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テラーノベル(Teller Novel)
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最近、私のうつ病は悪化した。


気づかないうちにストレスをためこみすぎて、私は貧血気味、という症状の他にも、

たくさんの症状が出るようになった。

1人になった時どっと疲れが出て、頭が痛くなったり、いきなり体が震えたり。

その症状を抑えるために強力な薬を飲むと副作用で強烈な眠気が私を襲う。

いつもの薬以上に効果が強くて体が耐えられず、目を閉じると眠気が襲う。


病院側の推薦で、私は毎日カウンセラーのところへ放課後行っている。

でも、私は何も喋らない。

何を聞かれても。

だって、話したらどうせ「かわいそう」って言われるから。

私は子供なんだろうな、と自分でも思う。

「かわいそう」って言われるのは、この状況では普通の反応だ。

だけど、それが嫌だ。


「かわいそう」は、もう、あの時からずっと嫌いだ。


父の妹、夏葉が死に、父がうつ病。

周りは幼い私にかわいそう、かわいそう、という。

だから、私はつい言ってしまった。

「かわいそう、ってどういう意味なの?」

小学3年生。

純粋に聞いた。

周りは、こう告げた。


「災難な人に、いう言葉だよ」


災難。

そうかもしれない。

普通の小学生が、こんな重たい事実を背負うのはあまりない。


でも、


それでも私は、


かわいそう、なんて言われたくない。


災難、なんて言われたくない。


その言葉によって、未来の私が、どんどん暗く塗りつぶされていくから。


私は、自分のことを人に話すのが怖かった。

また、「かわいそう」って言われるから。

知られたくない。

拒絶されるのが怖い。

私の影を知った瞬間に、みんな私の元から離れてゆく。


私は必死になって目頭を抑えた。

涙が出たら、周りにいろいろ聞かれる。

もしかしたら、もしかしたらバレてしまうかもしれない。


私は自分を曝け出す、ということができない。

すずとみさきに関しては、親だって表面的にしか知らない。

私は、これ以上、親に心配をかけたくない。


今も、うつ病で苦労しているのに。

私は今でも覚えている。

私が「医者」になる、と告げた時のこと。

別になりたいわけじゃない

でも

でもそうじゃないと、父が死んでしまう気がした。


私と夏葉は似ていた。

顔や仕草、笑い方まで似ていたそうだ。

まるで鏡のようだとよく言われた

そして彼女も医者だった。

そして、私の将来の夢は医者だ。

私は無意識に彼女を追いかけているのかも知れない。

似ている、と言う言葉に従うように、私は迷いもせず将来の夢は医者に決めた。

でも、私に医者が向いているとは思わない。

理科だって苦手だし、血なんか、見るだけでも嫌だ。

それでも私が医者になりたいと臆することなく言うのは、父がそう言うと笑ってくれるからだ。

そうか、と口では言うものの、目はいつだって嬉しそうに細めていた。

私は期待に応えたかった。


夏葉は、強かった。

凛として、前を向いていた。

だからあの背中がふっとと見えなくなった時、私は自分の目標も、感情も、全部消えてゆくみたいな気持ちになった。


夏葉ねえ、と昔みたいに呟いた。

いつだって夏葉ねえにくっついて歩いていた。

アルバムを開けば、絶対に夏葉ねえがいた。

いっそのこと、あの頃に戻れたら。

そう、何度考えたことだろうか。


でも、そんなことおこるはず、なかった。


そして事態は悪化した。

無価値の私と、大切にされてきた君の嘘だらけの物語

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