120♡ありがとうございます!
言うことないのでstart
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夜の帳が落ちるのが、少しだけ早くなった。
朝露のつく草木が、ひと晩で枯れ落ちることがある。
そして、春を告げるはずの花たちが、咲こうとしない。
――それは、小さな世界の、ささやかな異変だった。
だが、その変化を最も敏感に察知していたのは、「人間」ではない。
静かな森の奥。草の上に、裸足の足音が落ちる。
その足取りは軽やかで、そして、どこか焦りを帯びていた。
「茜花、そっちはどう?」
闇のなかに馴染むような髪を揺らし、少女は振り返る。
もうひとりの少女――佐々木茜花は、明るい笑みを浮かべながら答えた。
「やっぱり変だよ、星夜。花の精霊が全然目を覚まさないの」
「……こっちも、闇の精たちがざわついてる。『星がずれてる』って、言ってた」
「またかぁ……」
ふたりは、この世界の「明るさ」と「暗さ」をつかさどる妖精――
**佐々木茜花**と、暗夜星夜。
靴を履かず、大地と空気にそのまま触れながら、
この世界の“均衡”を保つ役目を与えられた、特別な存在だった。
だが――その均衡が、静かに、だが確実に、崩れかけていた。
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お疲れです!
このまま次回の後編に続きます。