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いつものように鹿を撃っていると「わん!」と大きな鳴き声がした。
何かと思い振り向くと小さな犬が自分を見つめていた。舌が出ていて知性の無さを感じる見た目だ。じっと見つめられているので自分も見つめ返すと、一直線にこちらへ走ってき、目の前でぴたりと止まり、座った。
何だこの犬は、と少し驚きを感じ思わず後ずさりするもその分、いやそれ以上に距離を詰めてくる。
そして飛びかかられた。思ったより勢いがよく、バランスが崩れ、倒れた。「どいて」と言ったがそんなことも気にしない用な態度で顔をぺろぺろと舐めてくる。いや、この態度なら分からないのかもしれない。
すぐに犬を持ち上げ、じっと見つめる。へっへと呼吸しているその犬は、首輪がないので飼い主が居ないようだ。いずれは狩猟犬になるだろう。と考え飼うことにした。友人に首輪を頼み、家へ犬を連れて帰る。抱き上げていないとどこかへ走って行くので手間がとてもかかった。そして家へ連れ帰って来た。これから練習でもさせれば良い狩猟犬になるはずだ。
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昔の自分はとても馬鹿げた思考をしている。
あれから何度も芸を覚え込ませようとしたり獲物を狩らせても一向にしようとしていない。それどころか辺りを走り回って遊び、家に帰ってくると眠るばかりだ。本当に呆れる。知性の無さは成犬になっても変わらなかったようだ。
今日も窓から犬が走り回るのを見る。するアクセサリーを見つけて持ってきた。もみの木を象ったクリスマスツリーの飾りのようだ。少し残念だと思ったが頭を撫でてやるといつものように尾をぱたぱたと壁に打ち付けている。それを見ながら準備をし、狩りの練習を今日もさせる。