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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「1週間…!」

部屋を出たところで、嶽丸に捕まった…。


「え…っと、久しぶり」


「久しぶりじゃねぇ。今日で連勤1週間だぞ。休みはどうした」


「…今日、ケンゾーが海外出張から帰ってくる日だから」


「だから?休日返上するってか?」


日曜日。

ケンゾーとの食事から、1週間が過ぎた。

…ということは、中沢由香ちゃんという会社の後輩とのキスシーンを見てしまってからも1週間たつわけで。


あれから嶽丸は、今までのリモート勤務が嘘みたいに毎日出勤するようになった。


満員電車を避けるため、嶽丸はかなり早く出社してるみたいだし、帰りも遅くてほとんど会えない。


だから…こんな風にちゃんと顔を見るのは、ほぼ1週間ぶりなのだ。


「明日、休めばいいかなって、思ってて…」


「だめ。今日は予定通り休みな」


もう着替えてたし…あとはメイクするだけだったけど、目の前に立ちはだかる嶽丸は、決して私を1人、家から出してはくれないだろう。


「…わかった」


どちらにしても休みの予定だったから連絡する必要もない。


「いい子。じゃあこっちおいで」


「…え」


「もう少し寝るだろ?俺の部屋で一緒に寝よ」


手を引かれて素直に連れ去られてみれば、迷わずブラウスのボタンを外される。


「…ちょっと、自分で着替えるから!」


ふふん…と謎の不敵な笑みを浮かべて、嶽丸は自分のTシャツを放ってきた。


「し…下は?」


「なし」


「え…?」


心もとない下半身をTシャツの裾を引っ張って隠してみる。


「あ〜あ…伸びるからやめて?」


「だったらハーフパンツ取ってくるからどいてよ」


嶽丸はすでに私の隣に座って腰を抱き寄せてる。


「ごめん、それはムリ」


そっとベッドに押し倒されて、横向きに向かい合いながら、こういう体勢の嶽丸は久しぶりだと思う。


「1週間、何してた?」


「仕事、してたよ」


「ヘアショー終わって、少しはよゆーできた?」


「うん…」


ケンゾーと食事してきたことは、そう言えば話してない、と気づいて…わざわざ言うことでもないかと口をつぐんだ。


「あぁ…可愛い…」


頬を両手で挟まれて、ジッと見つめられる。

その目は、愛しさと優しさと温もりとー…情欲が混ざったような、複雑な色。


「…キスしたい」


キス…ずっとしてない。ちゃんと会えなかったし、キスを日常にする間柄とは少し違うし。


でも、キスと聞いて…思い出すことがある。


「キス、してたじゃん?」


「ん?」


そんなこというつもりなかったのに…不思議そうな顔しないで。

覚えがないって顔してるよ、その目は。



「もしかして…見てた?」


「見てたよ」



…探るような目に変わった嶽丸。


実はずっと気になって、そのせいで私の心は冷たくて重たくなってた。


じんわり…涙が浮かぶ。

嶽丸が悪いわけじゃないし、私に謝る理由もないのに、私の微妙な変化にすぐに気づいたみたいに…ふんわり抱き寄せられた。



「あの子はこの春入社してきた子で、指導係が俺に代わったんだよ。で…久しぶりの出社で後輩たちが飲み会セッティングして、そこに来てさ。帰れって言ってるのに、タクシーでついてきちゃったわけ」


「全部話すんだね…」


「そりゃあまぁ…誤解されたくないしな?」


「…キスの言い訳は?」


「あれは…人の隙をついてぶつかってきたみたいなもんだ。気持ちがないから、何も感じない」


「…気持ち?」



腕の中で、ちょっと上を見れば、気配を感じて下を向いた嶽丸と目が合う。


「そう。…気持ちがあるキスっていうのは…」



角度をつけた嶽丸の顔が近づいてきた。

…はじめから唇を開いてて、私も合わせるように口を開けた。


舌が熱くて、その熱を移すみたいに、絡められる。

うごめく舌は上になり、下になって…私を抱きしめる腕に、徐々に力が込められた。


先に吐息をもらしたのは嶽丸。

私は…うまく息ができないほど、夢中になった。

チュウ…ってリップ音が響いて、ちょっと恥ずかしくなる…



「わかる?これが愛する女にする、気持ちのあるキス。…みゃーが見たキスと、違うだろ?」


「…」


本音を言えば、ぶつかるだけのキスでも嫌だった。嶽丸が誰かに触れるなんて嫌だ。このしなやかな筋肉をまとう腕は、いつも私にまとわりついていればいいと思う。



「うん…違うね」


そんな本音は、上手に隠したつもり。

でも私の手は無意識に嶽丸を求め、その首筋に巻き付いてしまう。


自然と顔が近づいたから…私から2回目のキスを落とした。


チュッとついばむようなキスをしてから…唇を押し付けるようなキスに変えた。

…ずっと、このままでいたい…と思ってるのに、嶽丸の唇が開くのがわかる。



「みゃー…俺、無理だわ…」


Tシャツの上から背中を撫でていた手は腰のカーブにたどり着いて、グッと引き寄せられて…その形を擦られた。


お互いのお腹がくっついて、足が絡みついて…私が押し付けたキスは、嶽丸によって唇がこじ開けられ、淫靡な水音を響かせる。



「…わかってる?俺がどれだけみゃーが好きで、毎晩、どれだけ我慢してるか」


溢れ出すような嶽丸の情欲を受け止めながら、まだ少し我慢してるんだろうと思った。


…どうすれば、そのストッパーを完全に外すことができるかな、なんて思うのは…


もっと素の嶽丸を見たいから。

私だけが知る、嶽丸を見たいから。


でも、見たらいけない気がする。わずかでも…ストッパーがかかっているからこそ、2人の生活が成り立ってる気がする。


「本気…出していい?」


それなのにそんなこと聞かないで。


「本気って…最初のホテルでのことみたいな?」


「あんな生易しくない」


「…え?」


「ねぇ…俺に溺れて?…」


私のポチくんと俺のタマ

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コメント

1

ユーザー

みゃーちゃんはもう十分に溺れてるよ。 溺れ過ぎて藻掻いてるよ。 溺れさせたんだから、救いあげるのも嶽丸の役目だからね!

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