『…とりあえず進んでみるか。』
左に曲がると”0番出口”と書かれている看板があった。
そして少々目に悪そうな壁の間を進み左折するとよく分からない空間にたどり着いた。右には複数のドアに通気口…左には看板などが配置されている。ますますここはなんなのか不思議に思う。窓も無いし…軍用地下通路か何かか?
俺は辺りを見回す。いや異変も何も…初見だから分からんな。異変を見つけられず素通りしたら死ぬ訳でも無いだろうし…まさか、死なないよな?そんな妄想をしながら歩みを進める。
先に進むと”1番出口”と書かれた看板が見えた。なるほど。先程の通路が0番出口、これから入るところが1番出口で…異変?に応じて進んだり引き返したりして”8番出口”まで進めば良いということだな。なんとなくではあるが俺はこの場所の摂理を理解し次へ進む。
1番出口に入るが先程の通路と全くと言っていいほど同じ造りだ。この空間は一体どうなってやがる……いやいや、そんなことよりも、今は異変とやらを探さねばならん。規模の大きな間違い探しのような感覚でいいだろう、おそらく。そう考えながらふと俺は上を向いた。
『…あ』
”引き返せ引き返せ引き返せ引き返せ引き返せ引き返せ引き返せ引き返せ引き返せ引き返せ”
天井に付いた看板には書かれていた。明らかにこれは異変だな。異変は目を凝らせば見つけられる程度の難易度なのだろうか。まあ今回のものは分かりやすい。看板に従い引き返すことにしよう。
引き返すと、”2番出口”と書かれた看板があった。指示に従えれば出口の番号が進むのか?にしても、引き返したのに番号が進むというのも奇妙なものだな。
さて、無駄な思考に時間を割かずさっさと次へ進むとしよう。
2番出口へ足を向かわせるや否や、先の方からバタバタと騒がしい足音が聞こえた。まさか敵か…!?いや、俺と同じく迷い込んだ人かもしれん。良い予測も悪い予測も頭で混ぜ込みながら俺は足を進める。
「あああああああ!!!」
そう叫びながら、カンカン帽を被った、薄着で爽やかな装いをしている長身の男が走ってきた。通路に入ると肩で息をしながら、黒い液体の付着した手を膝につき下を向いている。相当全力で走ったのか?考えられるとすれば何か…異変などから逃げるため…とか。ならばこいつは味方かもしれない。話しかけに行くか。ここから出るには見知らぬ奴との協力もやむを得んだろう。
『そこのお前…。お前もここに来たのか?』
俺はそいつの方へ足を進め、肩に手を置き話しかけた。
「あぇ…?」
気の抜けたような声を出してそいつが顔をあげると、顔にはトリコローレが描かれていた。イタ王か?いや、だが中央に十字が無いしイタ王とは目の色が違う。イタ王は両目とも赤色だが、こいつは左目が緑色だ。ならこいつは一体…?すると、
「え、え、え、わ、うわぁああああ!!??」
俺の顔を見るや否や走って俺の横を通り過ぎていってしまった。俺のことを異変か何かだと思い込んだのか?なんて無礼な。
追おうかとも思ったが、この状況下とはいえあんなに冷静さを欠くような奴と協力するくらいなら一人で進んだ方がマシそうだな。つまりわざわざ追うにも値しないということだ。
さて…異変はあるのか。辺りを見るも異変らしき異変は無い。それに、さっきの奴はおそらく異変では無いしな。まあ先に進むとしよう。
進むと”3番出口”と書かれた看板があった。やはり異変は無かったようだ。
今のところは順調だな。この調子で8番まで行き脱出しよう。俺は3番出口へ足を進めた。
NEXT_150♡
コメント
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仮イタ王異変じゃないんだ…大分頭おかしそうだけど大丈夫なのか… いくら頭おかしいの良さそうなアメさんでもこれから迷うんだろーなー…