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閑話休題「麻雀と性格」
夕方。
任務も訓練も早めに終わり、 空気はかなり緩かった。
奈央が端末を見ながら言う。
「最近、麻雀流行ってますよね」
三上が反応する。
「あー、隊員同士で結構やってるな」
「私も少し興味あるんですよね」
奈央が苦笑する。
「ルール全然分からないんですけど」
「お、じゃあやる?」
三上が即答した。
「俺牌あるぞ」
「あるんですか」
「この前ラウンジでやった時持ってった」
その時。
後ろでソファに転がっていた水瀬が反応した。
「……麻雀ですか〜?」
のんびりした声。
「私もやりたいです〜」
「水瀬出来んの?」
「ちょっとだけ」
起き上がりながら答える。
「でもちゃんとやったことはないかも」
その横で。
黒瀬が静かに言った。
「麻雀なら出来ますよ」
奈央が少し驚く。
「黒瀬くん出来るんですか?」
「一応」
三上が嫌そうな顔をした。
「うわ絶対強いじゃん」
三上が嫌そうな顔をした。
数十分後。
ボーダー本部ラウンジ。
机の上に麻雀牌。
ジュース。
お菓子。
休日ということもあり、 ラウンジはかなり静かだった。
「ラウンジで麻雀って何か変な感じしますね」
奈央が周囲を見回す。
「たまにやってる奴いるぞ」
三上が牌を混ぜながら言う。
「人数集まりやすいし」
その間にも。
黒瀬は無言で牌を並べていた。
慣れている。
「黒瀬くん手際良いですね」
「結構やってるので」
「何で?」
三上が聞く。
黒瀬は少し考えた。
「待つの嫌いじゃないので」
「うわ嫌な打ち手の発言だ」
開始。
最初は奈央への説明込みだった。
「これは萬子」
「こっちが筒子」
「頭一個必要で〜」
三上が説明する。
奈央は真面目に聞いていた。
「なるほど……」
覚えるのが早い。
だが。
数局後。
三上が顔をしかめた。
「……お前ら打ち方に性格出すぎだろ」
まず黒瀬。
静か。
全然喋らない。
鳴かない。
ダマテン。
しかも。
降り判断が異様に早い。
「え、それ降りるんですか?」
奈央が驚く。
さっきまで普通に攻めていた。
だが。
黒瀬は平然と牌を崩す。
「三上さん良さそうだったので」
「何で分かるんだよ……」
三上が嫌そうな顔をした。
しかも待ちが嫌だった。
「またその待ち!?」
「持ってると思ったので」
「絶対嫌がらせだろそれ!」
端待ち。
シャボ待ち。
妙に引っかかる場所を狙ってくる。
かなり性格が悪い。
一方。
三上はかなり堅実だった。
無理押ししない。
ちゃんと降りる。
でも行く時は行く。
「そこは押すんですね」
奈央が聞く。
「いやこれは行ける手だからな」
バランスが良い。
かなり安定している。
だからこそ。
黒瀬の変則が嫌だった。
「またダマかよ……」
「見えてるリーチより怖ぇんだよお前」
水瀬はさらに慎重。
「これはまだ、危ないかな?」
「まだ無理しなくていい気がする……」
放銃をかなり嫌う。
だが。
「……ここなら行ける」
と判断した瞬間だけ鋭い。
急にリーチをかける。
「うわ来た」
三上が嫌そうな顔をする。
「水瀬、通る時しか来ねぇから怖いんだよな」
「危ないの嫌だもん」
かなり本人だった。
そして奈央。
最初はぎこちない手付きだった。
牌を並べるのも遅い。
切る前にも少し考える。
「えっと……この形なら両面残した方が良いんですよね?」
「お、ちゃんとセオリー通りだ」
三上が感心する。
打ち方はかなり素直。
教科書通り。
言われたことをそのまま綺麗に吸収していく。
「奈央ちゃん覚えるの早いですね」
水瀬が感心したように言う。
「オペレーターだから情報整理得意なんじゃね?」
「なるほど……」
奈央は真面目に頷いた。
だが。
数時間後。
牌を持つ手付きが、 かなり自然になっていた。
不要牌を切る速度も早い。
形も安定している。
三上が少し嫌な予感を覚える。
その時。
奈央が静かに牌を倒した。
「ロンです」
沈黙。
三上が固まる。
水瀬も止まる。
黒瀬が奈央の手を見る。
綺麗だった。
かなり。
無駄がない。
教科書通りに強い手。
奈央が少し困ったように笑う。
「……合ってます?」
数秒後。
三上が叫んだ。
「初心者じゃねぇだろ!?」
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