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#ファンタジー
芙月みひろ
94
設楽理沙
1,542
それから僕たち二人は、毎日のように話すようになった。
白瀬さんは校内を動き回ったことはほとんど無いらしく、僕が学校の中を案内することにした。
図書室。
中庭。
音楽室。
そして、屋上へ続く階段。
「屋上は、風が強いから危ないか……」
「屋上って、どんな場所?」
「空が広く見えて、遠くに山も見える」
「山って、どんな感じ?」
僕は少し考えた。
「大きくて、緑色で……」
「それじゃ分からないよ」
白瀬さんが笑う。
「もっと詳しく言って?」
僕は困りながらも、言葉を探した。
「……遠くにあるのに、近くにあるみたいな感じ」
「ふふ。変なの」
「うるさいな」
「でも、朝倉くんの説明。好きだよ」
その言葉に、僕の心臓が少しだけ跳ねた。
ある日の帰り道。僕たちは公園のベンチに座っていた。
「ねえ、朝倉くん」
「なに?」
「私、朝倉くんといると、いろんなものが分かるようになった気がする」
「僕、そんなに説明上手いか?」
「ううん。そうじゃなくて。」
僕は、静かに首を振った。
「朝倉くんが、私にちゃんと伝えようとしてくれるから」
僕は何も言えなかった。
昔、白瀬さんがどんな苦労をしたのかは全く知らない。教えて貰えることがどんなに有難いことなのかも知らない。
僕はただただ、白瀬さんと話したいだけだった。
――その気持ちを言葉にするのは、まだ少し怖かったが。
コメント
1件
ああ〜〜もうこの2人の空気感が尊すぎて胸が苦しい…!!😭💕 白瀬さんの「見えない世界」を朝倉くんが必死に言葉で伝えようとするの、すごく優しくて泣ける。「遠くにあるのに近くにあるみたい」って山の説明、めっちゃ詩的でエモい…!! 「朝倉くんの説明、好きだよ」で心臓跳ねるの、わかるよこっちも跳ねたわ!!笑 伝わることのありがたさを噛みしめるような2人の距離感がこれからどう変わっていくのか、続きが気になりすぎる…🌸📖