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それでは
どうぞっ。
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綺羅side
『綺羅、今日残る?』
練習の片付けをしながら、○○が聞いてきた。
💛「うん。振り、もう一度確認したくて。」
『じゃあ一緒にやろうか。』
○○はそう言って、軽く背伸びをした。
その一言で、胸が少しだけ早くなる。
……前から、こうだっけ。
年齢は私より一つ上。
でも、それ以上に“先輩アイドル“って感じがした。
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音楽が止まる。
『今の、少し出るの早かったかも。』
💛「本当だ、ありがとう。」
鏡越しに目が合う。
○○はすぐ目線を外して、真剣な顔に戻る。
💛(あ、…)
その瞬間、胸の奥で、はっきり何かが形を持った。
ーーーーー
デビューする前から、尊敬してた。頼りにしてた。
一緒にステージに立ちたいって、思ってた。
でも今は違う。
○○が笑うと安心するし、他の人と話してると何故か目で追ってしまう。
💛(これ……)
音楽が流れても、集中しきれない。
『綺羅、大丈夫?』
💛「ごめん、…ちょっと考え事。」
『珍しいね。』
○○は心配そうにしながらも、それ以上踏み込んでこない。
その距離感が、正しくて、優しくて____
だから、余計に分かってしまった。
💛(好き、なんだ。)
ーーーーー
数日後、ステージ本番。
照明が落ちて、歓声が上がる。
立ち位置は、また隣。
パフォーマンス中、ほんの一瞬だけ目が合った。
💛(ちゃんとしなきゃ、)
私はアイドルで○○は仕事仲間で、この場所は、夢を見せる場所。
私なんかの気持ちは、表に出しちゃいけない。
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ステージが終わる。
楽屋に戻って、1人になった時。
💛(自覚、しちゃったな。)
この気持ちに名前をつけてしまった以上、もう前みたいには戻れない。
でも、壊したくない。
この関係も、このステージも。
だから私は決める。
__言わない。
__でも逃げない。
同じ夢を追う限り、この片想いも、私の一部。
今日も、○○の隣で歌えることを、誰よりも大切に思いながら。
end…