トイレは探せませんから一応……」
どうやら俺は居一日で二回もやらかした様だ。慌てて駆け込んだここは女子トイレではなく隣にある男子トイレであった、最悪だ余計出れないじゃないか。そしてエミさん、ごめん。朝のHRが始まるまで大人しくしているしかない、担任の先生には何とか説明しよう。
「えっゾム男子トイレ入ってんじゃん」
ギィ、とドアの軋む音がしたと同時に猿山の声が聞こえてきた。若干喜色な声を聞いてイラついたのは言うまでもない。そして猿山のその一言のせいで一気に足音がこちらへ向いた。殺していいだろうかこの邪悪な存在を。
「ゾム…今日はグルッペン用事で休みだし借りなよ」
天使の声が聞こえた気がした。ひとらんらんが来てくれたらしい、グルッペンが休みとなれば借りる以外の選択肢はもはや無い。ようやくこの地獄みたいな隠れ鬼を辞められる、ひとらんらんには感謝してもしきれない恩が出来た。
ゆっくりと個室のドアを開けひとらんの後ろにへばりつく。そうしたらひとらんが上着を貸してくれた。
「ゴワゴワするけど肩幅広くなるし良いでしょ」
「ホンマにありがとうひとらん様助かった」
「あれ、ゾム見つかったん?良かっためぅ〜」
不意に後ろから声がかかりビクゥッと思い切り跳ねてしまった、声の主はそんな俺を見て鈴を転がすように笑っている。男であるはずなのに女の俺よりも華蓮なその姿に若干目を細め、笑みを浮かべた。小声で話しかけてくれたおかげで周りに俺がゾムである、という事がバレた様子はない。猿山とは大違いだ、そしてずっと無視し続けてきたが猿山めちゃくちゃうるさい。
「ぞむーぞむ、ねぇゾムめっちゃ無視してくるんだけど」
「しつこいからだと思います」
「あぁ、昨日の不審者…みたいな副担任ね」
「んだと不審者じゃねぇよ」
俺を放置して進められる会話に少々戸惑いつつも、近くに居たチーノを囮にして颯爽と教室に戻る。
「えっ、ゾムさん!?」
「声出してんちゃうぞチーノ殺す!!」
我ながら清々しい程の理不尽だが気にしてる余裕は無い。周りが俺を捉えて追いかけてくる、だが俺は早々に目的地を教室からシフトチェンジし違う方向に走り出した。
そう、最強の聖域…職員室である。
流石に職員室まで追いかけてくる奴は居ないだろう。まだ教室に居ない担任に庇ってもらおうではないか。
「失礼します1‐Bの鳥居希です庇って下さい」
「どうしたどうした」
おっと、いきなりすぎたらしい。先生方は突然の訪問者に呆然とするも言葉の意味を理解したらしく何があったのか、と聞いてくる。
「ん?えっまた君!?今度は何したんだよもー…」
この人は理科担当のしにがみ先生、1‐Cの担任。見た目は女の人みたいなのに男。俺とは逆の人だと記憶している。テンションが高く、苦労をかけるタイプの人だと思う。生徒に姐さんと呼ばれ親しまれている。初日の騒動の時囮にした。
「えぇ!?知ってんの?その子噂のあの子でしょ!?」
この人は小学校の時にお世話になった刑事さんにドッペルゲンガー並に似ている別人、ぺいんと先生。凄く騒がしいが元気で明るい人気者。1‐Aの担任らしい、担当は社会。とにかく奇声がうるさいので猿山と仲良くなれそうだと思う。
「あー入学前から噂になってた、君が原因かこの騒動」
この人はトラゾー先生。初日にして広まる噂がある。元自衛官だと言う噂や犯罪者の脱作を許したとか言われてる人。第一印象は真面目、だが教師陣皆変なので多分変。担当は体育で1‐Dの担任。凄く強いらしい、体育が楽しみ。
「あー男子じゃなかった子ねw滅茶苦茶美人じゃん」
この人はクロノア先生、病院で出会った記者に同一人物レベルで似てる別人。猫の様な目をしていて常に眠そう、でもよく騒ぐらしいのでやっぱり変人。第一印象は似てる。担当は国語で1‐Eの担任。
この4人は合わせて日常組、と呼ばれている。なぜ日常組なのかは流石に知らないが何となくしっくりくる。
「いや…体操着忘れて借りに行ったらこう……」
「え待ってどういう事それ!?」
「俺が可愛すぎるせいで……っ」
「めっちゃポジティブじゃんwww」
何とか説明をするとトラゾー先生があらぁ…とでも言いたげな哀れなものを見るような目で見てきたので悲しくなった。しにがみ先生は何かを察した様な、同情の目を向けてきたので多分、経験者。クロノア先生はめっちゃツボってる、何がどうしたらそうなるんだよとでも言いたげな雰囲気で転げ回ってる。ぺいんと先生も爆笑してる、最初は混乱してたのに次第に理解したのか息が出来てない。酸欠で死にそう。あ、むせた。
「ゲッホオェッ…ひーっw何それぇwww」
「よし…君は何も悪くない、僕らただの被害者さ…」
「……うん、自業自得…?」
「アッハハハwマジで可愛すぎるせいだw」
「どうしたらええんすか俺これ匿って下さいよぉ」
先生方と相談していたら偶々職員室に入ってきた校長先生の耳にその話が入った。そのせい(おかげ?)で急遽一年生のみの集会が行われる大騒動となった。俺は悟った、安易に行動はするものでは無い。人見知りが薄れる程の注目度に若干諦めモードに入ってきている。このままでは不登校になりかねないが、流石にそれはマズい。自分のケツを蹴って気合い入れて明日学校行こうと思います。
「えー、一年生の皆さん!鳥居さんを追いかけるのは辞めてあげましょう!職員室に駆け込んで助けを求める程困っていました、今後は落ち着いて鳥居さんに接してくださいね。」
まさにカオス。流石に達観し始めてきて笑った。
「俺っw俺ぇ〜…マジ、wここまで来てもうたか…」
「ホンマに可哀想、トントン…お前もそう思うやろ…」
「おん、ロボロも…やっぱそう思うよな、」
「ゾムそん何かいつもこんな感じやね」
「え、小学校もこんなんやったんすかw」
つか保育園の入学式もこんな感じだったわ。
俺はそういう星の元に生まれてきてしまったらしい。
校長先生は赤髪のとも、という愛称で親しまれている。ともさんとよく呼ばれている。
教頭先生はぴくと、という愛称で親しまれている。ぴくとさんとよく呼ばれている。何故かコネシマと合わせてぴくとはうすになった、アイツ初日で何やらかした(おまいう)
次は多分体育します。つかあんま日常組知らんのに無理しましたすみません解釈不一致は回れ右でお願いします。遅いですけど。
ホンットにネタ尽きてますけど書けるだけ書きたいので
3000おなしゃす⌒ ͜ ⌒