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蜂蜜きな子
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みみ
49
15章目行きます。
二番の事件を解決した数日後。私たちは花子くんの過去の手がかりを求めて、学園の七不思議の五番一ー『16時の書庫』へと足を踏み入れていた。
日の暮れた午後4時。誰もいないはずの図替室の扉を開けると、そこは天井が見えないほど無数の本棚が並ぶ、幻想的で不気味な空間だった。
「ここが、16時の基庫…..」
薄青い髪を揺らしながら、私は白、黒、赤の表紙が並ぶ本棚を見上げる。
霊力の強い私には、この醤庫全体に満ちる「人間の生と死の記憶』の匂いが、ひどく濃密に伝わってきて胸が苦しくなる。手首の月のブレスレットを、ぎゅっと握りしめた。
「露葉ちゃん、大丈夫?無理しちゃダメよ」
「そうですよ露葉さん!気分が悪くなったら、俺がすぐにおんぶして外に連れていきますからねっ!」
寧々ちゃんがお姉ちゃんぶって心配してくれて、光くんが顔を真っ赤にしながら熱く拳を握りしめる。
「おいおい。俺の書庫で勝手に騒ぐんじゃねえよ、クソガキども」本棚の影から、パイプの煙を燻らせながら土籠先生が現れた。
先生はいつもの気だるげな白衣姿だけど、私と目が合った瞬間、その鋭い瞳が揺れて、尖った耳の先がふっと赤くなった。前回の「恋落ちドミノ」の執着は、今でも健在のようだ。
「先生!花子くんの過去が載ってる本はどこ!?」
軽々ちゃんが必死に冬ねる。
「…..七番の過去、か」
土籠先生はパイプを口から離すと、私をじっと見つめた。
「お前たちに、あの男の未来(きろく)を見せるわけにはいかねえ。……だが、泡沫。お前は特別だ」
土籠先生は音もなく私に近づくと、大きな手で私の頭を優しく撫でた。他の生徒には絶対に見せない、甘くて過保護な大人の目。
「お前は、あいつの生前を一番近くで見ていた。…..お前が望むなら、俺の全てを賭けてでも、お前の知りたい真実を全部教えてやるよ」
「ちょっと五番、何俺の葉に手え出してんの?」その時、本棚の上から、フワリと花子くんが降りてきた。その色の瞳には、あからさまな不機嫌さと嫉妬が潜んでいる。花子くんは私の腰を後ろから強く抱き寄せると、土籠先生を鋭くみつけた。
「露葉、見ちゃダメだよ。僕の過去なんて、君には…..」
「あまね…..」
私は花子くんの冷たい腕に触れた。
生前、あの暑い夏の夜に、血に染まった部屋で私を拒絶した天音。私はずっと、あの日の真実が知りたかった。
その時、風もないのに一冊の『黒い本』が、本棚からバサリと床に落ちた。
そこには金文字でーー『柚木普』、そしてその隣に、寄り添うように『泡露薬』の名前が刻まれていた。
「あ、これ…….!」
寧々ちゃんが本を拾おうと手を伸ばした瞬間。
「ーーあはは!見一つけた!」
背後の闇から、空間を切り裂くような無邪気な声が響いた。
黒い煙と共に現れたのは、司だった。司は着地するなり、花子くんの腕の中から私を強引に奪い取るように引き剥がし、自分の胸の中へと激しく抱き寄せた。
「露葉!俺のことも置いてけぼりにして、あまねとデートなんてずるいよ!俺の書庫(きろく)も見せてあげる。俺と露葉が、あの日どうやってひとつになったか、ぜんぶ教えてあげるね」司の真っ黒な瞳が、私のオッドアイを覗き込んで妖しく笑う。
「同、離れる……っ!」
花子くんが包丁を抜き、光くんが霊力を構え、輝先輩の気配を察した土籠先生も味の腕を出す。
寧々ちゃんも「路葉ちゃんを返しなさい!」と叫ぶ。
花子くんの過去が眠る16時の書庫で、生前の記憶と、全員の狂おしいほどの独占欲が交錯するーー。
コメント
1件
わあ、第15話、すごくドキドキしました……!特に土籠先生の“お前は特別だ”と言って頭を撫でるシーン、普段の態度とのギャップに胸がきゅっとなりました。そこに被せるように花子くんが登場して露葉ちゃんを引き寄せるのも、嫉妬と独占欲が滲んでてすごく良かったです。そして司くんの無邪気なのに危険な登場——もう全員の感情がぶつかり合ってて、まるで三つの違う恋文を同時に読んでるみたいな感覚でした。主人公の“泡露葉”としての苦しさと気持ちの揺れも伝わってきました。特に「露葉、見ちゃダメだよ」の一言が切なくて……続きがすごく気になります!📚💫